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アンタイトルド・アンマスタード

ケンドリック・ラマー | Will Hermes / ユニバーサル

WILL HERMES | 2016/05/13 17:30

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技巧が冴えるアウトテイク集
技巧が冴えるアウトテイク集

今やコンプトンの最強ラッパーとなったケンドリック・ラマー。その最新作『アンタイトルド・アンマスタード』は、変更や修正が加えられ続けているカニエ・ウェストの『The Life of Pablo』同様、少々未完成な作品だ。アルバム中、何度も繰り返し挿入されるのは"ピンプ、ピンプ、バンザーイ!"という言葉。ラマーは2015年に『トゥ・ピンプ・ア・バタフライ』を大ヒットさせたが、本作はそのビクトリー・ランのようなものなのだろう。ただ、もちろんそこはラマー。ひと筋縄ではいかない。

35分に及ぶアルバムは、ベッドルームの情景で始まる(ヴォーカリストのビラルがソウルジャズに乗せて恋人を欲情させている)。だがそれに続いてラマーが語るのは、"苦痛に叫ぶ死の顔"など、黙示録さながらの報いや罰。これは、人々の向上を促すために作られた楽曲なのだ。

収録された曲には、タイトルとして単純に番号と日付のみがつけられている(実際にいつ完成したのかは明らかではない)。ちなみに『アンタイトルド 03』『アンタイトルド 08 』『アンタイトルド 02』は、『ザ・レイト・ショー・ウィズ・スティーヴン・コルベア』『ザ・トゥナイト・ショー・スターリング・ジミー・ファロン』といった番組で既に披露済みとなっている。究極的に言うと本作は、"雑多な楽曲を集めながらも素晴らしい作品"だ。現在大人気であるラッパーの卓越した技術がしっかりと披露されている。

『アンタイトルド 07』で、このままキング・ケンドリックで居続けられるかについて思いを巡らすラマー。"自分の株が上がっていくのを見る喜び/給料や報酬は俺の息子の3倍の大きさ/ブレーキオイルなしで一時停止標識を無視して突っ走る"と歌うが、それに続くのは拳銃の音だ。そうかと思えば、いきなり友人たちが作っている曲を聴かされることになる。まるですべてが同一のように。そう、実際ラマーにとってはすべてが同じなのだ。

Translation by Mariko Shimbori

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