「半虫半人」を題材にしたロマンス小説、TikTokで炎上した盗作問題 米

官能小説作家に対する偏見

モンスター系ロマンスの読者と作家の間では、大規模なBookTokコミュニティでの立ち位置をめぐる対話も行われている。モンスター系ロマンスを65作品以上出版した人気小説家のケイティー・ロバート氏いわく、自費出版作品はメインストリームの読者から、出来がイマイチだから本としては出版されなかったのだ、と思われがちだ。だがオンライン作品の人気が高まったことで、多種多様な作家、アーティスト、作品に光を当てる場所が生まれたとロバート氏は語る――その一方で、懐に入る収入も増えた。

「自費出版は、従来の出版業界があえて目を逸らしてきたような隙間を埋めています。そうした隙間でニッチなジャンルが花開き、周辺に追いやられていた作家が読者を獲得し、広い読者層(すなわち、白人でストレートの読者層)向けにお茶を濁すことなく、自分たちの好きな物語を語ることができるのです」とロバート氏は言う。「読者が求める最前線に立っているんですよ」

数々の人気作家がモンスター系ロマンスのファンを築き上げ、BookTokのサブジャンルにまで押し上げた一方、性的に赤裸々な内容にまつわる偏見を排除するのにいまも躍起になっている。

「この数十年で飛躍的に進歩したとはいえ、いまだに隠語がたくさん使われていて、堂々とセックスを受け入れるには至っていません。ロマンスの世界でも同じことが起きています。皮肉ですが、みんな読みたがっているのに、読んでいることを他人には知られたくないと思っているんですね」とロバート氏は言う。「私も以前は、当事者全員の悦びや同意や保護についての対話を促すという点で、ロマンスというジャンルが大きな役割を果たしていると得意げに話していた時期もありました。でも最近は、曲解やあら捜しに一生懸命な人を相手に、ロマンスを正当化するのは止めました」

いまやBookTokで不動の人気を誇る「Ice Planet Barbarians」シリーズのディクソン氏は、ロマンス小説の作家がどんなに反感を買おうとも、モンスターファッカーのコミュニティが発展し続けていることが、恥らいを捨てば心から楽しめる本が見つかることを証明していると語る。

「サブカル系ロマンスがどんどん増えているのは、好きなものは好きでいいんだよ、というコミュニティだからだと思います。所詮はフィクションですし、だからこそみな安心して妄想に没頭できます」とディクソン氏。「本当に素晴らしいですよ。どんな趣味嗜好も恥ずかしくないんです。どんなに変わった要望も、投げかければきっと誰かが手を差し伸べて、痒い所に手が届く本を探してくれます」

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from Rolling Stone US

Akiko Kato

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