音楽フェスで銃乱射した犯人、ヒトラーと爆弾魔に傾倒していたことが判明 米

犯人はラスベガスのマンダレイ・ベイ・ホテルの客室からカントリーミュージック・フェスティバルの会場に乱射 SALWAN GEORGES/THE WASHINGTON POST/GETTY IMAGES

2017年10月1日、「ルート91ハーベスト・フェスティバル」の会場で58人を射殺したスティーヴン・パドックが、ヒトラーをはじめとする大量殺人犯に傾倒していたことが、先ごろFBIが公開した文書で明らかになった。文書には64歳の世捨て人が、事件の数年間から銃への関心を高めていった様子が伺える。

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パドックはマンダレイ・ベイ・リゾート&カジノの32階の客室からコンサート会場に発砲し、その後自ら命を絶ったが、動機をめぐる謎は事件の生存者を悩ませている。ラスベガス警察は動機不明と断定し、FBIも2019年に、事件の「動機となる唯一、または明白な要因」を判定できなかったと発表した。昨年9月にローリングストーン誌が報じた際、事件当日に現場を後にした人々は、人生を変えた惨劇から5年経った今もなお情報や答えの乏しさに苦しんでいた。

今回新たに公開された資料には、FBIが射撃犯と接点のあった人々に行った事情聴取から、犯人の習慣や関心、言動、事件前の心情が少しばかり透けて見える。

犯人の知人はパドックが「アドルフ・ヒトラーは善人だった」と信じていたこと、1995年に168人を殺害したオクラホマシティ爆破事件の犯人に「魅了」されていたことをFBI捜査官に語った。FBIはバドックが「体制に怒りを抱えていて」「世の中の状況に不満を抱いていた」と分析している。知人いわく、犯人は事件前の数カ月前から金を貯め始めていた。知人は犯人が「脅し」を口にするのも何度か耳にしていたが、2017年5月まで真剣に取り合わなかったそうだ。文書はあちこち黒塗りされているため、その後知人が脅しにどう対応したのかは分からない。

文書によると、大口ギャンブラーとして知られていた犯人はビデオポーカーがお気に入りで、18時間ぶっ通しでカジノにいることもあったという。ギャンブラー仲間の1人がFBIに語った話では、それまでカジノから大口ギャンブラーに提供していた特権(無料クルーズやペントハウスのスイートルーム提供など)が縮小されたため、パドックは不満を抱えていたという。「自分や他の大口客に対するカジノの扱いに立腹していた」とそのギャンブラーは言い、「ストレスでパドックが“キレた”としてもおかしくない」と付け加えた。

Akiko Kato

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