ザ・ヴァクシーンズ、一夜限りの来日公演のレポートが到着

11月21日に渋谷・duo MUSIC EXCHANGEで来日公演を行ったザ・ヴァクシーンズ(Photo by Masanori Naruse)

英ロンドン出身のロック・バンド、ザ・ヴァクシーンズが昨日11月21日に渋谷・duo MUSIC EXCHANGEにて約6年ぶりとなった単独来日公演を開催。一夜限りのプレミアなライブでは、先週リリースされたばかりの最新シングル「オール・マイ・フレンズ・アー・フォーリング・イン・ラヴ」など、新旧織り交ぜたパワフルなセットが披露された。その最速レポートをお届けする。

ジャスティン・ヤング(Vo&G)は最新アルバム『コンバット・スポーツ』について、「自分たちがどんなバンドだったのか、どのようなバンドになりたかったのかを再発見したアルバム」だと語っていたが、ギター・ロック・バンドとしてのアイデンティティを100%奪還した彼らが打ち鳴らす、最高のロックンロール・ステージとなった今回のザ・ヴァクシーンズの来日公演は、まさに彼のこの言葉を証明するものだったと言っていいだろう。

デビュー・アルバム『ワット・ディジュー・エクスペクト・フロム・ザ・ヴァクシーンズ?』と『コンバット・スポーツ』のナンバーが過半を占めたセットリストも、新作が原点回帰の作品であることと、パンキッシュでラウドなギター・サウンドをエンジンとして疾走していくこの日のライヴを象徴していた。トリプル・ギターでつんのめり気味に始まった冒頭の「ナイトクラブ」からノンストップ、リリカルなギター・ポップ、モッシュを巻き起こしたアンセミックな8ビート・ガレージ、ブーミーなアナログシンセの効いたニューウェイヴとくるくる表情を変えながらも、オーセンティックなUKギターの揺るぎない軸が中心にビシッと通っているパフォーマンスだ。

圧倒的なメロディの良さ。歌うようにリリカルで饒舌なギター。華のあるフロントマン。思いっきりノイジーでフリーキーだけれど、要所要所で角をピシッと揃えていく5人のジャストな呼吸。そして共同体としてのバンドへの絶対の信頼――そんな、ギター・バンド、ギター・ミュージックの根源的な魅力を全て兼ね備えていたのがこの日の彼らだった。過剰な情報に常に晒され続ける2010年代後半のギター・バンドにとって、それはシンプルだからこそ難しかったりもするわけだが、ヴァクシーンズはもう迷わないと決めたのだ。クラシック・アンセムの「イフ・ユー・ワナ」から最新アンセム「アイ・キャント・クイット」へとリレーされた後半のクライマックス、あの歓喜の光景が彼らの選び取った道の正しさを何よりも物語っていた。

(文:粉川しの)

なお、ソニー・ミュージックのWebサイトでは、期間限定でこの公演のセットリストを再現したプレイリストが公開中。ぜひ彼らのライブを追体験してみてほしい。

ザ・ヴァクシーンズ来日公演セトリ・プレイリスト
https://sonymusicjapan.lnk.to/VaccinesLiveInTokyo

Rolling Stone Japan 編集部

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