伊東健人が語った自分にとっての幸せ、ソロアーティストとして始まりのEP『華灯』

続いて、話題は『華灯』にまつわるトピックへ。

ー「sugar」の主人公はなぜに女性になったのか。

「AMBER」は男性的な視点で作ったので、「sugar」はどちらかというと、女性的な視点で作ったら面白いかなと思いました。ただ、曲の主人公を自分にしたくないというのが基本的にあるんです。だから正直女性っていう限定もしたくないなんて最初は思ったんだけど、今回はアニメーションPVを作ることになったので、じゃあこの主人公は完全に女性に振り切ろうって、そこで100パーセントが決まった記憶があります。これから先もいろんな視点の曲が作れたらいいなと思っていて、「陽だまり」だったら、男女ではなくて人間ですらなくていいかもしれないっていう視点で作りましたし、そういう意外な面白い視点があったら、今後も積極的にそういうところに目を向けて曲を作っていきたいなっていうことですね。でも、最終的に作詞して歌うのは自分だから、CDをリリースすればするほど、あと今はリリースイベントのときにしかやっていないけど、ライブとかを重ねれば重ねるほど主人公が自分っぽくなっちゃったら、そこからどれぐらい抗えるかというか。 だから、次はもう思いっきり伊東健人を聴いてくれる人の視点に立った曲を作ったらどうだろうとかね。そんなことを考えてます。その視点みたいなところは、今後の注目してほしいポイントです。



ー友人との間での"幸せゲーム"によって生まれた「sugar」「陽だまり」。"幸せゲーム"の正解は?

正解…いやわからん(笑)。正解があったら、もうそれは死ぬ時じゃないかなっていうね。どこかのラジオで、「 死ぬ時に目の前に孫がいたら幸せなんじゃないか」みたいな話をしたような気がする。子供じゃなくて孫っていうところがポイントです。子どもができる以上に、人生設計をしっかり積み重ねていった先じゃないと、孫に看取ってもらうことはできないから、みたいなことをどこかで言った気がする。いやわかりません、教えてください(笑)。(お客さんに向かって)幸せって何かの答えがわかっているっていうすごい人います?(場内爆笑)いないよね。はい、わかりません。教えてください! えー次行きます(笑)。



ー川谷絵音さん、zakbeeさんなど、他者と共作する上で感じたメリット・デメリットは?

これは良い質問だ、スタッフ(笑)。『華灯』という、いろんな人と一緒に曲を作って非常に贅沢な円盤が出来上がりました。まず、自分自身の活動のために曲を作るっていうのは、今回が初めての経験だったので、やっぱり時間かかりましたし「向いてねえな」っていつも思います。それは、良い曲、歌詞が書けるとかじゃなくて、自分の中ではスピードなんですね。自分が書いた詞に対して、「ああ、自分めっちゃ良い歌詞書くじゃん」って思えるまでのスピードが早い人がこういうことに向いていると思っていて。川谷絵音さんとかもそうですけど、世に出ている作詞、家の人、作曲家の人ってリリースするペースが凄まじいんですよ。いや、何個バンド掛け持ちしてどんなペースで曲作ってんだっていう。それって、やっぱり自分が作った曲を許せるまでのスピードがすごく早いからだと思うんですよね。これね、最近TAKU INOUEさんと話す機会があって聞いたんですよ。「自分が作った曲ってどれぐらいしたら良い曲だなって思えます?」って。そしたら、「いや、俺自分で作ったら良い曲だなとしか思ったことないですよ」って言っていて。これがやっぱり向いてる人の1つの条件なんだな、作家として抜けている人の条件なんだなって。それ聞いた瞬間に、やっぱり俺は作詞家・作曲家にはなろうとしなくてよかったって思いました。そんな人たちと一緒に共作する上で感じたメリットは、自分で作詞する作曲するっていう世界の殻を破れる、そこから外の文化が入ってくるっていうことですね。自分的には才能の限界っていうのをいつも感じながら生きているから、それを破るものが欲しいんですよね。それができるっていうのが、大きなメリットの1つかなって思いますね。

デメリットで言うと、スピードっていうのはやっぱり出ないということですね。他のアーティストさんに目を向けると、例えばアーティストがいて、横にコンポーザーがいて、2人で組んでやるみたいな方もいらっしゃるじゃないですか? だから曲づくりのスピードはそういう人たちには叶わないですね。何日か家に籠らせてくださいっていう期間が設けられれば、きっとスピードとしてはすごく上がるんでしょうけど、自分としてはやっぱりそれは本位ではないから。それができたら毎月リリースみたいなこともやれたら面白いなと思うし、それも自分的には全然ストレスなくできるので。それこそ、中島ヨシキとやっているユニットのUMakeでそれに近いこともやっていますし、 全然できなくはないけど。伊東健人の活動に関しては、自分では思いつかないようなことを思いついてくれる人とやりたいなと、そんなことを思っております」

Rolling Stone Japan 編集部

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