ピンク・フロイドのリック・ライトによる12の代表作

(Photo by Michael Ochs Archives/Getty Images)

ピンク・フロイドのキーボーディストで、時にはシンガー・ソングライターでもあったリック・ライトの絶頂期を振り返る。ライトによるバンド初期のソングライティング作品、神々しいヴォーカル・パフォーマンスは全て、ピンク・フロイドのサウンドを特徴づけると語り継がれている。そんな12の代表作を紹介する。

ピンク・フロイドの30年以上に渡るバンドの歴史を通じ、フルタイムのメンバーはわずか5人しか存在しない。その内3人はバンドの舵取り役として、それぞれがユニークなフレーバーを出した。シド・バレットは、怖いものなしのブルージーなスペース・ロック時代に君臨し、その後ロジャー・ウォーターズが、プログレッシブで内省的なコンセプト・アルバム時代を率いた。最後はデヴィッド・ギルモアが、アトモスフェリックなテクスチャに時折インストゥルメンタルを織り交ぜた。バレット、ウォーターズ、ギルモアがスポットライトを浴びる中、他の2人のメンバーであるドラマーのニック・メイスンとキーボード・プレイヤーのリチャード・ライトは、バンド内でもメディアからも過小評価されがちな存在だった。

1965年のバンド設立メンバーのひとりであるライトは、1枚を除くバンドの全てのアルバムでプレイしている。ライトは2008年9月15日、ガンとの闘病の末、65歳でこの世を去った。「60年代から70年代にかけてのピンク・フロイドにおける彼のメロディの重要性は、どれだけ誇張しても足りない」とウォーターズは、ライトの死に際しコメントを寄せている。ライトによるピアノやオルガンのジャジーなメロディ・ライン、バンド初期のソングライティング作品、神々しいヴォーカル・パフォーマンスは全て、ピンク・フロイドのサウンドを特徴づけるものだった。「音楽のパートナーであり、友人だった。“誰がピンク・フロイドで、ピンク・フロイドとは何か”というような論争の中で、リックによるバンドへの多大なる貢献が棚上げにされていることも多かった」とギルモアは言う。以下に、ライトの素晴らしいキャリアを代表する12曲を振り返る。

1. 『パウ・R・トック・H(原題:Pow R. Toc H.)』(1967年)

1967年、ピンク・フロイドはデビュー・アルバム『夜明けの口笛吹き(原題:The Piper at the Gates of Dawn)』のレコーディングのため、アビー・ロード・スタジオに籠もっていた。すぐ隣では、ザ・ビートルズがアルバム『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』のレコーディングを行っていた。「僕らにとって彼らは神のような存在だった」とメイスンはファブ・フォーについて語った。フロイドのメンバーは、ビートルズが『ラヴリー・リタ』をレコーディングする様子を見学している。コントロール・ルームのバレットと仲間たちは皆一様に実験的な楽曲制作の衝動に駆られ、ファースト・アルバムに収められたインストゥルメンタル2作品の最初の1曲『パウ・R・トック・H』に反映されている。同曲には、当時はまだ珍しかったビートボックスやユニークなヴォイス・エフェクトが使われている。しかしメインとなるメロディは、ライトによるピアノのインプロヴァイゼーションで、その後のよりテンションの高い幻想的なオルガンへと続く。

Translated by Smokva Tokyo

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