「半虫半人」を題材にしたロマンス小説、TikTokで炎上した盗作問題 米

自主出版界の自主規制

ティファニー・ロバーツ対メリッサ・ブリンコウの騒動は、ニッチな問題に思えるかもしれない。だがモンスターロマンスのコミュニティでは、そこから新たな問題が浮上した。すなわち、自主規制だ。出版業界では徹底したミスのチェックが求められ、編集者に回覧される。だがAmazonなどのマーケットプレイスでeブックとして販売されるインターネットの場合、チェッカー(有償または無償でインディーズ作品を校正する)を通してもミスが発生する可能性がある。作家は執筆、宣伝、校正、事実確認といった作業をすべて一人でこなさなくてはならない。こうしたシステムでは、自主出版作品は悪意ある人々の餌食になりやすい。

システムの穴に目をつけた輩がしばしば人気作品の著作権を侵害するのだと語るのは、売れっ子ロマンス小説家のルビー・ディクソン氏だ。ベストセラーとなった官能小説シリーズ「Ice Planet Barbarians(氷の星の野蛮人)」の作家であるディクソン氏は、自主出版の使い勝手が著作権侵害を日常化していると言う。

「オンラインで気軽に出版できるため、他人が著作権を侵害するのも容易になります。別の作者名をつけて、こちらの印税を横取りしてくるんです」とディクソン氏。「作家仲間ではあまりにもよく聞くので、いい加減うんざりしています」

オーストラリア人のモンスター系ロマンス小説家オパール・レイン氏によれば、こうしたことが頻発することで、ファンは盗作だと思われる作品を取り締まるのは自分たちの責任だと感じるようになった。時には勘違いから批判や嫌がらせを招くケースもあるが、オンライン出版は既存の出版社からダメ出しされずに済むなど、マイナス面よりもプラスの面が多いとレイン氏は言う――パクリには手を出さないように、とファンを諭す作家にとってはなおさらだ。

「明らかにそれとわかる場合、読者は(盗作を)指摘して、被害を受けた作家が対処できるよう知らせてくれます――そこからどうするかは私たち次第です」とレイン氏は言う。「厚かましく模倣した作家にはしっかり目を光らせるべきです。オリジナル作品に仕上げるために一生努力してきた他人の知的財産を奪うなど、言語道断です。ですが、嫌がらせはいただけません」

Akiko Kato

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