ミーガン・ザ・スタリオンが語る、負けられない理由

銃撃事件の真相

母親と曽祖母の死から1年と少しが経ち、シングル「Savage Remix」がビルボードのシングルチャート・HOT100のトップに6週連続で君臨した2020年7月、ミーガンは家族のような存在を必要としていた。心にぽっかり空いた穴を埋めるかのように、ミーガンは新しい友達をつくり、楽しい時間を求めて夜遊びを繰り返していた。ラッパーでシンガーのトリー・レーンズも新しい遊び仲間のひとりだった。こうして普段と同じように7月11日の夜が訪れた。



ディナー開始から45分が経ったところで、ミーガンは7月11日の出来事を語りはじめた。その夜、ミーガンはレーンズと友人でカーダシアン家の末娘のカイリー・ジェンナーと一緒にジェンナーの自宅のプールサイドでくつろいでいる様子をInstagram Liveで配信していた。配信を終えたミーガンは、レーンズと運転手、地元ヒューストンの元親友のケルシー・ハリスと一緒に車に乗って帰路についた。その後の出来事については、4月に行なわれたCBSジャーナリストのガイル・キングのインタビューでも語ったとミーガンはことわりを入れた。

ミーガンが語るところによると、車内でレーンズとハリスが口論をはじめた。ミーガンはドライバーに車を路肩に停めるようにと指示し、車から降りようとした。実際ミーガンは車を降りたが、もうすぐ目的地に着くからと言われて車内に戻った。その後、口論はさらにエスカレートした。ミーガンの取り調べを行なったロサンゼルス市警察の警察官によると、ミーガンとハリスも口論したという。検察官は、ミーガンとレーンズも口論したと主張している。

車内には戻らない覚悟でミーガンがもう一度車を降りると、レーンズが「踊れよ、クソアマ」と叫びながら、自分に向けて銃を撃ちはじめた。片方の足から血が流れた。ミーガンは地面に倒れ込み、腹ばいになって見知らぬ人の家のドライブウェイのほうに逃げた。ガイル・キングとのインタビューでミーガンは、その後レーンズがしきりに謝っては自分とハリスに「100万ドル」払う代わりに黙っていてほしいと嘆願したことを明かした。現場には、警察車両やヘリコプターが続々とやってきた。それを見たミーガンは、黒人のレーンズが銃を持っていることが知られたら、警察は恐ろしい手段を講じるかもしれないと不安になった。そこでミーガンは、ガラスを踏んだと警察に話した(レーンズはミーガンを撃ったことを否定している。本誌はレーンズの代理人を取材したが、コメントは得られなかった)。

レーンズは銃を隠し持っていた容疑で逮捕され、ミーガンはシダーズ・サイナイ医療センターに搬送された。その時も、ミーガンはガラスを踏んだという主張を曲げなかった。警察官が病院からいなくなると、医師はミーガンの両足に銃弾の破片が残っていると本人に伝えた(CBSニュースとエンターテインメント誌のPage Sixがのちに入手した院内報告書は、ミーガンが同院に入院したことと銃弾によって傷を受けたことを裏打ちしている)。

ミーガンは、当初は銃撃事件を秘密にしておくことでレーンズを庇おうとしたと語った。だが、事件をネタにしたジョークやミームだけでなく、ミーガン自ら否定している情報――レーンズとの間に性関係があった、カイリー・ジェンナーとレーンズが親しくしているのを見てミーガンが嫉妬したなど――が広まっていった。ミーガンの我慢は限界に達していた。

2020年8月20日、カーディ・Bとの大ヒットコラボシングル「WAP」をリリースした1週間後にミーガンはレーンズが加害者であることをInstagram Liveの配信で明かした。「あなたは私を撃った。広報担当や世間の人たちにブログに嘘を書くように仕向けたのもあなたよ」。2020年10月、レーンズはふたつの容疑で刑事告発された。ひとつは半自動攻撃用武器による暴行罪。もうひとつは弾丸を込めた未登録の銃器を車内に置いていた罪。レーンズは無罪を主張している。



Translated by Shoko Natori

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