ツタロックフェス2022:Saucy Dogの止まらぬ勢い、胸が熱くなる「一期一会」

Saucy Dog(Photo by Taichi Nishimaki)

本日3月20日、幕張メッセ国際展示場9・10・11ホールで開催中のツタロックフェス2022。Saucy Dogのクイックレポートをお届け。

【写真を見る】Saucy Dogのステージ(記事未掲載カットあり)

Saucy Dogの3人が本番前のサウンドチェックを始めると、客席がどよめき、本番を待ちきれない観客が手拍子を始めた。日本武道館公演や全国10カ所12公演を行ったホール・ツアーを成功させた彼らは今年6月、東名阪アリーナ・ツアーに挑戦するという。キャパ200人のライブハウスで彼らのライブを見たのはいつのことだったろうか。いや、そんなに昔のことじゃない。そんな彼らがどんなライブをするのかが楽しみだった。

石原慎也(Vo, Gt)、秋澤和貴(Ba)、せとゆいか(Dr, Cho)の3人がアイコンタクトでしっかりと呼吸を合わせ、「結」から始まった演奏は、「この曲知ってる人?」という石原の問いかけに無数の手が挙がった「雀ノ欠伸」、秋澤と石原がソロをリレーした「ナイトクロージング」と曲が進むにつれ、どんどんと熱を上げ、それに手拍子で応える観客とともに序盤から大きな一体感を作り上げていった。






Photo by Taichi Nishimaki

ギターをかき鳴らしながら、時折、気持ちが先走る石原、ギターをかき鳴らす石原の代わりにベースでメロディも奏でる秋澤、そしてどしっとドラム・プレイで演奏を支えながら、ハーモニーも加わると――3人だけの音色で彼らが演奏するのは、青春のセンチメントが滲むフォーキーなところもあるギター・ロックだ。飾らない曲の数々を精一杯の反応で受け止める観客の反応からは、Saucy Dogが今、どんなふうに期待されているかが伝わって来た。

「ツタロック初参戦、すごくうれしいです。みんなにとって大事なイベントになるように力添えするつもりで楽しいライブをしようと思っているので最後まで楽しんでいってください」(せと)

そんな思いを伝えてからの後半戦。「みんなで歌いたい曲ができました。心の中で歌いながら手拍子でみんなの感情を見せてください」と石原が言った「ノンフィクション」、持ち前のメランコリーを、徐々に熱を帯びる演奏に落とし込んだ「シンデレラボーイ」、ロックンロールの「ゴーストバスター」と曲を繋げていったバンドの勢い、それに応える観客の反応ともに、どんどん高まっていく。そして、前へ前へと進んでいく勢いに満ちたライブ・アンセムの「バンドワゴンに乗って」は、さらに大きな夢に向かって走り出した。

そこをこの日一番のハイライトにしてもいい。しかし、筆者が一番ぐっと来たのは、「Saucy Dogの名前を知ってくれる人が増えてきてうれしい。もっと良い曲をどんどん書いていきたいと思いながら、それをプレッシャーに感じたり、人の前に立つのが怖くなったりしてます」と石原が、バンドが飛躍を遂げようとしている今現在の嘘偽らざる気持ちを語ってから披露したバラードの「いつか」だった。

「ライブは一期一会だと思っているけど、またあなたに会いたいという気持ちを込めて、最後に歌います」(石原)

もう会えない君に、いつか会いたいと歌いながら印象づけるセンチメントに胸が熱くなった。どうしてくれんだ、この気持ち!? ただスカッとしておしまいじゃなく、ちょっと持て余すような、後を引くような感情を最後の最後に置いていくところがなんとも心憎かった。


SET LIST

M1. 結
M2. 雀ノ欠伸
M3. ナイトクロージング
M4. ノンフィクション
M5. シンデレラボーイ
M6. ゴーストバスター
M7. バンドワゴンに乗って
M8. いつか

※「ツタロックフェス2022」クイックレポート一覧はこちら

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