松本隆が描いたエロティシズム、80年代後半から90年代前半までを辿る

モノトーン・ボーイ / レベッカ

1987年4月発売『「微熱少年」MOVIE SONGS』というアルバムからレベッカの「モノトーン・ボーイ」。『微熱少年』というのは70年代のエッセイ集のタイトルでもあるのですが、1985年、聖子さんと離れた後、同名の小説を松本さんは書いてます。その小説をもとにして、監督もやっているんですね。これは彼はあまり語りたがらない。自分からやりたいと言ったわけではなくて、そういうはめになってしまったみたいなところがあって、そのへんの経緯も本の中に書いてあります。映画には拓郎さんや細野さん、森山良子さんや財津和夫さんたちも友情出演しているので、そういう顔ぶれをちょっと見てみたいなということでご覧になるのはいいかもしれませんが、松本さんは「観なくていいよ」って言っておりました(笑)。



1986年12月発売中山美穂さんのアルバム『EXOTIQUE』から「炎の舞」。作曲は筒美京平さんですね。中山美穂さんのデビューは1985年6月。聖子さんを離れた後に手がけられているんですね。デビュー曲は「C」という曲でした。Cというのは男女交際の中でのA、B、Cの段階を歌っているわけですね。それも筒美さんです。中山美穂さんは1985年にレコード大賞の最優秀新人賞を受賞しているわけですが、新人賞の他の人では芳本美代子さん、本田美奈子さんもいて、新人賞が5人。中山美穂さんも入れて、3人を松本さんが書いていたんですね。つまり、松田聖子さんを離れて、いろいろな人に詞を書くようになっていたわけですが、この時期にデビューをしたアイドルには共通の壁がありました。松田聖子の壁。松田聖子とどう差別化するか。中山美穂さんが選んだ路線はとんがりだった。このアルバムのディレクターの福住さんにお話を伺ったんですけども、1986年の「JINGI・愛してもらいます」というのがツッパリに向けた姉さん目線の歌なんですね。これも松本さんが書いているんです。

「炎の舞」が入った『EXOTIQUE』はエロティシズムがテーマなんですね。アルバム全体を筒美さんが書いているわけで、筒美さんと松本さんの大冒険。この時、中山美穂さんは16歳ですからね。この歌詞、この曲を歌いこなせるとは思えないわけですけども、ディレクター、制作者はそれは十分承知の上でそれをやることに意味があったという話をしていました。海外のいろいろな国をテーマにして、エロティシズムを歌っている、アルバムの中の1曲が「炎の舞」でした。

で、松本さんはエロティシズムは僕の1つの要素だと言っているので、そんな曲をもう1曲お聴きいただこうと思います。中原理恵さんで「仮面の告白」。

Rolling Stone Japan 編集部

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