マリリン・マンソン『アンチクライスト・スーパースター』:衝撃的な10の逸話

断眠からトイレでの貪るようなセックスまで、マリリン・マンソンの『アンチクライスト・スーパースター』にまつわる逸話の数々(Brian Rasic)

トイレでの密会、ライブ中に自殺するという噂の拡散、客席から投げ込まれたサソリ、ショック・ロッカーの出世作が生んだ驚愕のエピソードの数々を紹介。

「人が日記をつけるのは自分のためじゃない」1998年に発表した自伝『The Long Hard Road Out of Hell』で、マリリン・マンソンはそう綴っている。「心のどこかで、そこに記された自分だけの秘密を誰かに知ってもらいたいと願っているからだ」

放蕩、パフォーマンスアート、文化批評の境界線を無効化するような存在のマンソンだが、彼は自身のダークな部分を晒すことを少しも厭わない。プラチナムを記録し、その名前を一躍世界に知らしめたセカンドアルバム『アンチクライスト・スーパースター』のレコーディングセッションが生んだ逸話の数々は、ファンの間ではもはや伝説となっている。

共同プロデューサーのトレント・レズナーと共に、ニューオーリンズで本作の制作に臨んでいたマンソンは慢性的な躁状態にあり、ドラッグの過剰摂取やメンバー間での大喧嘩(結果的にバンド結成時からのメンバーだったデイジー・ベルコウィッツが脱退)などは日常茶飯事だったという。その一方で、バンドのフロントマンである彼は精神的崩壊の危機に瀕していた。「モルヒネ、パーコセット、ヒドロコドン、ありとあらゆる薬を試した」彼は自伝でそう綴っている。「指と爪の間に縫い針を刺して、痛みを感じるかどうか試した。なぜなら俺の精神は既に完全に麻痺してしまっていたからだ」

昨年、『アンチクライスト・スーパースター』の発売から20周年を迎え、同作にまつわる10の逸話を以下で紹介する。



1.レコーディング時に無数の機材を破壊した(4トラックレコーダーを電子レンジにかける、愛用していたドラムマシンを3階の窓から放り投げる等)

中でもとりわけ強烈なのは、デイジーが『スウィート・ドリームス(アー・メイド・オブ・ディス)』のミュージックビデオ撮影時に、ゴミの山の中から発見して以来大切にしていたフェンダーのジャガーを、レズナーが木っ端微塵に破壊したというストーリーだ。

「レコーディングルームに入ってきたヤツは、トレントを前にして興奮している様子だった」マンソンは自伝でそう綴っている。「デイジー以外のメンバーはミキシングコンソールのそばで、カメラ越しにレコーディングルームの様子をチェックしてた。カメラに映ったヤツは修理が済んだばかりだったギターをトレントに自慢していて、彼も興味を示していた。トレントはそのギターを脇に抱えて何度か軽く弾いた後、突然思い切りアンプに叩きつけて、そのギターは半年前に待っていたはずだった運命を辿った。トレントは何もなかったかのように部屋を出て行き、数秒間呆然と立ち尽くしていたデイジーは放心状態でスタジオを後にし、その日はそのまま戻ってこなかった」

Translation by Masaaki Yoshida

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