ジューダス・プリーストのロブ・ハルフォードが断言「自分らしくあることが人生の真実だ」

ジューダス・プリースト:左から二番目がロブ・ハルフォード(Photo by Andy 'Elvis' McGovern)

今年でデビュー50周年を迎えたという、ヘヴィ・メタル・バンドのレジェンド、ジューダス・プリースト。2018年に出した18thアルバム『Firepower』が全米、全英ともに5位となるヒットで、全米ではキャリア最高位を記録。そこから6年振りとなる、2024年3月リリースの19thアルバム『Invincible Shield』は、全英では2位とキャリア最高位を更新し、90年の名盤『Painkiller』以来の傑作という評価を得るなど、今なおその勢いはとどまることを知らない。12月には6年振りとなる来日公演「INVINCIBLE SHIELD JAPAN TOUR 2024」の開催が決定したということもあり、メタル・ゴッドことボーカルのロブ・ハルフォードにいろいろな話を聞いた。

【画像】歴代最高のメタルアルバム100選

ー今はアリゾナ州フェニックスにいるんですか? セドナにも近くて、美しい場所ですよね。

フェニックスとイギリスのバーミンガムの二拠点生活をしていて、今日はフェニックスにいる。ここはアメリカの中でも非常に特別な場所なんだ。俺が住んでるのは砂漠地帯で、2時間も北上すればハイカントリーと呼ばれるところに出て、サボテンは見かけなくなるし、地形が一変する。アリゾナはセドナもグランドキャニオンもあるし、美しいところが数多くあるんだ。

ー良いエネルギーに溢れている土地ですよね。

俺の家の窓からは有名なキャメルバック山が見えるんだけど、あの山は地球から素晴らしいパワーとエネルギーを引き上げてるよ。世界の中でこの地を選んで住んでるのもそこに理由があるんだ。俺は全く異なる二つの世界で生きているから、異なる体験ができるし、大きな意味で自分のマインドを拡張することができるんだ。

ー実は前からあなたのことはスピリチュアルな人だと思っていました。

ありがとう。音楽がもたらす恩恵というのは、その人を良い人間にしてくれることにあるからね。新しいものの考え方、新しい世界の見方、新しい経験をもたらしてくれるんだ。ミュージシャンというのはエモーショナルな人間だから、自分の経験をすべて音楽に注ぎ込む。最新アルバムの『Invincible Shield』にしても、世界中で起きていることに対する視点が多く入っているんだけど、ミュージシャンは何かを感じ取り、考えることができるし、そこで生まれた感情を楽曲に変えることができるからなんだ。

ー今の話を聞いて、初めてジューダス・プリーストを聴いた時のことを思い出しましたが、あれはまるで別の世界から告げられた啓示のようでしたよ。

イエー!! ヘヴィ・メタルの始まりは非常にエキサイティングだったからね! というのも、俺たちがいたのはちょうど60年代からの移行期だったんだ。60年代は音楽的には大冒険の時代で、数限りないクレイジーなことが同時に起きていた。ドアーズ、ジミ・ヘンドリックス、ジェファーソン・エアプレインといったアーティストが、エクスペリメンタルなロックの基礎のようなものを作っていた。ヘヴィ・メタルを新たに生み出すまでの俺たちは、それはもうあまりにもワイルドな道を歩み続けてきたような感じさ。今年50周年を迎えた俺たちのデビュー・シングル「Rocka Rolla」を聴けばわかると思うよ。そこにはヘヴィ・メタルの始まりを見てとれるから。

ー12月に来日しますが、これまで来日公演は14回やっているんですよね。

そうそう。俺たちは日本で初めてライブをやったメタル・バンドだと思うよ。初来日のライブ(注:1978年7月)では女の子たちが絶叫していたし、プレゼントもたくさんもらった(笑)。どこに行っても女の子たちが追っかけてくるから、ホテルも変えなくちゃいけなかったんだ。当時、メタルはあまりにも新しいものだったから、誰もがこの世界に入りたいと思っていた。エキサイティングで、ラウドで、他のものとは全く違っていた。日本はすでにメタルを受け入れる準備ができていたと思うよ。当時、他に俺たちのようなスタイルでやっていたバンドはディープ・パープルぐらいじゃないかな。ディープ・パープルは日本に行った最初のハードロック・バンドだと思うけれど、彼らのおかげで他のバンドが日本で受け入れられる土壌ができていたんだ。

ー2度目の1979年の来日では、東京厚生年金会館と中野サンプラザでのライブを収録したアルバム『Unleashed in the East』を作りましたよね。あのアルバムでのジューダス・プリーストは、それこそディープ・パープルのような当時のハードロックとは全く違っていましたよね。サウンドも新しかったし、ルックスも新しかった。「Exciter」「Sinner」「Victim of Changes」といった曲を聴くと、スタジオ・アルバムにも収録されている曲でしたが、サウンドのアプローチが斬新だったし、『Unleashed in the East』は完全に新しい時代のヴァイブスを感じさせるものでした。

おそらくそれはジューダス・プリーストが世界をライブして回る中で、自然と形になっていったものだと思う。ライブ・アルバムというのは、バンドのライブ・パフォーマンスの真の本質をとらえるものだ。あの時の俺たちは自分たちの曲をファンの前で披露することに大きな喜びを感じていたんだ。今あのアルバムを聴くと、当時の日本の思い出が興奮とともによみがえってくるね。アルバムを聴けばわかるけど、みんなが叫んでいるし、その場の空気感も感じられる。ライブ・アルバムとしては特殊だと思うよ。当時の俺たちはバンドとしてタイトだったし、絶好調だった。だから『Unleashed in the East』はメタルのライブ・アルバムの名盤となり得たんだ。あのとてつもなく素晴らしい瞬間を日本人と共有できて、世界に見せられたのは最高だった。多くのバンドがあれを聴いて、「日本の客はクレイジーでメタルが大好きなんだね。俺らも日本に行かなきゃ」ってなったから。だから音楽だけでなく、日本が特別な場所だというのを示す意味でも、非常に重要なアルバムなんだ。



RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE