WONK × 9m88 × jo0jiライブレポ 共通言語は音楽、台湾と日本をつなぐ美しい調和

Photo by 木原隆裕

5月1日にEX THEATER ROPPONGIで開催された「WONK × 9m88 ×  jo0ji」のスリーマンライブ。台湾のR&B/ネオソウル系シンガーソングライターの9m88(ジョウエムバーバー)と、漁師の息子であり漁港で働きながらアーティスト活動をするjo0ji、そしてエクスペリメンタル・ソウルバンドWONK。異彩を放つ3組が、雨夜の六本木を彩った。

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jo0ji(Photo by 木原隆裕)


jo0ji(Photo by 木原隆裕)


jo0ji(Photo by 木原隆裕)

最初の登場は、jo0ji。ふらりと袖から登場しライブがスタートした。今回は、WONKの江﨑文武と井上幹がプロデュースしたEP『475』収録曲を中心に6曲を披露。1曲目は「明見」。お囃子を彷彿させつつ、芝居を見ているかのようなドラマティックな展開の曲に心を掴まれる。2曲目、カントリー調のリズムに歌詞が溢れ出す「言焉」を演奏する頃には、観客がリズムに合わせて大きく体を動かしライブを楽しんでいた。曲が進むごとにステージで歌う姿から目が離せなくなり、彼の世界に引き込まれていく。MCで「≒」は、コーラスにWONKの長塚健斗を迎えていることを話しながら、高校生の頃からファンだったWONKとステージに立てることが嬉しいと喜びを噛み締めていた。Spotifyが躍進を期待する次世代アーティスト「RADAR: Early Noise 2024」にも選出されているjo0ji。約25分のステージは、その存在を観客にしっかりと刻みつけた。


9m88(Photo by 木原隆裕)


9m88(Photo by 木原隆裕)

続いて、台湾から来た9m88。台湾の若い世代に抜群の知名度を誇り、日本で暮らす若い台湾人にも知られている。Netflixの台湾ドラマにゲストボーカルとして出演したり、ファッション誌「Vogue Taiwan」に登場したりする注目の存在だ。R&B、ネオソウル、ジャズ、ヒップホップなどに影響を受け、NYのニュースクール大学(The New School)で、ジャズを主専攻した経歴を持つ。英語と中国語を曲によって使い分け、言語の壁をしなやかに乗り越える。

今回は、2023年のアルバム『SENT』収録曲「若我告訴你我愛的只是你」や、2019年のアルバム『平庸之上 Beyond Mediocrity』から「Leftlovers」、「浪費時間」などを披露。英語MCで観客とコミュニケーションを取り、和やかにライブは進んでいく。さらに、日本の歌を練習してきたと話し、とても緊張しているけれど、“頑張りです!”(この日本語は正しい?と観客に尋ね “頑張ります!” と訂正)と言いながら、緊張の面持ちで、これから歌う曲は「丸の内サディスティック」と伝える。少し変身すると言ってメガネをかけた彼女が、リズムに合わせて軽く踊りながら、日本語で歌う姿に観客が沸く。歌い終わると彼女から安堵の笑顔が見え、それが観客との距離をより縮めたように思われた。

最後は、海外で大ブームを起こした日本の楽曲「プラスティック・ラブ」を披露。彼女がカバーした「プラスティック・ラブ」は2018年頃に話題になり、9m88というアーティストを世に知らしめる契機となった、言わば記念碑的な曲だ。限られた時間だったが、オリジナルとカバーの両面から、彼女の音楽性やパーソナリティが伝わるライブだった。


9m88(Photo by 木原隆裕)

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