The Street Sliders、14000人を熱狂させた22年ぶり日本武道館再集結公演

この日、The Street Slidersが演奏したのは、本編15曲、アンコール2曲の全17曲。開演前のBGMが鳴っている時点で、もうハンドクラップや歓声が起こっていた場内は、客電が落ち、JAMES(市川洋二/ベース)、ZUZU(鈴木将雄/ドラムス)、HARRY(村越弘明/ボーカル&ギター)と蘭丸(土屋公平/ギター)の順にメンバーが登場すると、22年待ち続けていたファン達による、会場が揺れる程の歓声が日本武道館を包んだ。

 1曲目は「チャンドラー」(1984年)、2曲目「BABY BLUE」(1995年)、次は『天使たち』(5thアルバム/1986年)のリードシングルで、リミックス・バージョンもよく知られている「Angel Duster」、4曲目は「Let’s go down the street」(1985年)──。と、前半は様々な時期のアルバムからピックアップされたミドル〜スローな曲が中心になった構成。そして「one day」「すれちがい」「Pace Maker」と、初期の曲が続いたその流れは、「ありったけのコイン」で最初のピークを迎えた。

なお、「チャンドラー」でステージのセンターでギターソロを決め、その後HARRYの傍らに行って弾いた蘭丸は、それ以降も何度もHARRYと向かい合ってプレイした。


左から、蘭丸、HARRY(Photo by 土居政則)

「ありったけのコイン」を歌い終え、『サンキュー』と笑顔を見せたHARRYは、『それじゃあ、新しいやつを』と、「曇った空に光放ち」と「ミッドナイト・アワー」の2曲を聴かせる。前者は2021年、後者は2022年に、JOY-POPSで発表した曲である。言うまでもなく、この4人で鳴らされるのは初めて。「ミッドナイト・アワー」を歌い終えたHARRYは、右手の人差し指を掲げるおなじみのポーズを、三回続けてやってみせた。HARRYによるメンバー紹介を経て、『公平が歌うぜ!』と叫んで「天国列車」へ。蘭丸のサイケデリックな声による「はしれ はしれ」が武道館に響く。間奏とアウトロでは、HARRYがギターソロ。そして『OK、JAMESが歌うぜ!』と始まったのは「Hello Old Friends」。ボ・ディドリー・ビートにのってJAMESが力強く歌うこの曲では、HARRYがソロを奏で、蘭丸がそれを引き継ぎ、最後にZUZUが独奏を聴かせた。


JAMES(Photo by 土居政則)


ZUZU(Photo by 土居政則)

いよいよライブも後半、13曲目は「So Heavy」。1983年リリースのセカンド・アルバム『がんじがらめ』のリード曲である、軽快でアッパーでアグレッシブなリリックが載ったこの曲で、オーディエンスが一斉に爆発。HARRYの歌声は、サビの終わりの「So Heavy!」のリフレインのところ、この歌の最高音部まで、悠々と届いている。その熱い空気は、続く「Back To Back」でさらに昂り、女性客の悲鳴のような歓声も、男性客の怒号のようなメンバーを呼ぶ声も、いっそう大きくなった。が、歌い終えたHARRY、『じゃあ最後の曲』。大半が大人のオーディエンスとは思えない『えー!? 』という声が武道館を満たす。そんな素敵に大人げない大人たちに、最後に「風の街に生まれ」が贈られた。

アンコールは、「のら犬にさえなれない」。イントロが鳴った瞬間に、14000人が『きたっ!』という空気になった。マスクの上からでもわかるくらい、多くの人が一緒に口ずさんでいる。そして、この再集結に関わったすべてのスタッフとオーディエンスへのHARRYの感謝の言葉を経て、ラスト・チューンは「TOKYO JUNK」。場内が明るくなり、「So Heavy」から「Back To Back」の時以上の熱気が武道館を満たす。演奏を終えた4人は、楽器を下ろしたあとも、しばしステージに留まり、自分たちをぐるりと囲んだ14000人に挨拶し、別れを惜しんだ。HARRYが蘭丸と肩を組むと、ワッと歓声が上がる。4人が去ってエンドSEが流れた後、ステージの四方を囲む形で突如白い幕が落ちる。そこに手書き文字で書かれていたのは、“ザ・ストリート・スライダーズ 秋・ツアーやるゼィ!“。

