milet×クーラ・シェイカー対談 「世界一好きなヒーロー」とサマソニの夢共演を振り返る

2人を繋いだ楽曲「Govinda」について

クリスピアン:miletはライブへの集中力を高めて、グラウンディングするために何をやっている?

milet:心を落ち着かせて、自分はOKだと信じるようにしています。一緒に演奏してくれるミュージシャンも、みんなファミリーだから大丈夫って。あとは、大きなバランスボールを使ってトレーニングしたり、お茶にマヌカハニーを入れたり。ただ、お茶を飲んでも緊張するときはするので、そのときは深呼吸しています。


Photo by Kana Tarumi

クリスピアン:なるほど。僕は自分の声がよく出るように、喉をしっかり温めるようにしている。お茶、蜂蜜、生姜などを摂取することでね。だからライブの前に、いつもティー・セレモニーを開いているんだ。お茶を必要としていなくても、お茶をいれるという行為が集中することにつながるから。

自分がまだ若い頃、パリでギグをやったとき、ヴァル・キルマーが楽屋を訪れてくれた。『トップ・ガン』に出演していて、映画『ドアーズ』でジム・モリソン役を演じた俳優だ。彼はライブ前の楽屋を訪れたとき、ビールとかアルコールが散乱している光景を想像していたみたいで、僕らがお茶をいれていたから驚いていた(笑)。マントラを歌ったことはあったの?

milet:いえ、まったくなかったです。ヨガは以前やってましたが。

クリスピアン:じゃあ、マントラをオーディエンスの前で歌ったのは(サマソニでの「Govinda」が)初めてだったんだね。

milet:はい。

クリスピアン:マントラは僕にとって、とてもパワフルな体験なんだ。これらの歌は古くからあるもので、非常にスピリチュアルでもある。インド発祥のものでも、その他の国から発信されているものであっても、その歌は大地に属していて、あらゆる人々のものなんだ。集会ではパフォーマーが歌って、オーディエンスもそれに合わせて歌い、コール&レスポンスが繰り返される。つまり、曲のヴァースごとにパフォーマーとオーディエンスが入れ替わるんだ。だから、オーディエンスがステージに上がってもいいし、僕らパフォーマーがオーディエンス側に移ってもいい。そんなふうに役割が入れ替わることで、体験が共有という形に変わっていく。そこがいつも素晴らしいと思う。

特に「Govinda」を歌う時は、僕自身もオーディエンスの一部になったような気分になるんだ。そのときの僕は、全体をコントロールしている舞台監督……というより、お互いにエンジョイしているような感じかな。



milet:特別な体験ですよね。だからこの曲は、いつも私を宇宙に連れていってくれる。「Govinda」を聴いたり歌ったりすると、自分の身体とマインドの強いつながりみたいなものを感じられるんです。

クリスピアン:「Govinda」は最初にバンドとして演奏した曲で、僕らのファースト・ギグは、1993年のグラストンベリー・フェスだった。当時はまだ18、19歳の若造で、フェスのチケットも持っていなかったから、メンバー全員で誰かのフードトラックに楽器を積んで忍び込み、それでどうにかフェスに紛れ込むことができた(笑)。

milet:えーっ!?(笑)

クリスピアン:そこでは、ハレ・クリシュナの信者たちがべジタリアン・フードをステージで配り、彼らのマントラを歌っていた。だから、僕らは信者たちのところへ行き、「マントラを演奏するよ、僕らが君たちのバンドになるから」と伝えて、「Govinda」を演奏したんだ。それ以来ずっとプレイしている。僕らにとって特別な曲なんだ。だから日本で、君と一緒にパフォーマンスすることができてよかったよ。

Translated by Hitomi Watase

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