milet×クーラ・シェイカー対談 「世界一好きなヒーロー」とサマソニの夢共演を振り返る

クーラ・シェイカーが新作で掘り下げた「愛」

milet:ニューアルバムについても質問させてください。作品に込められたメッセージが興味深く、特に「The Once & Future Kings」のシンプルながらも力強い歌詞に感銘を受けました。『1st Congregational Church Of Eternal Love And Free Hugs』という長いタイトルですが、作品全体のコンセプトは何でしょう?

クリスピアン:“Congregation”という言葉が好きでね。「一堂に会す、集まる」という意味なんだけど、自分としてはオーディエンスのことも念頭に置いている。クーラ・シェイカーによるすべてのコンサートが“Congregation”であり、ハートとマインドが合わさるためのミーティングなんだ。ただのロックのライブではなく、それ以上の意味がある。ここ数年、世の中の出来事が人々を分断させていくなかで、愛や音楽には、僕たちを団結させるヒーリング・パワーがあると思う。このアルバムの収録曲では、そういうポジティブなメッセージを語っているつもりだ。

僕らのアルバムを目をつぶりながら聴くと、何かが見えてくるときがあると思うんだ。嵐が起こっていたり、教会の集会があったり、『モンティ・パイソン』の古いスケッチみたいなものだったり。心のなかで見えるミニ・ムービーみたいなもの、とても視覚的な体験なんだ。だからこそ、アートワークがとても重要になってくる。イメージみたいなものを脳に与えることで、一つのスタート地点を与えることができるからね。僕らは初期の頃からずっと、こういう発想で音楽を作ってきた。『K』もある意味、ミニ・フィルムみたいなものだよね。




『1st Congregational Church Of Eternal Love And Free Hugs』アートワーク

milet:だからクーラ・シェイカーの曲は、想像力を喚起してくれるんですね。(アルバムのジャケットを手にとって)今回のアートワークも素敵です。いろんな要素が盛り込まれていますよね。

クリスピアン:そこ(アートワークの右側中央)にグラストンベリー・トーが描かれているでしょ?

milet:そうですね。他にも白い象(アイラーヴァタ)がいて、天使がいて、悪魔がいて。「After The Fall (Part 1)」の歌詞にはルシファー(キリスト教におけるサタンの別名)も出てきます。仏教、ヒンドゥー教、キリスト教が混在しているようですが、宗教的な観点から、このアルバムの世界をどのように見ているのか教えてもらえますか?

クリスピアン:白い象はラクシュミー(ヒンドゥー教の女神、美と富と豊穣と幸運を司る)が所有しているもので、金貨が溢れているのは「富」を表現している。これは調和を保つことと、成功することのつながりを表しているんだ。

自分と周りの世界との調和が保たれると、人生のあらゆる物事がうまくフローしていくようになり、それによって自然に成功を収めていく。そこから多くの豊かさが生まれ、その豊かさから「富」が生まれる。お金も自分に必要な分だけを得ることができる。自分のなかで調和が保たれていれば、欲張ったりすることもなくなるから、ビル・ゲイツのようなお金持ちになれなくてもハッピーでいられる。

それから、ルシファーは「恐怖」を表している。自分のスピリチュアルな部分と繋がっていれば「恐怖」もなくなるんだ。何よりも最悪なこと、すなわち「死」の恐怖もなくなる。魂というものは永遠だから、歳を取ることも心配しなくていい。

そして、あらゆる宗教の教えは「愛」という道に通じている。それぞれの宗教にいろんな教えがあるけど、僕が一番好きなのは「愛が目標」という解釈だね。仏教には「自我をなくすことが苦しみの消滅にほかならない」という教えもあるけど、僕としては賛同できない。それよりは、「純粋な自我に立ち返らなければならない」というほうが好きだ。純粋な自我というのは、すなわち「愛」のこと。そういうシンプルな解釈が気に入っている。


Photo by Kana Tarumi

milet:最後の質問です。私を含めた日本中のファンが、またクーラ・シェイカーに会える日を待ち望んでいます。次の来日はいつになりそうですか?

クリスピアン:クーラ・シェイカーの場合、リリースやツアーの間隔がいつも空いてしまう。理由は二つあって、僕が映画を作ったりしているのと、レコードの制作に時間をかけたいから。でも最近は、僕らが若くてポップスターだった頃のマネージャーとまた仕事するようになって、新しいアルバムを結構早いペースで作っているんだ。だから日本にも、そう遠くないうちに行けると思う。

milet:わーい!

クリスピアン:そのときはまた連絡を取り合おう。日本で行くべきところを紹介してほしい。君がイギリスに来たら、グラストンベリーを案内するよ。

milet:やったー、今から待ち遠しいです!




milet
「Final Call」
木村文乃主演映画『七人の秘書 THE MOVIE』主題歌
再生・購入:https://milet.lnk.to/FinalCall



「milet livehouse tour 2022 “UNZEPP”」
2022年10月14日(金)神奈川県・KT Zepp Yokohama
2022年10月22日(土)福岡県・Zepp Fukuoka
2022年11月4日(金)北海道・Zepp Sapporo
2022年11月10日(木)愛知県・Zepp Nagoya
2022年11月11日(金)愛知県・Zepp Nagoya
2022年11月17日(木)大阪府・Zepp Osaka Bayside
2022年11月18日(金)大阪府・Zepp Osaka Bayside
2022年11月24日(木)東京都・Zepp DiverCity
2022年11月25日(金)東京都・Zepp DiverCity
詳細:https://www.milet.jp/live/


クーラ・シェイカー
『1st Congregational Church Of Eternal Love And Free Hugs』
発売中
再生・購入:https://SonyMusicJapan.lnk.to/CCELFHRS

Translated by Hitomi Watase

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