おそらく、誰もが予想だにしなかったライブツアーの発表で、興奮と歓喜の大きな歓声と拍手に包まれる中、22年ぶりの日本武道館公演は幕を閉じた。

text by 兵庫慎司


(Photo by 土居政則)

「The Street Sliders “Hello!!” 」2023年5月3日 日本武道館 セットリスト
1. チャンドラー
2. BABY BLUE
3. Angel Duster
4. Let's go down the street
5. one day
6. すれちがい
7. Pace Maker
8. ありったけのコイン
9. 曇った空に光放ち
10. ミッドナイト・アワー
11. 天国列車
12. Hello Old Friends
13. So Heavy
14. Back To Back
15. 風の街に生まれ
〜ENCORE〜
EN1. のら犬にさえなれない
EN2. TOKYO JUNK



<ツアー情報>

The Street Sliders TOUR2023 「ROCK’N’ROLL」

2023年9月1日(金)埼玉 三郷市文化会館
OPEN17:30/START18:30

2023年9月9日(土)福岡 キャナルシティ劇場
OPEN17:00/START18:00

2023年9月22日(金)名古屋 名古屋市公会堂
OPEN17:30/START18:30

2023年9月29日(金)東京 LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)
OPEN17:30/START18:30

2023年10月6日(金)仙台 トークネットホール仙台( 仙台市民会館)
OPEN17:30/START18:30

2023年10月21日(土)神奈川 KT Zepp Yokohama
OPEN17:00/START18:00

2023年10月26日(木)大阪 フェスティバルホール
OPEN17:30/START18:30

料金、先行受付、開始日時
イープラス最速先行「抽選」受付
料金:全席指定 ¥11000(税込)
*KT Zepp Yokohamaはドリンク代別途必要
受付期間:5月3日(水・祝)19:30〜5月14日(日)23:39まで
受付URL:https://eplus.jp/tss2023tour/
*イープラス会員登録(無料)が必要となります
[受付に関するお問合せ]イープラスhttps://eplus.jp/qa/

<リリース情報>

The Street Sliders
『天国と地獄 LIVE AT BUDOKAN 1987 40th Anniversary Edition』
2023年5月3日リリース

2Blu-ray+2CD(Blu-spec CD2)
■DISC1:天国と地獄 LIVE AT BUDOKAN 1987
■DISC2&3:天国と地獄 LIVE AT BUDOKAN 1987<ライブ音源CD>
■DISC4:SLIDERS on eZ TV
品番:MHXL-129~32 価格:¥15000 (税抜価格¥13636)
LPジャケットサイズパッケージ BUDOKAN LIVE BOOK(40P)
パッケージ購入 https://lgp.lnk.to/tKb1Iq

40周年記念盤
The Street Sliders & Various
『On The Street Again -Tribute & Origin-』
発売中
DISC1:Tribute
DISC2:Origin
・完全生産限定盤 (ESCL-5765~5767 価格:¥10000+税) B4サイズスペシャルBOX仕様+付属品
・通常盤(初回仕様)(ESCL-5768~5769 価格:¥4500+税)CDサイズジュエルケース+ブックレット仕様

CD購入 https://erj.lnk.to/OY7r9Z
配信(DISC1) https://erj.lnk.to/5J8W2E
配信(DISC2) https://erj.lnk.to/rQ7XkF

The Street Sliders Information 40th Anniversary Site https://tss40th.com
Official Site https://www.sonymusic.co.jp/artist/TheStreetSliders/
Official Twitter https://twitter.com/TSS40th 
Official YouTube Channel https://www.youtube.com/@thestreetsliders_official

Rolling Stone Japan 編集部

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