次世代のニューアイコンLiza、7、sheidAが語る、ラップシーンの枠に止まらない連帯

左から、7、Liza、sheidA(Photo by Yukitaka Amemiya)

ラップシーンは、自然発生的な繋がりによって多くのケミストリーを生み出してきた。フィーチャリング/客演文化は他ジャンルとの交流を育んできたし、コレクティブやクルーといった集合体は地元を起点にした遊びの延長しての音楽表現を可能にしてきた。あるいは、女性同士の連帯など、共通の信条をもとにした結びつきもあるだろう。特に近年では、SNSによって既存の文脈を超えたつながりが多数生まれており、ラップシーンはますます活性化している。

Lizaと7、sheidAは、過ごしてきた街や経験など、全く異なる背景を持った三人だ。Lizaはロシア生まれで、ダークさや高貴さを持ち合わせたミステリアスなアーティスト。7は昨今、突出した才能を続々輩出している和歌山のシーンを代表するラッパー。sheidAはLAで生まれ、NYや北海道などで育ちハイパー・カルチャーとも接続する感性を持つ存在。昨年から今年にかけてABEMA『ラップスタア』に出演し大きな話題を呼んだそれぞれだが、ばらばらの音楽性ながらも、同世代としてお互いの価値観に共鳴し絆を深めているようだ。彼女たちは楽曲でのコラボレーションに始まり、8月22日には東京・渋谷WWW XにてLiza主催イベント「Liza presents Slytic」も開催。「Slytic」は「枠に囚われない洒落たかっこよさ」という意味を込めたLizaによる造語で、まさに三者三様のSlyticが披露される機会になりそうだ。

次世代のニューアイコンとして、この三人はお互いにどのような影響を与え合い、今の社会に対して何を伝えようとしているのか。リラックスした雰囲気での、赤裸々なクロストークをお届けする。

─Lizaさんと7さんはこれまでも楽曲でコラボレーションしていて、ライブでも7さんのステージにLizaさんが出演されたり、同志のような関係を築いてきましたよね。最近はどうですか?

7:変わらず仲良しやんな?

Liza:そうだね。

7:知り合う前のことを考えると、うちらこんなに仲良くなれたんだってびっくりするくらい。通じあう部分が多いから話してて楽しい。一番合うのは、音楽に対する意識の持ち方かな。お互い進む方向は違うしやってるスタイルも違うんだけど、ここぞというちゃんとやらんとあかん時の考えは同じ。



―二人で一緒にいて、意見が対立したりとかはない?

7:ないですね。まだ今のところないだけかもしれんけど(笑)。でも、同世代でこんな存在がおるってことがほんまに嬉しい。Lizaは何の話をしてても、思ったことをハッキリ言うタイプ。

―7さんとSheidAさんは、今日がはじめましてだと聞きました。

7:はじめまして(笑)。

sheidA:いぇ~い! はじめまして! 私、7ちゃんの曲めっちゃ聴いてるんだよね。7ちゃんは、聴いてると「この人めっちゃ音楽好きな人だろうな」っていうのが伝わってくる。アーティストには、有名になりたい人ととにかく音楽めっちゃ好きでやってるっていう人の2種類がいるんだけど(笑)、Lizaちゃんと7ちゃんはとにかく音楽好きっていうのが分かるよね。私もめっちゃ音楽が好きな人だから、シンパシーを感じる。そもそもさ、この世界は女性のアーティスト自体があまりいないし、いたとしても音楽の話ガッツリできないから。マジでこの三人は貴重。出会えてよかった! 神様、マジで感謝!

Liza・7:(笑)

―7さんも、SheidAさんの曲は聴いてましたか?

7:最初『ラップスタア』の動画が流れてきてsheidAちゃんの歌のうまさにめっちゃ驚いたんですよ。自分は英語喋れやんし、sheidAちゃんは聴いてるとやっぱ発音も良いし。

sheidA:いつでもティーチャーするよ? その代わり日本語教えてほしい!

7:関西弁でいいなら教える(笑)。



―sheidAさんは、Lizaさんの曲に対してはどのような印象を持っていますか?

sheidA:Lizaは声の出し方が珍しくて大好き。あと、曲聴いたたらすぐにLizaって分かるオリジナリティがあるじゃないですか。女性のアーティストってやっぱり少ないから、二人の『ラップスタア』を見た時に、皆と違う色を出しててヤバいって思った。だから、今回のライブに私を呼んでくれてすごく嬉しかった。若いジェネレーションの女性の力を見せていきたいよね。

Rolling Stone Japan 編集部

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