亜無亜危異、デビュー40周年で取り戻したパンクの初期衝動「ようやくピストルズに勝ちに行ける」

「不完全復活」以降の充実感

―こういう形でのインタビューですが、今日はよろしくお願いします。前半は「不完全復活」を果たしてから現在に至るまでの主要なライブを振り返りながら話を聞き、後半で新作『パンク修理』についてのことを聞きたいと思ってます。

仲野茂(Vo):はい。よろしくお願いします。

―自分は長い間、亜無亜危異のライブを観続けてきましたが、この2年のライブを観ていて強く感じるのは、亜無亜危異はいまが最高なんじゃないかということで。みなさんの実感としてはどうですか?

仲野:そうですね。まあ、紆余曲折ありましたけど、マリの死をきっかけに4人でまたやることになってね。というか、もともとは「MAVERICK KITCHEN」というイベント(2013年5月4日・恵比寿リキッドルーム。これが結果的に5人での最期のライブとなった)にまた5人で出たことがきっかけだったんだけど。


2013年、「MAVERICK KITCHEN VOL.5」でのライブ映像

―あのライブは強烈でした。初っ端でいきなり新曲の「パンクロックの奴隷」を初披露して。

仲野:うん。新曲をやらないなら復活する意味がないって伸一が言ってて、それで「パンクロックの奴隷」って曲ができたことが大きかった。結局あれが5人で作った最後の曲になっちゃったけど。

―伸一さんはどうですか? いま亜無亜危異はいい状態にあるなと実感してますか?

藤沼伸一(Gt): うん。いい状態じゃなかったら続いてないだろうからね。


Zoom取材中の仲野茂

●【写真ギャラリー】Zoom取材中の亜無亜危異+ライブ写真(全6点)

―2017年6月にマリさんが亡くなって、翌月の新木場スタジオコーストのイベントは4人で出演。そして2018年1月の新宿LOFTで「不完全復活」を宣言しました。このライブが本当の意味での再始動だったわけですが、振り返ってみて、どうですか?

仲野:コーストのときはマリのことがあったからね。あれはオレたちにとって、やっぱり事件だったし、やるべきかやめるべきかっていうのもあったし。で、コーストをやって、そこから新宿LOFTまでは意外と早かったというか。4人でやることに気持ちがシフトできた気がしたライブだったかな。違和感がなかった、っていう言い方がいいのか悪いのかわかんないけど。

―もう吹っ切れてた。

藤沼:吹っ切れてたというか、「4人でやってこうぜ」ってなってからのオレらの行動が早かったんだと思う。だから、そのまますぐミニアルバムの『パンクロックの奴隷』を作ったし。いつも「やろう!」ってなってからは早いんですよ。それまでが長いんだけどね(笑)。始まったら早い。

寺岡信芳(Ba): そうだね。


2018年、新宿LOFTで撮影された「パンクロックの奴隷」MV

―新宿LOFTのライブは、終盤でコバンさん(小林)が満身創痍といった感じになりながらも気迫で叩き切ったのが印象に残ってます。コバンさん、あのライブはどうでした?

小林高夫(Dr):ええっとね、あのときは……。

伸一:おい、茂がなんか食ってるぞ。何食ってんだ、茂?!

仲野:うるせえな。コバンに質問がいったんだから、いいじゃねえかよ(笑)。

―はははは。で、どうでした? コバンさん。

小林:あのライブあたりから、最後まで力を持続させるためにはどうしたらいいかってことを考えるようになったってところはあるかもしれないですね。それまでは何曲かで倒れてましたけど(苦笑)、あれからジムに行ったりなんなりで体力的なところをなんとかして、ワンステージの配分を調整できるようになった。それは大きいと思います。まあ、残された時間は少ないですからね。もう数えるくらいしかライブができないかもしれないですから。

―いやいや、そんなことはないでしょうけど(笑)。

小林: もう、一回一回、必死です。

―そうして4人での活動が始まり、2018年5月には「ARABAKI ROCK FEST.18」に出演されました。あれはどうでした?

仲野:最高でしたね。オレたち、フェスというものがガーっと大きくなっていったときに、活動してなかったから。だからアラバキに呼ばれたときは、めっちゃ嬉しかった。アラバキって、バンドマンの間ですごく評判のいいフェスでね。バックステージで飲み食いが自由にできるし、いろんなバンドが集まれるから、アラバキとライジング(RISING SUN ROCK FESTIVAL)はいいよって話を聞いてて。オレらが出たときは、ちょうどジー・フリーク(G-FREAK FACTORY)が同じステージだったし、陣内(孝則)とか久しぶりに会えたやつもいて、オン・ステージも盛り上がったけどオフ・ステージもすごい盛り上がった。楽しかったよ。

寺岡:アラバキも、去年のフジロックやライジングもそうですけど、ああいうフェスに出れたのはすごく大きくて、それがいまに繋がってる気がしている。オレたちを観たことのない世代にアピールできたっていう意味で、どれも手応えは大きかったですね。

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