フジロックフェスィテバル3日目。前夜の豪雨がおさまり晴れ間ものぞく中、RED MARQUEEに登場したのは、オーストラリア出身のシンガー・ソングライター、ステラ・ドネリー。日本でも注目を集める彼女にインタビューを実施した。ちなみに取材は2日目に会場で行われたもの。大雨の中、愛くるしい表情でフォトシューティングにも応じてくれた。ー最初に自分の曲を作ろうと思ったきっかけは?私はカバー・バンドを長い間やっていたんだけど、ずっと続けてるうちに「これって俳優みたい」って思えてきて。他人が作った音楽に合わせて他人の歌を演じてるというか。曲とのコネクションが無いことに私自身、どんどん悲しくなってきて、そこから自分の曲を作りたいと思うようになったの。カバー・バンド以外にも、パンク・バンドでヴォーカルをやっていたこともあったから(ボート・ショウやベルス・ラピッズ)、そういう体験も「自分の曲を作る」という意味では影響を受けたかな。
ーオリジナル曲を書く上で、特にインスパイアされたアーティストは誰ですか?自分にとって重要なアーティストは、ビリー・ブラッグとカタトニア。特にカタトニアのヴォーカル、ケリス・マシューズの歌い方はスウィートなのに野性味があって、とても好きよ。
ーステラの音楽は重いテーマを軽いタッチで聴かせてくれますよね。ケリス・マシューズのように、いろんな面を一つの曲の中で表現したいという気持ちはありますか?私は音楽を作る際、教育的なところも大事にしていて。それは他人に教えるという意味ではなく、自分の行動を振り返り、鏡の自分に問いかけるようなものね。それが結果、他の人を啓蒙できたのなら嬉しいわ。そして、ユーモアは自分のエッセンスだということも認識してる。
Photo by Kazushi Toyotaー「ユーモアが自分のエッセンス」と気づいたのは、どんなきっかけでしたか?カバー・バンドでステージに立っていた時、ユーモラスなことを言って一息入れると、ライブに緩急が生まれてお客さんが安心して聴いてくれることに気づいたの。3年くらい前だったかな、その要素を自分の曲に取り入れてみようと思ったのがきっかけだと思う。
ーデビューEPの『Thrush Metal』でヌードルを食べてるアートワークの写真が印象的でしたが、あれはどんなシチュエーションで撮影したのですか?私の今回一緒に来日した、バンド・メンバーで親友のジョージはフォトグラファーでもあって、彼に『Thrush Metal』のアートワークを頼んだのね。で、その撮影をする前にスタジオ近くで食事をすることになったの。私はヌードルを注文して、その時あまりにもお腹が空いてたから、箸を使わずフォークでがっついたのよね(笑)。それをジョージが面白がって、テスト用に撮ったうちの一枚が、あのジャケット写真というわけ。そのあとスタジオで本番用の写真を撮ってみたけど、どれもあの写真には敵わなかったわ。
ーまたミュージック・ビデオなども含めて、あなたのファッションも日本で話題になりました。ファッションに興味を持つようになったのは、古着屋に行くようになったことがきっかけね。セレクトは限られてるけど、ユニークなものがたくさんあってクリエイティブになれる。そこからだんだんファッションの面白さに目覚めていったの。私は小柄なのもあって、日本や韓国の服に興味があっていつもチェックしてる。欧米の服にはない袖口、襟元の感じが気に入ってるし、自分にサイズがピッタリ合うっていう部分でも好きよ。
ー着こなしの参考にしている人とかいます?うーん、すぐには思いつかないけど、でも前髪をこうやって切り揃えたのは、映画『アメリ』を観た影響かな。