フジロック現地レポ「7年の空白を埋めたN.E.R.D流の真摯さ」

Kohei Ueno | 2018/07/28 17:05

| 7月27日(金)、フジロック1日目のグリーンステージに出演したN.E.R.D(Photo by Shuya Nakano) |

フジロックらしからぬアーバンなファッションの客層も目立った初日の夜。満月が見守るグリーンステージに、今年最初のヘッドライナーを飾るN.E.R.Dが登場だ。

彼らが日本のフェスに出演するのは2004年のサマーソニック以来実に14年ぶりとなるわけだが、その間にファレル・ウィリアムスはソロ・アーティストとしてもプロデューサーとしても八面六臂の活躍を見せていたし、チャド・ヒューゴもネプチューンズとしてヒット曲を連発していたので現役バリバリだが、シェイ・ヘイリーが表舞台に立つのは(ワンオフのゲスト出演こそあったが)今回のワールド・ツアーが久しぶり。筆者はあえて海外公演のセットリストや評判をシャットアウトしてきたので、最初の1音が鳴るまでライブの内容は未知数……というか、期待と不安が半々というのが正直なところだった。

しかし、バンドに続いて忍者のごとく素顔を隠したチャドがステージに現れ、「Anti Matter」のノイジーなギター・フレーズに導かれるようにファレル&シェイがステージに飛び出してくると、そんな杞憂も一発で吹き飛んだ。ファレルはマーチャンでも販売していたレタリング入りのロングTシャツを着用しており、6名の男女混交ダンサーたち(メインを張るのは金髪が目を引くメタ・トーリーだ)と絡み合いながらマイクリレーを繰り広げる運動量&情報量の多さも半端じゃない。再び『Seeing Sounds』(2008年)より「Kill Joy」のグルーヴィーなベース・リフが流れ出したが、ここでファレルが音を止めさせて焦らしプレイを発動。盟友NIGO®などの名前を挙げながら「俺がキミたちをどれだけ愛してるのか知ってほしい。日本は2番目のホームなんだ!」と叫んでオーディエンスを沸かすと、体力勝負のコール&レスポンスとジャンプ大会で場内をひとつにまとめ上げるカリスマ性はさすがの一言だ。


Photo by Shuya Nakano


Photo by Shuya Nakano


Photo by Shuya Nakano

ファレルの犬の鳴きマネを挟みつつカムバック作『NO_ONE EVER REALLY DIES』(2017年)より「Deep Down Body Thurst」を披露すると、ファン感涙のネプチューンズ・メドレーに突入。ミーゴスに提供した「Stir Fry」やバスタ・ライムスの「Pass the Courvoisier, Part II」、そしてスヌープ・ドッグの「Drop It Like Its Hot」といったキラーチューンに混じって、ケンドリック・ラマーの「Alright」をさらりと盛り込んだのはフジのラインナップを意識してのことだろう。

フィールド・オブ・ヘヴンで壮絶なポエトリーと演奏を見せつけたマーク・リーボウもトランプ政権への怒りをはっきりと露わにしていたが、この現代にN.E.R.Dを復活させた彼らの覚悟は相当なもので、「HAVE HOPE.(希望を持て)」などの直接的なメッセージがいくつかスクリーンに表示されただけでなく、フューチャーとのコラボ曲「1000」のプレイ中にはMVと同様に人々の暴動シーン(極彩色でエフェクトされてはいるが)を映し出したりと、3人がかつてなくポリティカルなモードにあることも痛感させられる。


Photo by Shuya Nakano

件のケンドリックが参加した楽曲「Kites」での本人降臨こそ無かったものの、グウェン・ステファニーの挑発的なヴォーカルが鳴り響く「Hollaback」を皮切りに、再びネプチューンズ改めファレル無双のスーパー・メガヒット・ミックスに雪崩れ込む。ロビン・シックの「Blurred Lines」やダフト・パンク「Get Lucky」はさすがに反則だろ! と突っ込んだが、この夜一番の盛り上がりを記録したのが「She Wants to Move」とともにマッシュアップされたホワイト・ストライプスの「Seven Nation Army」だったというのはご愛嬌か。この曲が世界中でアンセム化したワールドカップ直後ということもあり、グリーンステージを包み込んだ「オーオ、オオオ、オーオー♫」の大合唱は目を見張るものがあった。

「でっかいサークルピットを作ろうぜ!」とファレルが喉を枯らしながら呼びかけても上手く伝わらなかったり(ハイテンションな外国人たちが音頭を取った終盤では見事成功し、ファレル本人もご満悦の表情)、日本のオーディエンスとのコミュニケーションに苦労が見られるシーンもあるにはあった。でも、フィナーレを復活の狼煙となった「Lemon」で締めくくる心意気、そして学生時代からの悪友3人がステージに横並びとなった光景や、ファレルの深々としたお辞儀にはグッと来るものがあったし、7年の空白を埋めるには充分過ぎるほど真摯でエモーショナルなライブだった。


Photo by Shuya Nakano



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