テレビ収録で連続殺人を「自白」してしまった米富豪、仮釈放なしの終身刑に

2021年8月9日、米カリフォルニア州イングルウッドで行われた公判で、証言台に立つロバート・ダースト被告(Photo by Gary Coronado/Los Angeles Times/Pool/AP)

米ニューヨークの著名な不動産王の息子、ロバート・ダースト被告が現地時間14日、20年以上前に親友のスーザン・バーマンさんを殺害した罪で、仮釈放なしの終身刑を言い渡された。

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「十分な証拠、まさに抗しがたい有罪の証拠があります」。ロサンゼルス郡上位裁判所のマーク・ウィンダム判事が午後の審理でこう述べる間、衰弱した様子の78歳のダースト被告は車いすに身をうずめ、背もたれに頭を預けていた。

「スーザン・バーマンさんは非凡な人物でした。個人的にお見知りおきしておきたかったと思うほどです」とウィンダム判事は言い、高層ビル帝国の御曹司の手で彼女が死んだことを「恐ろしく、憂慮すべき罪」と呼んだ。

先月ダースト被告は第1級殺人罪で有罪評決を受けた。検察は1982年、キャシーの愛称で親しまれていた最初の妻キャスリーン・マコーマックさんの謎の失踪にまで遡る壮大な説を展開。結婚生活が上手くいかなくなったためにダースト被告がキャシーさんを殺害し、バーマンさんに証拠隠蔽を手伝わせて容疑をかわした、と主張した。2000年、キャシーさん失踪事件に再び捜査の手が伸びると、追い詰められたと感じたダースト被告は口封じのために、ロサンゼルスにあるバーマンさんのバンガローで至近距離から彼女を射殺した、と検察は述べた。

「ボブは極度の社会病質者でナルシストです」。バーマンさんの義理の息子に当たるサレブ・カウフマンさんは14日の被害者陳述でこう述べ、彼女が殺害された後は「日々魂をさいなまれ、胸が張り裂けそうな体験」だったと言った。

「あなたは、ずっと自分を愛してくれた唯一の人間を殺したんです」と、カウフマンさんはダースト被告に直接語りかけた。「あなたが何らかの贖罪の希望を見出せるとすれば、(マコーマック家に)キャシーさんの居所を教えることです」

同じ日、ロサンゼルス郡検事局のジョン・ルーウィン検事補もカウフマンさんに加勢し、ダースト被告にキャシーさん殺害を自供して、いまだ見つかっていない遺体のありかを白状するよう要請した。ダースト被告は陳述することを拒否した。「我々は控訴する方針です」と、主任弁護士のディック・デグラン氏は法廷で述べた。

審理の後キャシーさんの兄ジム・マコーマックさんに電話で接触したところ、彼はダースト被告が口をつぐんでも驚かない、とローリングストーン誌に語った。「ボブをよく知っています。彼はここぞと言うタイミングを狙ってくるつもりです。今日はそのタイミングではなかったんです」と彼は言った。「ですが今でも、彼に良心が芽生えることを願っています。今も善い行いができるはずです。スーザンや彼女の遺族、友人には正義が果たされました。今回の有罪判決はキャシーにとってもささやかな正義の一歩ですが、ウェストチェスター郡にはひるむことなく、勇気を振り絞っていただきたいですね。この裁判と判決が終わった今、次の焦点はウェストチェスター郡です」。今度はキャシーさん殺害でダースト被告を起訴し、ニューヨーク州で裁きにかけてほしい、と語った。

Translated by Akiko Kato

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