ONE OK ROCK、次のアルバムへの「序章」を鮮烈に体現

ONE OK ROCK(Photo by Kosuke Ito)

7都市8公演のワールドツアー「ONE OK ROCK 2024 PREMONITION WORLD TOUR」の日本公演として行われた東京味の素スタジアムでの2デイズライブ。2日目の模様をレポートする。

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本編終盤、Taka(Vo)が「今回のツアーは次のアルバムの表現方法をなんとなくわかってもらえたらいいなと思って組んだツアーです。この後、台湾、ドイツ、フランス、イギリス、カナダ、アメリカに行って、ONE OK ROCK史上最大規模の世界ツアーを周ろうとしています。これは序章にすぎない」と口にした。だからこそ、ツアータイトルが「PREMONITION=予感」なのだろう。

オープニングでは、これまでのONE OK ROCKのライブ映像が巨大ビジョンに流れる中、Takaのナレーションにより、「ここから先は新しい時代」という言葉をはじめ、いくつもの言葉が発せられた。自ら音楽をやっている理由、そして未来に向けての言葉の数々。ONE OK ROCKは自らの根幹を確認し、新たなステージに踏み出そうとしている。

ビジョンに大きく「PREMONITION」という文字が掲示され、少し高い位置に設置されたドラムセットに座ったTomoya(Dr)がセンター、両隣にはToru(G)とRyota(B)という配置で演奏がスタート。ToruとRyotaはヘッドバンギングをしながら楽器をかき鳴らす。3人はステージ上に設置された階段を下り、メインステージに降り立った。ステージ下からリフトアップでガスマスクをつけたTakaが登場。マスクを取ると髪の毛はグリーンで、映画『キングダム 大将軍の帰還』の主題歌である最新曲「Delusion:All」を歌い始めた。「We’re all de-fucking-lusional」と歌い、中指を突き上げるTaka。最新の重厚でダイナミックなONE OK ROCKのロックに約5万人のオーディエンスが早くも熱狂した。

イントロで音玉が鳴った「じぶんROCK」。14年前に生まれた「声にならない叫びは僕が声を枯らして 叫んで歌って伝わるまでわめいて 届くまで止めない!」というメッセージがこうして5万人に直接届けられている事実が感慨深い。続く「Save Yourself」ではTakaの伸びやかな歌声に5万人の歌が重なった。

Toruが「端の方までぎっしりでありがとう!」と言うと、大歓声が上がった。「早いもので来年で20周年です。みんなのおかげです」と感謝を伝えると、Ryotaが「僕は最近35歳になったんですが、20代の頃から森ちゃん(Taka)が35歳になったら音楽から離れるって言ってたから、35歳になった時は音楽をやってないと思ってた」と言って感謝を口にした。Tomoyaが「Ryotaも話してくれたけど、感慨深い気持ちでステージに立っています」と言うと、Takaは「昨日、風を浴びながらみんなの顔を見ていたら『ああ、20年か』って思いました」と話し、メモリアルイヤーを前にした心境をそれぞれが言葉にした。


Photo by Masahiro Yamada


Photo by Masahiro Yamada


Photo by Matty Vogel


Photo by Kosuke Ito

Takaが「自分から音楽や歌を取ったら何も残らないって生まれた時からわかってるんです。歌を続けさせてくれてありがとうございます。歌で皆さんにちょっとした恩返しができたらいいと思ってます」と言ってからスタートし、客席で大量のスマホライトが揺れたアコースティックによる「Wherever you are」。Toruのギターがスタジアムに染み渡るように響き、Takaの珠玉の歌が凄まじい求心力を放った「Take what you want」。「行くぞお前ら!」というTakaのシャウトを皮切りに、ToruとRyotaが走って上手と下手に分かれ、5万人がヘッドバンギングをしながら歌う姿がひとつに収まる光景が壮観だった「The Beginning」。一瞬一瞬が二度とない尊さを宿していた。


Photo by Matty Vogel

終盤、Takaが丁寧に話した。「誰が偉いとか偉くないとかじゃなくて、人間はそれぞれに役割がある。俺らの役割は、とにかくこのバンドが誕生した以上、目の前に立ちはだかるデカい壁をよじのぼっていくことだけ。一番大事なのは自分が何を思って何を発言するか。ひとつだけ忘れちゃいけないのはそこに絶対愛がなきゃいけない。どんな時も俺はこの世界と日本の平和を願って、いい方向に進むために発言してます。とにかく人のことを思って、自分の周りに優しくしてください。これから世の中と世界は大変な方向に向かっていくかもしれない。でも、音楽は絶対に鳴り止まないし、ONE OK ROCKはしっかりと自分たちの気持ちを提示して、世界と日本の平和を願って音楽を奏でていきたい。そんな気持ちを込めて次の曲を歌いたいと思います」と言って、ライブがラスト3曲であることを告げた。

自らの胸をぐっとつかみ、マイクを持つ手を勢いよく突き上げ、「We are」を歌い切ったTakaは、左手で力強く左胸を叩いた。そのまま「Mighty Long Fall」へ。客席では肩を組んでヘッドバンギンぐをするオーディエンスが続出。Takaはオーディエンスの共闘する意志が込められた声を全身で受け止め、両手を広げて天を仰いだ。「Stand Out Fit In」のエレクトリックなイントロが聞こえ、ハンドクラップが巻き起こる中、Takaがお立ち台の上で片膝をつき、「みんな座って。言わなくてもわかってるよな」と言ってカウントダウンをすると、一旦座った5万人が一斉に飛び上がった。

オーディエンスがスマホライトを照らし、「アンサイズニア」を歌い、アンコールを待ち侘びていると、メンバー4人のアバターがビジョンに登場し、「次のアルバムのための新しい映像として、みんなが歌って踊ってる映像を撮りたい」と告げた。アンコールの1曲目はリリース前の新曲。跳ねるビートが印象的な楽曲で、Takaが何度も繰り返すハイトーンボイスが高揚感を誘う。

「このツアーの後、アルバムを出して必ず戻ってきます」とTakaが再会の約束をすると、シンフォニックな音が流れ、大歓声が上がった。Takaが「あの月に届くくらい、最後1曲、みんなで一緒に歌いたいです」と言って、「Wasted Nights」へ。挑戦することを恐れないという意志を確認するかのように、この日一番の大合唱が起こった。Takaは地面を指差し、「ここで生きる意味を」と歌った後、銀テープが飛び、ステージ裏から花火が勢いよく打ち上がった。

ホームである日本で5万人とエナジーを交換したONE OK ROCKは約1カ月をかけて世界を周る。その後に届けられるであろうニューアルバムへの期待がいやが上にも高まるライブだった。


Photo by Masahiro Yamada

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