ドラムンベース人気再燃の理由とは? DJカルチャーの変容と女性たちの活躍

リバイバルを後押しする女性アーティスト

D&Bリバイバルを後押ししている要因の1つは、女性アーティストの増加と躍進だ。2018年12月にローンチされた、ドラムンベース界におけるジェンダー平等の促進を掲げるロンドンの女性アーティスト集団EQ50はその中心的存在だ。「彼女たちにはすごく勇気づけられてる」。そう話すSherrelleは、EQ50についてこう語る。「私のような存在の居場所を作ろうとしてくれているから。長い間、D&Bのシーンは男性ばかりだった。今はDJとして活躍する女性や、ノンバイナリーの人々がすごい勢いで増えてる」


Sherelle(Photo by Isaac Lamb)

ダンスミュージック全般のポピュラリティが拡大していることも、D&Bの盛り上がりに貢献している。「俺たちの世代では、ニッチなジャンルにこだわり続けることが美徳とされていた」。そう話すのは、ロサンゼルスを拠点とするプロデューサー兼DJであり、主催するパーティDirtybird CampoutにD&BのDJを2015年から定期的にブッキングし続けている(今年はゴールディーが出演予定)、クロード・ヴォンストロークことBarclay Crenshawだ。「それも今や過去の話さ」

ジャンル以上に、BPMはDJのプレイスタイルを左右する。昔からテクノのBPMは130〜135が主流だったが、DJたちは2010年代末から140以上でプレイし始めた(例えばアヴィーチーの「Levels」がBPM126であるのに対し、Darudeの「Sandstorm」はBPM136)。分岐点となったのは、ドラムンベース界の期待の若手の1人であるロンドンのSherrelleによる、大きな話題を呼んだ2019年のBoiler Roomでのセットだ。それは「人々がよりテンポの速い曲を求めていることを証明した」と彼女は話す。



パンデミックを経て、よりハードにパーティしたいという人々の欲求はテンポをさらに加速させた。「ベルリンに住んでいる友達はこう言ってた。『最近のクラブではBPM150以下の曲は流れない』」。そう話すのは、元DJ MagのエディターLauren Martinだ。オランダ出身のプロデューサー兼DJであり、現在はワシントンD.C.を拠点としているMartyn Dekkersはこう話す。「テクノのDJは170で曲をスピンしていて、ベースミュージックのDJも170で回してる」。つまり、ドラムンベースは今やミッドテンポに分類されるということだ。

「とにかく速く、本物の感情を宿したサウンドが求められてる」とSherelleは話す。「オーディエンスが必要としているのは、インパクトだけではなく何かしらの感情を喚起する音楽だと思う。ダンスミュージックのシーンは、常に楽しさと驚きに満ちているべきだから」

From Rolling Stone US.


Translated by Masaaki Yoshida

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