岩田剛典と新田真剣佑がW主演『名も無き世界のエンドロール』:世間からはみ出した若者たちの壮大な復讐劇

映画『名も無き世界のエンドロール』W主演の岩田剛典(左)と新田真剣佑(右)©行成薫/集英社 ©映画「名も無き世界のエンドロール」製作委員会

岩田剛典と新田真剣佑が初共演となり話題となったサスペンス映画『名も無き世界のエンドロール』。「親がいない」という共通点を持つ幼馴染みの2人が、不条理な世の中に復讐を遂げるため10年越しに「計画」した壮大なプランとは?

「私が怖いのは、忘れられること。自分の存在が消されちゃうことかな」

2012年に第25回小説すばる新人賞を受賞した行成薫による小説『名も無き世界のエンドロール』(応募時のタイトルは「マチルダ」)を、岩田剛典と新田真剣佑のW主演で映画化した同名作品のBD&DVDがリリースされた。本作は、「親がいない」という共通点を持つ幼馴染みの2人が、自分たちの運命を変えた不条理な世の中に復讐を遂げるため、異なる道を歩み10年越しの「計画」を遂行するという壮大なストーリー。監督は、『キサラギ』(07)第50回ブルーリボン賞作品賞、第31回日本アカデミー賞優秀作品賞など数多くの映画賞に輝き、その後も『ストロベリーナイト』(13)や『脳内ポイズンベリー』(15)など、いくつもの話題作を手がけた佐藤祐市が務めた。

複雑な家庭環境で育ったキダ(岩田)とマコト(新田)。2人は小学生の頃、同じ境遇の転校生ヨッチと出会い、支え合いながらお互いの絆を深めていくようになる。しかし彼らが二十歳を迎えた年に、ある理由でヨッチは2人の前から突然いなくなってしまう。そこに突然現れたのが、政治家の令嬢であり芸能界でも活躍するトップモデルのリサ。なぜか彼女に強い関心を持ったマコトはその場で食事に誘うが、全く相手にされない。「住む世界が違うんだから諦めろ」と、キダにいなされるマコト。しかし彼はその直後、仕事を辞めて忽然と姿を消してしまったのだった。


©行成薫/集英社 ©映画「名も無き世界のエンドロール」製作委員会

2年後、マコトを探すために裏社会にまで潜り込んだキダは、その界隈の実力者である川畑の情報によってようやく再会を果たす。マコトは失踪後、自分を「足蹴」にしたリサにふさわしい男になるため、死に物狂いで金を稼いでいた。なぜ彼はそこまでしてリサに執心しているのか。その真の理由を知ったキダは、自分の人生全てを賭けてマコトに協力することを誓う。マコトは「会社の経営者」として、キダは「闇の交渉人」として表と裏、両方の社会でのし上がっていく。そして迎えたある年のクリスマスイヴ、2人は10年もの歳月をかけて準備してきた「とある計画」を遂に実行に移すのだった。

キダとマコトとヨッチが出会った少年少女時代、3人が微妙な「三角関係」へと発展していく青春時代、ヨッチが突然姿を消してしまう青年時代、そして現代と、物語は大きく4つの時代をシャップルしながら進んでいく。そのため、ヨッチはなぜ2人の前から姿を消してしまったのか、マコトがなぜそこまでリサにこだわるのか、キダはなぜ命をかけてマコトをサポートするのか、映画の後半になるまで我々観客には明らかにされない。ところがクライマックスのあるシーンをきっかけに、まるでオセロの石が一気にひっくり返るように、全ての真実が明らかにされていく。それまで巧妙に貼られた伏線(=トリック)が次々と回収されていくそんな「快感」も、映画でこそ味わえるものだろう。


©行成薫/集英社 ©映画「名も無き世界のエンドロール」製作委員会

大概の物語という物には「トリック」が仕掛けられています。
この作品にも大きなトリックが有ります。そして劇中には「ドッキリ」という言葉で表現される小さなトリックも登場します。
要は観客を上手に騙し、作品をより楽しんでいただく、という事だと僕は思います。

巧く表現出来れば素晴らしい効果を発揮し、観客を更に深く作品の世界に導く事が出来る。
ただ、計算通りに観客に観せ切ると言うのは、本当に難しいことだな、と今回つくづく感じました。
(佐藤祐市 コメントより)

冒頭で紹介したのは、中学時代のヨッチがキダとマコトに呟いた言葉である。転校する前の学校で「虐め」に遭っていた彼女は、クラスメートから「いないもの」のように扱われ、「いつか世界中の人が、自分の存在を忘れてしまったらどうしよう」という恐怖をずっと感じ続けていた。それを聞いたキダとマコトは、ヨッチを虐めていた連中に対し「ある行動」を起こす。おそらくそれは、大人になった2人が「不条理な世の中」に対して行う10年越しの「復讐」へと繋がる行動でもあったのだろう。


©行成薫/集英社 ©映画「名も無き世界のエンドロール」製作委員会

人間はいつか必ず死に、残された人の記憶からもやがて消え失せていく。それが恐ろしく耐え難いことだからこそ、この世に生きた証を残したいと誰もが願う。世間からはみ出した、「名も無き世界」に生きるキダとマコトが「人生のエンドロール」に何を記したかったのか。それを知ったときに共感せざるを得ないのは、人はみな多かれ少なかれ「私は、ここにいる」と叫びたい衝動に駆られる瞬間を経験したことがあるからだろう。

なお、本作の半年後を描いたWebドラマ『Re:名も無き世界のエンドロール 〜Half a year later〜』が今年1月に配信されたが、こちらのBD&DVDも映画と同時リリースされる。ドラマにて新登場する金子ノブアキの「怪演」ほかこちらも見どころ満載だが、ネタバレ必至のため映画より先に絶対に観ないでほしい。

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名も無き世界のエンドロール
出演:岩田剛典 新田真剣佑 山田杏奈 中村アン / 石丸謙二郎 大友康平 柄本明
©行成薫/集英社 ©映画「名も無き世界のエンドロール」製作委員会




■『名も無き世界のエンドロール』コンプリート版Blu-ray (BD2枚+DVD1枚)  12,980円(税込)
■『名も無き世界のエンドロール』コンプリート版DVD (DVD3枚)  10,890円(税込)
■『名も無き世界のエンドロール』豪華版Blu-ray (BD1枚+DVD1枚) 7,700円(税込)
■『名も無き世界のエンドロール』豪華版DVD (DVD2枚)  6,600円(税込)
■『名も無き世界のエンドロール』通常版DVD 4,290円(税込) 
■dTVオリジナルドラマ「Re:名も無き世界のエンドロール ~Half a year later~」DVD  4,290円(税込)  


名も無き世界のエンドロール
2021年8月4日Blu-ray&DVD発売
※DVDレンタル・デジタル配信中
https://namonaki.jp/dvd/index.html

発売元 株式会社ハピネットファントム・スタジオ
販売元 株式会社ハピネット・メディアマーケティング
(C)行成薫/集英社 (C)映画「名も無き世界のエンドロール」製作委員会

公式サイト https://namonaki.jp/



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