Absolute area山口諒也と606号室円花が語る、楽曲制作へのこだわり、2マンへの想い

―せっかくの機会なので、こういった対談の場だからこそ聞けるような、お互いに気になっていることはありますか?

円花:マネージャーとも話してたんですけど、Absolute areaさんはストリングスの音色が凄くキレイじゃないですか。生演奏してるのか、めっちゃいい音源を使ってるのか、気になっていたんです。

山口:えっと、「発車標」のリアレンジしたバージョンを2023年にリリースしたんですけど、アレンジャーの松本ジュンさんに紹介していただいた方たちにお願いをして、そこから生のストリングスを入れさせてもらってますね。

円花:どのくらい重ねてるんですか?

山口:曲によっても違うんですけど、大体はバイオリン2本、ビオラ、チェロのカルテットでやってて。

円花:凄いな〜!

山口:「遠くまで行く君に」とか、昔の曲はほとんど打ち込みですね。


Absolute aera(Photo by Mizuki Abe)

円花:でも、めちゃくちゃキレイなストリングスが入ってますよね。「カフネ」の落ちサビに入る前、ストリングスがシャーって消えてくところ、あの音色がめっちゃ好きで。生演奏なのかな、とか考えてました。

山口:あっ、正確に言うと2021年に「記憶の海を泳ぐ貴方は」って曲を出してて、そのときに生のストリングス、バイオリン1本だけ入れて、あとは打ち込みという手法をしてますね。そういうレコーディングの仕方もあるみたいで。

円花:へぇ〜!

山口:それによって、打ち込みが生っぽくなるみたいな。ストリングスを入れるのは昔から憧れてたんですけど、やっぱりいいですよね。

円花:ここ2カ月くらい制作をしてて、丁寧にストリングスを(打ち込みで)入れたんですけど、生音に越したことはないよな、と思ったり。あと、打ち込みの場合でも普通は何本ぐらい入れてはるのかな、と気になってたんです。

―円花さんとしても606号室の音世界はもっともっと広げていきたいんですね。

円花:そうですね。せっかく私がキーボードをやるし、シンセサイザーもあるから、いっぱいやり方があると思うんです。(606号室は)ピアノロックとは言えど、ピアノが一切入ってない、めちゃくちゃ電子音ばっかりというのが1曲あっても面白いかな、と考えたりもしてて。それこそ、NEEさんみたいな中毒性のあるバチバチとした音色を使いながら世界観を作るような曲。それこそ、アルバムを作るとなったとき、万人には受けづらいかもしれませんがファンの中ではめちゃくちゃヒットするような曲を4曲目か5曲目ぐらいに挟みたいなと思ってます。


606号室(Photo by 松本いづみ)

―サウンドの広がりですと、Absolute areaは3ピースロックバンド然としたところからポップスも網羅するスケール感になっていきましたよね。そこは606号室も目指すところでもあるのかなと想像します。

円花:Absolute areaさんは最初の「続く明日へ」はめちゃくちゃロックでしたけど、次に出した「ドラマチックサマー」が入ってるEP(『あの夏の僕へ』)では凄くまろやかになってて。ロックを最初に出して、そこからどんどんポップになっていく、というのは私たちもちょっと似てるのかなと思ってて。

―その広がりは自然な流れだったんですか?

山口:今はDTMで楽曲制作するのが主流ですけど、僕が使い始めたのは大学に入るぐらいのときで、それ以前と以後で変わった何もかも変わったんですよね。ホントにギターロックがメイン、3人だけでできる音楽を作っていたのが、DTMを使うようになってピアノが入ってる曲も作りたいというところから生まれたのが「ドラマチックサマー」だったり。やっぱり、ピアノを入れるとポップにもなっていくじゃないですか。僕がもともと影響を受けたのもJ-POPだったし、作りたい音楽を追求していった結果、どんどん変わっていったんですよね。

Rolling Stone Japan 編集部

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