Black Country, New Roadが語る、「永遠の友情」がバンドにもたらす絶大な力

 
大好きな友人たちと音楽を奏でる、かけがえのない瞬間

ーこの1年はバンドの体制も変わって、激動の日々だった思うんですけど、メンバー同士、お互いの関係に大きな変化はありましたか?

チャーリー:何年もバンドをやってるけど、ちゃんとしたツアーに出たのは去年から今年にかけてが初めてだったんだ。さっきも言ったけど、友人たちと好きなことを仕事にできるっていう点に関しては、素晴らしいことだと思ってる。でも、ツアーってみんなが想像する以上に結構キツイんだよね。アメリカ・ツアーは都合5週間ぐらいかかったんだけど、めちゃくちゃ楽しくて素晴らしい体験だったのと同時に死ぬほど疲れたし、精神的にかなり疲弊した。僕らのバンドはメンバーがたくさんいるから、ツアーをするのに普通のバンドよりも、かなりお金がかかるんだよね。だから、ベッドをシェアしたりとか、耐えたり我慢しなきゃいけない場面も多くて。

あ、でも、別に同情を買いたいからこんな話をしているわけじゃないよ(笑)。つまりは、今まで以上に僕らは精神的に助け合わなきゃいけなかったってことを言いたかった。みんなが互いに思いやり、自分の心のガードを下げて助けを受け入れることをしなければ、ここまで辿り着けなかったと思う。

ー過酷な状況がその理想的な関係性を作っていった、と。つまりは自然とそうなっていったってことなんですね?

チャーリー:そうだね。メンバーはみんなそれぞれ「これはマジでキツいな……」って思う瞬間が、ツアー中に何度かあったと思うんだよ。でもその経験があったからこそ、自分に何ができて、何ができないのかを学べた。

去年から今年にかけて、ありがたいことにすごくたくさんの仕事のオファーをもらったんだよね。で、そういうチャンスは素晴らしいものだから僕らはそれに可能な限り応えてきたわけだけど、その経験を通して「やりたくないことはやらなくてもいいんだな」ってことを学んだんだよ。自分の限界を知って、それに合わせて活動すること、仲間たちに自分の限界を理解してもらうこと、って大切なことだよ。


Photo by Masato Yokoyama

ーメイさんもルークさんも、そう思います? ルークさんはタフそうに見える。あんまり泣き言とか言わなそうですよね。

ルーク:ははは、うるさいよ(笑)!

メイ:浮き沈みは誰にでもあるものだからね(笑)。そうだね、ツアーに出るようになってから、お互いの気持ちを察することが上手くなったって私は思うな。今はひとりにしておいてほしいんだな、とか、相手が困ってる時にどんなふうに手を差し伸べるべきかとか、相手のことを本当の意味で考えるようになった。

チャーリー:あと、メンバーもそうだけど、スタッフには本当に助けられてる! 僕らのツアー・マネージャーは無理に何かをさせたりとか絶対にしないんだよ。彼はただただ僕らの良き友人であろうとしてくれる。彼は何度もバンドとツアーを廻ってるから、その辺、よくわかってくれてるんだよね。いつも「大丈夫、大丈夫、できるって!」って励ましてくれるんだ。

ー友人関係って長い時間を一緒に過ごせば過ごすほど、いろいろなことがあるじゃないですか? 時には喧嘩もしたりするし……。

ルーク:喧嘩は殴り合いに限るね(笑)。

チャーリー:心の「触れ合い」だ(笑)。

ー(笑)。実際、色々なことがこのバンドには過去に起きましたけど。でも、それでもブラック・カントリー・ニュー・ロードは、今「Up Song」で“Look at what we did together, BC, NR friends forever”(ねえ見て、私達が一緒にしたことを/BC,NRは永遠の友達同士)というリリックを声高らかに歌ってるじゃないですか? 本当にこの言葉を信じて歌ってます? 永遠に友情って続くものなんですかね?

メイ:50年後にもう一回聞いてよ(笑)。

チャーリー:そうだよ、僕らがどうなってるか確かめて。〈BC,NR enemies forever〉(BC,NRは永遠の敵同士)になってるかも(笑)。



ー「Up Song」のあの部分を演奏する時は、どんな気持ちになるんですか?

全員:「最高、カッコいい!」って思ってる(笑)。

ー(爆笑)。

ルーク:っていうか、その「最高!」っていう気持ちはこの曲に限らず、このバンドを始めた時からずっとそう思ってるんだよね。俺はライブしている時にステージの上のメンバーの顔を見るのが何より好きなんだよ。すごくいいライブができてる時とか、信じられないぐらい大きなステージで演奏している時とかに、周りを見渡すと、そこには自分の友達がいて一緒に音を奏でている。これを「最高!」って言わずになんと言えばいいのか。

チャーリー:そういうヴァイブスだよね。

ルーク:「Up Song」にはそういうフィーリングを詰め込みたかったんだよ。あのフレーズ自体は最初は、ジョークみたいなものだったんだけどね。

チャーリー:一番最初に新曲を披露したブライトンのショーの時の観客の反応が良かったから、残したんだよね。このリリックを歌った時に「イェーイ!」って感じで、めちゃくちゃ盛り上がったから。

ルーク:ステージに出る前の最後の最後まで、これやるかどうか相談してたよね。だって、めちゃくちゃダサいじゃん(笑)。でも、ここまでダサい言葉を吐けたのは、俺らの本当に素直な気持ちがそこに込められていたからなんだよ。めちゃくちゃ純粋な気持ちが。

チャーリー:正直だよね。

ーその気持ちを疑うことはないんですか?

メイ:たまにはあるかもね(笑)!

ルーク:“BC, NR acquaintance forever”(BC,NRは永遠の知り合い同士)。

メイ:でも、超キュートなフレーズだと思うよ。演奏してて気持ちいいし。本当の気持ちは込められていると思う。

ーYouTubeで公開されている『Live At Bush Hall』の映像には高校の卒業式の後に行われるダンス・パーティーである「プロム」をテーマにした衣装とセットでライブをする姿が収められてますけど、この後のブラック・カントリー・ニュー・ロードの未来はどうなっていくんですかね? 大学進学? それとも就職?

ルーク:高校卒業したばっかりってことだよね(笑)。大学ってことなら、もっと知的な作品を作ることになるのかな……(笑)?

メイ:何にせよ、アルバムはまぁ作ることになるんじゃない? 次の作品に入るかどうかはわからないけれど、新曲も作ってるしね(筆者注:日本公演でもその新曲を何曲か披露した)。

チャーリー:願わくば、自分たちでも「これだ、最高!」って納得できるレベルの曲をもっと作りたいな。そのためにも曲作りのための時間が欲しいんだよね。楽曲を作ることこそが自分たちにとってのバンド活動の醍醐味だし、一番楽しいと思えることだから。



-最後に。50年後も仲の良い友達同士、バンドメイトでいたいと思いますか?

全員:そのつもりだよ。

チャーリー:家賃も払わなきゃいけないしね(笑)。

ルーク:友人関係も大事だけど、お金稼ぎも大事だよ(笑)!

メイ:でも、何が起きるかなんて誰にもわからないからね。あんまり考えすぎても仕方ないんじゃない?

チャーリー:確かに。

メイ:今を楽しまないとね!


Photo by Masato Yokoyama





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