デイヴ・グロールが語る、ドラム・バトルで得た2020年最大のインスピレーション

希望が最も大切なエモーション

ーちなみに、ドラム・バトルで叩いたドラムセットは娘さんから借りたものですか?

デイヴ:そうそう!(爆笑) 俺には11歳になる娘がいて、ナンディほど真剣にドラムをやってはないんだけど、ドラムは叩いてるんだ。AC/DC、ラモーンズ、クイーンあたりをレパートリーにしてるよ。娘のドラムセットは11歳向けのもので、俺の普段のデカいドラムセットに比べるとかなり小さい。51歳の大人が子供用のドラムセットでドラムバトルに臨んだら面白いと思ってね(笑)。俺には3人の娘がいて、14歳、11歳、6歳なんだけど、娘たちにとってナンディは同世代のヒーローなんだよ。ナンディが自分の好きなことを一生懸命やってるのを見て、自分たちにも何かできるんじゃないかと思ったみたいなんだ。ドラム・バトルをやったことによって、娘たちもインスピレーションをもらえたんだよ。

ーコロナ禍の状況だからこそアルバムを出さなきゃってなったという話も出ましたが、アルバムの内容も楽しくてダンスできるようなものになったからこそ、余計に今の時代に出す意味も大きくなったように思います。

デイヴ:俺自身、このアルバムは何度も何度も聴きまくるほど大好きで、すぐにまた聴きたいなって自分でも思ってしまうくらいなんだ。車の中で聴いて仕事に向かうし、仕事の後に車に乗った時もまた聴いてる。家に帰ってディナーを作る時もまた聴いてるんだ。聴いてると、新しさとかうれしさ、楽しみな気持ちが湧いてくるんだよね。音楽には信じられないほどのエモーショナルなパワーがあって、その中でも特に音楽からもらえる最高の贈り物の一つが希望だと思うんだ。特に2020年は厳しい年になったから、希望が最も大切なエモーションとなったと思う。ギブアップしないように頑張って闘わなきゃいけないし、自分のエネルギーをずっとポジティヴにキープしていかなきゃいけない。これってスゴく大変なことだよね。俺自身もこの状況には食らってしまって、かなり落ち込んでたんだ。だけど自分自身を奮い立たせて、希望を見出して、トンネルの先にある光を見つけようと思ったんだ。でも実際、その希望は存在するんだよ。しかも毎日少しずつ近づいていってるんだ。毎朝目を覚ました時に、希望から離れることがないよう、そして希望に少しでも近づいていこうと思ってるね。


Photo by Danny Clinch

ー11月24日にLAのロキシーを会場にして、ライブ・ストリーミングを行いましたよね。今後、このようなオンライン・ライブをやっていくのでしょうか?

デイヴ:まず言っておきたいのは、無観客でライブをやるのはスゴく奇妙な感覚だったっていうこと(笑)。もちろんバンドだけで練習するのは当たり前にやってることだよ。メンバーだけでやってると楽しいし、居心地もいい。でもステージに立って、照明が当たる中、マイクが立ってて、PAシステムも整ってるのに、誰もいないっていうのはかなり変な感じだったね。ただ、それほど楽しめるものとは思ってなかったし、「OK、やらなきゃな」って感じだったんだけど、実際にやってみたらかなり良かったんだよね。メンバー以外で会場にいたのはローディが6~7人いただけで、拍手してるのは彼らだけだったんだけど(笑)。オンライン・ライブは今後もっとやっていくつもりだよ。同時に、ライブの新しいやり方も考えないといけない。やるからにはスペシャルなものにしたいからね。ちょうど今日、2021年のスケジュールについてミーティングをやったばかりなんだけど、普通のオンライン・ライブをしょっちゅうやるのではなく、スペシャルなものをやるべきなんだっていう話になったんだ。再び安全な状況になって、普通のライブができるようになるまでは、そういうことをやっていかないといけないと思ってる。

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