「ホイットニー・ヒューストンは、なぜ偉大なのか」歌姫を支え続けたプロデューサー、クライヴ・デイヴィスが想いを語る

サントラ盤として世界最大の売り上げを誇る、ホイットニー主演の映画『ボディガード』。実は「当初反対だった」と、クライヴは振り返る。「彼女は『映画に出たい』と言ったけど、私は彼女の演技力に不安を抱いていた」しかも「最初に送られてきたラフカットでは、彼女は1曲くらいしか歌っていなかった。ボディガードがなぜ必要なのかもわからなかったし、ケミストリーもなかった。大スターだということが伝わってこなかった」と言う。しかし「彼女が決断した以上、私もあの映画には積極的に参加したんだ」と話し、ケヴィン・コスナーと監督のミック・ジャクソンに、(ストーリーと音楽が見事に融合させる必要があることについて)手紙を書いたんだ」と打ち明けている。

手紙には「『私がレコード会社のトップだからもっと歌を増やすべきだと言っていると思うだろうけれど、そうではない。あなた方は、この映画を救うべきだと思う。スリラーになっていない。彼女のキャラクターが人間離れしていない。音楽が極上の域に達する映画にするべきだ。そうすれば彼女がボディガードを必要とする理由がわかる。 そして二人が恋に落ちることが、それだけパーソナルでエモーショナルなものになる』ってね」。結果、作品の主導権がミック・ジャックソンから、クライヴの意図に賛同したケヴィン・コスナーへと移り「I’m Every Woman」、「One to You」、「I Have Nothing」の楽曲が追加。さらにはホイットニーの代表曲の一つとなった「I Will Always Love You」が、ケヴィンのアイデアによって選ばれ、映画は大ヒットすることとなったのだ。



2019年、ローリングストーン誌のインタビューでは、過去一緒に仕事をしたアーティストで、もうこの世にいない人の中で、誰が一番恋しいですか?という質問に対し、即答で「ホイットニー」と答えている。当時はホイットニーの薬物や元夫ボビー・ブラウンとの問題などを取り上げたドキュメンタリーが話題となっていたため、「ホイットニー・ヒューストンのストーリーは、明らかにまだ語られていないと言えるね。2本のドキュメンタリー映画があるけども、いずれもホイットニーの才能や心、なぜ彼女が多くの人に愛されたのか、というような側面を伝えきれていなかったと思う。薬物との闘いが、いかに彼女の死を早めることになったかを伝えなければならないし、決して白紙に戻してしまってはいけないことだと思う。天賦の才能を持ち合わせたホイットニーが、いかにしてその世代で最も偉大なシンガーになったかを無視してはならない。彼女は天才的な歌唱力を持っていた。彼女は歌を変形させ、違ったものにすることができたんだ」と語っている。

そして、待望の本作では、クレイグ自身が長年世の中に伝えたかったという歌姫ホイットニー・ヒューストンの生涯が描かれている。「彼女がなぜ愛され、なぜ音楽業界にいるすべての人間から真に偉大なコンテンポラリー・シンガーだとみなされていたか?それを示すための映画でもあるんだ」そして「この映画でまるごとの彼女を観て欲しい」と観客へメッセージを送った。


『ホイットニー・ヒューストン I WANNA DANCE WITH SOMEBODY』  
12月23日(金)よりTOHOシネマズ 日比谷ほか全国の映画館にて公開中
原題:WHITNEY HOUSTON: I WANNA DANCE WITH SOMEBODY  
監督:ケイシー・レモンズ  
脚本:アンソニー・マクカーテン 
出演:ナオミ・アッキー、スタンリー・トゥッチ、アシュトン・サンダース
上映時間:2時間24分


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