ペール・ウェーヴスが変化し続ける理由「インディじゃなくてオルタナティブになりたい」

 
モノクロの世界観にこだわる理由

―リリックについては、これまでと同様に内省的でありながらも、「Lies」に代表されるように自分が自分であることを誇りながら前進する力強さを感じました。何がそのような変化を起こさせたのでしょうか。

ヘザー:それは、私の年齢だと思う。歳を重ねて、パンデミックという経験も経て成長した。4人全員がもっと大人になったし、自分自身でいることにより心地よさを感じられるようになった。他人が言うことを前よりも気にしなくなったっていうのは大きいんじゃないかな。

―自分自身をもっとさらけだして表現できるようになったと。

ヘザー:そうだね。最初の頃は、曲の中で自分をそのまま表現してパーソナルなことを皆とシェアするっていうのは自然なことには感じられなかったから。でも、年を重ねて自分が好きなもの、やりたいことがハッキリしてくると、話したいと思えるようになったし誇りが持てるようになった。



―最近、LGBTQコミュニティに対しても自己受容の大切さを積極的に発信されていますね。

ヘザー:自分の周りにいるLGBTQコミュニティの人たちから自信をもらうことが多くて。強くてパワフルで、そういう人たちの姿を見ていると私自身も自分の経験について皆に話そうと思えてくる。実際、2ndアルバムをリリースした後の人々からのリアクションでもそれを感じたし、ライブで曲を演奏した時のリアクションからも感じている。私たちが曲に込めたメッセージが、こんなに人々にインパクトを与えるんだなっていうのを心から実感してる。

―ビジュアル面についても訊きたいのですが、ヘザーのゴスメイクはじめ全体の世界観と音楽性がますますマッチしてきている印象です。

ヘザー:私たちバンドにとって、美的感覚や世界観というものはとても大切。だから、ビジュアルは常に意識している。一つの世界観を作り出すためには音楽だけでなくビジュアルも必要になってくるから、私たちはその両方のことを考えているし、どちらに対してもベストを尽くしている。今回は特に一貫性を持たせたかったし、音とビジュアルに共存してほしかったんだよね。楽曲も、それぞれが全然違うのではなく全曲に繋がりがある。そうやって一つの大きな世界を作りたかった。


Photo by Pip

―今回はグラフィックでもムービーでも、モノクロの世界観がばっちりハマってますよね。

ヘザー:なぜかわからないけど、モノクロがしっくりきたんだよね。一番最初の時点から、これは白黒で表現するのがいいなっていうのをどこかで感じていたの。でもゴスのイメージにしたかったわけじゃなくて、どちらかというとクラシックなロックンロールのイメージで考えてた。

―ツアーが本格的に始まりますが、今作はやはりアメリカでの反応が特に気になるのでは?

ヘザー:アメリカもだけど、世界各地の反応も気になるよ。イギリスも、日本も。今回はサウンドがよりパワフルになってるから、そこが良いアピールになって皆を惹きつけてくれたらいいな。毎回アルバムを出すごとに世界各国のリアクションは様々で、人々がどう思っているのか、自分たちの音楽から何を感じてくれているのかを見るのはすごく面白い。今のところリリースしたシングルは良い感じだったから、アルバムにも良いリアクションをもらえたらいいんだけどね。

―日本では大阪・愛知・東京・神奈川での4公演を予定されています。日本のリスナーに向けて、今回のライブへの意気込みをぜひ。

ヘザー:すごく良いショーになるはず! 日本に行く時は、いつも最高の時間を過ごしてる。皆がショーに来てくれて、私たちの音楽を聴きたいと思っているのがすごく伝わってくるから。皆が一緒になって楽しんでくれるので、こっちもエナジーが全開になるし会場全体が一つになったように感じられるんだよね。だから今回も、注げるだけのエネルギーを注いで最高のショーをやりたいと思ってる。何よりも、また日本に行けることがすごく嬉しい!もう何年も行けてないから、行きたくてしょうがない。

―楽しみに待っています!

ヘザー:ありがとう。またね!




ペール・ウェーヴス
『Unwanted』
発売中
日本盤ボーナストラック1曲、歌詞対訳、解説付き
再生・購入:https://virginmusic.lnk.to/UnwantedCDMB

Pale Waves JAPAN TOUR 2022
2022年10月31日(月)BIGCAT
2022年11月1日(火)名古屋クラブクアトロ
2022年11月2日(水)恵比寿ガーデンホール
2022年11月3日(木・祝)横浜ベイホール
詳細:https://www.creativeman.co.jp/event/pale-waves22/

Translated by Miho Haraguchi

 
 
 
 

RECOMMENDEDおすすめの記事


 

RELATED関連する記事

 

MOST VIEWED人気の記事

 

Current ISSUE