アジカンが振り返る『NARUTO』が繋げた海外への道

―南米という単語も出てましたが、『NARUTO』シリーズとの主題歌ということで、海外のファンが聴く可能性も高いわけです。それは制作時に意識するんですか?

後藤:意識しますね。海外ツアーに行ったら、「宿縁」もやってくれと言われるだろうし。俺たちは洋楽に影響を受けてますけど、日本ならではの土臭さをどう入れるかは考えます。例えば、「君という花」や「ソラニン」のリフって海外でめちゃくちゃ受けるんですよ。わざわざ東洋っぽく作ったリフ。YMO的な、海外の人が考えるオリエンタルな感じをどうデフォルメしていくかっていう方向性でのトライはいっぱいあって。そこはちゃんと野心を持って、海外でのライブでどう響くかを考えます。「宿縁」はビートが早いし、これまでの曲の流れを考えても盛り上げる自信があるし、どんどんライブでやりたい曲になっていくといいなと思って作りました。



―これまでの『NARUTO』の楽曲、「それでは、また明日」と「ブラッドサーキュレーター」も東洋風の旋律が入っていますよね。

後藤:そうですね。『NARUTO』と組む時はそこはすごく考えます。「ブラッドサーキュレーター」とか、そんなに演奏してほしいと思われてないんだろうなと思ってSpotifyを見たらめちゃくちゃ回っててギョッとしました(笑)。やっぱ『NARUTO』ってすごいんだなと。



―「遥か彼方」は南米で大合唱が起きるという。

後藤:そうそう。聞かれてる地域を調べると、ずっとサンチアゴとメキシコシティが上位。あとジャカルタ。それで東京みたいな。東京の人はアジカンなんて全然聴いてない(笑)。

喜多:(笑)。

―そんなことないですよ(笑)。

後藤:サンダーキャットの好きなアニソンのプレイリストみたいなのに「遥か彼方」が入っててびっくりしました(笑)。アメリカのラッパーのLil Boomからいきなり「お前に救われた」みたいなDMが届いて、客演したこともありました。どこで何が繋がるかわかんないですよね。いつ海外に行っても嬉しいのが、「遥か彼方」きっかけではあるけれど、ちゃんとアルバムを聴いてくれてる感があるんですよね。だから、日本のロックバンドがアニメきっかけで海外で売れても卑屈に思わなくていいっていうか。アニメと組んだ人全員が売れてるわけじゃないし。僕らも最初は「『NARUTO』と組むってことは世界に出ていくきっかけになると思うよ」っていう、当時のディレクターの一言に納得してやりましたから。当時はロックバンドがまだアニメソングを引き受ける時代じゃなかった中で、自分たちがNARUTOの主題歌をやることが間違いないと思えたのはその言葉があったから。実際、俺たちをいろんな国のリスナーと出会わせてくれた曲になったので、こうやってそこから20年経ってもまた呼んでもらえてるのはありがたいなあって思います。他のアニメも好きだけど、『NARUTO』には特別な気持ちがあります。

Rolling Stone Japan編集部

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