Aimerが語る、海外ツアーで受けた「愛」、感情を素直に楽曲で表現できた理由

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シンガーのAimerが、新シングル『Sign』を8月28日にリリースした。今年7月まで海外ツアーを行なっていたAimer。5年ぶりの海外ツアーでの出合いや、現地で受けた刺激を素直に落とし込んだという新シングルに込めた想いや、Aimerに芽生えた新たな感情とは?

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ーニューシングル『Sign』の制作は海外ツアー「Aimer 3 nuits tour 2024」の最中にも行われていたそうですね。

はい。リード曲の「Sign」は割と前から作っていた曲なのですが、カップリング曲の「Wren」と「月影」はちょうどツアー中に作った曲なんです。なので、新シングルには日本だけでなく、上海や台北、香港など、異なる場所で作った曲が収録されています。



ー新シングルを拝聴したところ、まるで「新たなAimer」が立ち上がってくるかのような印象を受けたのですが、海外で制作したことも影響しているのでしょうか?

カップリングの2曲には、海外ツアー中に感じたことが色濃く表れていると思います。今回の海外ツアーは久しぶりだったということもあり、現地でさまざまな刺激を受けて、自分が思っている以上に自分の「感情」や「考え」が良い意味で乱された感じがしました。

ー「乱された」というと?

海外ツアー中、「相反する感情」が自分の中にたくさん生まれたんですよね。例えば、大勢のファンのみなさんの前でステージに立って、たくさんの声援や歓声をいただいてすごくうれしかったと思えば、1人になったとき、それに対して多大な責任を感じたり、1人で街を歩いているときにふと「母国語が違う国でもし今迷子になったら、もうみんなとしばらく会えなくなるのかな?」と不安になったり。あと、漠然と「この大きな世界に比べたら自分ってちっぽけで無力だな」と感じる瞬間もあって。そういうさまざまな感情が、海外ツアー中は自分の中でせめぎ合っていました。

ー新シングルには、そういった感情が素直に表れているということですか?

そうですね。“ごちゃごちゃした気持ち”をまとめすぎず、素直に歌詞にできたと思います。実は長いキャリアの中で、「私はあくまで物語の語り部で、『自分』を前に出しちゃいけない」と思っていたんですが、「Wren」と「月影」では、自分の感情を素直に表現できたと思います。

ーなるほど。ほかにも海外での制作が新シングルに与えた影響は何かありますか?

はい。例えばカップリング曲のタイトルになっている「月影」。これは、実際に台北で見た月にインスパイアされて名付けたものです。台北に滞在していたある夜、月がとてもきれいな夜があって。すごくベタですけどその月を眺めていたら「地球っていう同じ星にいて、みんなが眺められるものって数少ないよな」って実感したんです。「月影」は普遍的な曲だなと感じていたので、みんなが同じように眺められるものをモチーフにしようと思い、「月影」と名付けました。

ー実体験をもとに作られていたんですね。カップリングのもう1曲、「Wren」は日本語でいうと「ミソサザイ」という鳥のことだと思いますが、こちらも海外ツアー中に出会ったのでしょうか?

いえ。実はミソサザイは前からずっと気になっていて、いつか自分の音楽のモチーフにできたらいいなと思っていた鳥で。「Wren」の歌詞を作っていたとき、自然と「鳥」という言葉が出てきたので、「ミソサザイを今使おう」と思って名付けました。ずっと気になっているものの、私も実際には見たことはないんですが……。

ーあまり見かけない鳥ですよね。具体的にはどんなところが気になっているんでしょうか?

ミソサザイは日本の野鳥の中では最も小さい鳥の1つなんですが、冬を越すために秋から越冬地に移動するらしいんですね。それを知って、とても小さな体なのに生きるために飛んでいくのって、とても健気だなと思って。そんなふうに力強く羽ばたいていく存在は、自分の中で1つ大きな象徴になるなと感じて、このタイミングでタイトルにしました。

Rolling Stone Japan 編集部

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