2012年に起きたステージ崩落事故は、レディオヘッドのドラムテクニシャンだった33歳のスコット・ジョンソンの命を奪った。この事故をめぐる調査を監視した陪審員たちは新たな安全勧告を提案し、レディオヘッドはこれを支持すると発表した。2012年にトロントで起きたステージ崩落事故により、レディオヘッドのドラムテクニシャンだったスコット・ジョンソンは命を落とした。先週水曜日に終了した同事故をめぐる調査を監視した5人の陪審員たちは、オンタリオ州における仮設ステージ設営において、28項目に渡る法的拘束力を持たない安全勧告を新たに提案した。レディオヘッドは
Twitterでコメントを発表し、同様の事故が2度と起きないようにするために、その安全勧告が厳守される必要があると訴えた。
「ステージの崩落は未然に防ぐことができたことを考慮すれば、不慮の死という判断が覆されたことも十分であるとは言えない」レディオヘッド側はそう主張している。「クルーやオーディエンスを同様の事故から守るために、陪審員たちは綿密で実践可能な安全勧告を提案した。これらの内容が実践されるよう、我々は常に目を光らせていなければならない」
オンタリオ州の主任検死官の提案により3月に開始された審査では、レディオヘッドのドラマーのフィル・セルウェイ、そしてジョンソンの父親ケン・ジョンソンも証言した。バンドは同事故に対する公平な判決と説明を求めて長く争ってきたが、この審査の終了をもってようやく区切りがついた形となった。
2012年6月にトロントのDownsview Parkで開催が予定されていたレディオヘッドのコンサートにおいて、ジョンソンは屋外に設置されたステージの下敷きになって死亡した(同事故ではその他3名が負傷した)。2013年にオンタリオ州の労働省は、コンサートプロモーターのLive Nation Canada、建築資材会社Optex Staging and Services、そしてエンジニアのDomenic Cugliariを、州のOccupational Health and Safety Actの違反の罪で告発した。これに対しLive Nationは、自社の責任について繰り返し否定していた。
争いは法廷に持ち込まれ、裁判は度重なる遅延によって14ヶ月間に及んだ。終盤になってその訴訟を担当した裁判長がより高位の裁判所に移り、彼が下した判決が無効となったことで裁判は不成立となった。そして2017年、新たに任命された裁判官は2016年に制定されたカナダにおける最長審理時間の規定に基づき、地方裁判所で扱われる訴訟は18ヶ月以内に審理されなくてはならないと強調した上で、その裁判の終了を決定した。
裁判の度重なる遅延に対し、レディオヘッド側は幾度となく怒りを露わにしていた。裁判の終了が決定した際には、バンドは「決定内容に強い憤りを覚えている」とした上で、「スコット・ジョンソン本人、彼の両親、そして我々クルー全員に対する侮辱だ」と主張した。2018年7月、バンドが2012年の事故以来初めてとなる
トロントでのコンサートを開催した際に、フロントマンのトム・ヨークはステージ上でこう述べた。
「君らの街では、責任を取るべき人間たちがその責任から逃げ回り続けてる。沈黙という名の轟音は今も鳴り止まない」