日比谷野音に刻まれたヒップホップへの敬意と未来への創造、「FUYU NO YAON」総括

Jin Doggは「ここは日本のヒップホップの伝説的な場所。ここでやるからにはぶっ壊して帰るからな」と宣言。「次の曲は頭から最後までみんなと歌いたい」と言って「街風」で自らのライフスタイルを綴った。ラスト曲のBAD HOPの「Suicide」のリミックスでは大合唱が起き、この曲がユース世代のアンセムとなっていることを改めて感じた。


Jin DoggPhoto by ハタサトシ)

SKY-HIはビースティ・ボーイズの「Ch-Check It Out」のトラックに「F-3」のラップを乗せ、「この曲が生まれた時から20年間ずっとヒップホップシーンにいたぜ!!」と、初っ端からヒップホップ愛と20年間サバイブしてきたことへの矜持を露にした。「ralph、Jin Dogg、SKY-HI、C.O.S.A.くん、ありがたいね~」とこの日のヘッドライナーの並びに対して喜びを滲ませる。アイドルグループ出身のラッパーとして色眼鏡で見られ、数々のアウェイを経験してきたSKY-HIだからこその達成感が溢れていた。「どの現場でもプライドを持ってやってきたことはめちゃくちゃラップするってこと」という説得力のある発言に続けて、「何様」「Name Tag」を披露し、気迫のラップを聴かせる。


SKY-HI、Aile The ShotaPhoto by ハタサトシ)

自らが設立したBMSGに所属するAile The Shotaを呼び込み、2022年寅年の年男だった4人による「Tiger Style feat. Aile The Shota, JUNON, LEO」の2人バージョンを披露。軽やかなグルーヴを描くAile The Shotaの柔軟な歌と、鋭角な切れ味を見せるSKY-HIのラップのコントラストが絶妙だ。そしてフリースタイルラップで、ただの少年Aだった14歳の時にラップを始め、いくつもの出会いとバトルを経て、この栄光を掴んだんだというライフストーリーを開陳した。


C.O.S.A.Photo by ハタサトシ)

トリのC.O.S.A.は、名古屋ラップシーンの先輩であるAK-69の「Bussin’ feat.¥ellow Bucks」のリミックス、DJ RYOWの「Picture me rollin' feat. C.O.S.A. & Kalassy Nikoff」と続け、地元にリスペクトを表した後、「Cool Kids」へ。リリックに刻み込まれたNate Doggに加え、Nipsey Hussle、Pop Smoke、XXXTentacion、Mac Miller、TOKONA-X、Febb as Young Masonといったこの世からいなくなってしまったラッパーたちを追悼しつつ、「でも俺たちは生きてる! 人生は続いていく」と口にした。「すげえ人がいて最高だぜ! こうやってヒップホップのデカいパーティがやれるようになって最高だぜ!」と言って、コロナ禍の真っただ中で明るい未来を願った「Mikiura feat. KID FRESINO」を披露。「こうやってラッパーだらけって最高だと思ってて。特にMC漢さん、BESさん、SEEDAさん、俺らが子供の頃見てた先輩たちのライブがまた観れて最高でした。その中でもやっぱりK DUB SHINEさんはマジで最高でした! ヒップホップ最高だよね?」と問いかけると、大歓声が上がる。そして、「Ghost Town」のラップだけが野音に響く。「今も不夜の街、日比谷! ラップでアガれるヤツ、Hands up!」と言って去っていった。

Rolling Stone Japan 編集部

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