来日間近のサミー・ヘイガーが語る、エディ・ヴァン・ヘイレンと築いたレガシー

サミー・ヘイガー(Photo by Leah Steige)

サミー・ヘイガーの「The Best of All Worlds 2024 Tour」が2024年9月、日本に上陸する。アメリカを代表するロック・シンガーであり“レッド・ロッカー”として世界を熱狂させるサミー。モントローズやチキンフット、そしてソロ・アーティストとして突っ走ってきた彼だが、今回は1980年代から1990年代、ヴァン・ヘイレン時代のナンバーが中心のライブとなる。2020年に亡くなった天才ギタリストにして盟友エディ・ヴァン・ヘイレンの人生と音楽へのセレブレーションは、多くのファンにとって特別なエクスペリエンスだ。

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サミーと共に日本のステージに立つ布陣もスペシャルなものだ。現代ロック界が誇る最高峰ギタリストのジョー・サトリアーニ。ヴァン・ヘイレンの鉄壁リズム・セクションを支えてきたベーシストのマイケル・アンソニー。ツアー当初のドラマーはジェイソン・ボーナムだったが、家族の事情で離脱、代役を務めるケニー・アロノフもザ・ローリング・ストーンズからザ・スマッシング・パンプキンズまで、幅広いスタイルをこなす実力派セッション・プレイヤーだ。大成功を収めた北米ツアーの熱気をそのまま、舞台は日本に移される。来日ギリギリ直前インタビュー、サミーが熱く語った。

ー「The Best of All Worlds 2024 Tour」、あなたにとって久々の来日ですね。待っていました。

ずっと日本に戻ってきたかったんだ。このツアーでは、なかなか来れなかったぶん、いろんな曲をプレイする。全24曲をプレイすると思うけど、中心となるのは俺がエディ・ヴァン・ヘイレンと一緒に書いた曲だ。それだけでなく俺のソロ・キャリアの曲、それからヴァン・ヘイレンにデイヴ・リー・ロスがいた頃の曲もやる。だから“ベスト・オブ・オール・ワールズ”ツアーと名付けたんだ。「ホワイ・キャント・ディス・ビー・ラヴ」「ホェン・イッツ・ラヴ」などに加えて「ジャンプ」もやるし、マイケル・アンソニーが「叶わぬ賭け Ain’t Talking ‘Bout Love」を歌う。「パナマ」はデイヴ時代のナンバーでは一番のお気に入りで、俺がヴァン・ヘイレンにいた頃も毎晩歌っていた。ただ言っておきたいのは、このバンドがヴァン・ヘイレンではないということだ。ヴァン・ヘイレンのショーでは数曲プレイするとエディが20分のギター・ソロをやって、その後アレックスがドラム・ソロをやって……そういうのではなく、いろんな曲をプレイするんだ。俺たちがやりたい曲、みんなが聴きたい曲を、たくさん披露する。ジョーは「サッチ・ブギー」をやるけど、あれはソロではなく、ギターを主にした曲だからね。ヴァン・ヘイレンでエディと俺がやった音楽のセレブレーションなんだ。北米でツアーをやったけど、ファンはみんな熱狂的に応えてくれた。「人生で最高のライブだった!」と言ってくれる人もいて、光栄に思ったよ。





ー今回のツアーが実現するまでにメディアでさまざまな噂が流れて、もう無理なのではないか...と諦めかけていたファンもいました。もちろん水面下でビジネスのやり取りはあったのでしょうが、とにかく“レッド・ロッカー”が扉を蹴破って、日本のステージに立ってくれるのが嬉しいです。

日本は俺にとって特別な場所だ。決してお世辞で言っているのではない。最近ではライブの回数を減らしているんだ。常にベスト・コンディションでありたい。それにはツアー日程を詰め込まないことが大事なんだ。幸い、俺は生活のためにツアーをしなくて済む暮らしをしている。自分のアートのためにステージに上がっているんだ。日本でツアーをやるのは、俺が望んで、ファンが望むからだ。ジョーがヴァン・ヘイレンの曲をプレイするのを毎晩間近で見ることが出来るなんて、俺は世界で一番ラッキーなファンだよ! ジョーはエディのコピーをするのでなく、エディがプレイしたギター・パートに彼自身のハートとソウルを込めるんだ。ネットを見ると、12歳の子が「イラプション」を弾いていて、いつも凄い!と思わされる。でもジョーはまったく異なった、スペシャルなものに生まれ変わらせているんだ。まるで別の惑星から降り立ったようだよ。

ー前回あなたが日本のステージに立ったのは1995年、ヴァン・ヘイレンの『バランス』ツアーでした。それから30年近くが経って、今回の演奏予定曲目の多くがそのツアーの再現というのが、また日本のファンの特別な想いをかき立てます。

うん、あのときの日本武道館の盛り上がりは、今でも忘れられないよ。俺はもちろん、ジョーやマイケル、そして今回日本に一緒に来てくれるケニーにとって、ライブは最高にエンジョイ出来る空間であるのと同時に、きわめてシリアスな場でもあるんだ。だから俺も同じぐらいシリアスでいる必要がある。だから歌うとき、テレプロンプターは使わないんだ。「歌詞を覚えるのが大変じゃない?」と言われたりするけど、俺がやっているのは絵本の読み聞かせではない。ロックンロールを歌っているんだ。画面に映っている歌詞を読んだって、リアルなエモーションを込めることは出来ない。まあ、歌詞を少しばかり間違えることはあるよ。でもそれは仕方ない。大事なのは、心の底から歌っているものをみんなに感じてもらうことなんだ。毎晩ショーのセット・リストは似通っているけど、曲を入れ替えたり、異なったソロ・パート、インプロヴィゼーションを入れたりする。俺たち自身が常に新鮮なフィーリングでありたいんだ。

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