Blondshell来日直前取材 グランジとライオット・ガールの後継者が抱く「女性らしさ」への違和感

歌い手としての意識、ギターミュージック再燃について

―来日直前ということでベタな質問ですが、日本のカルチャーには興味あったりします?

サブリナ:めちゃくちゃ興味がある! 前々から日本に行きたいと思ってたけど、一度も行ったことがないからね。子供の頃から東京の映像とか目にする度に、自分の住んでるところと全然違うなあって興味津々だったし。日本のカルチャーにも興味がある。なにせ今回が初の日本だから! 今から本当にワクワクしてる。もう自分が今までに経験したことのない世界が広がってるんだろうと。

―今回が初来日となりますよね。どのようなライブになりそうでしょう。

サブリナ:基本、こっち(アメリカ)でいつもやってるのと同じテンションのステージがお届けできればと。自分のバンド総出で日本に行くんで。それでアルバムの中にある音を余すところなく再現できたらと思ってる。

―サブリナさんはライブ中、ギターを弾かず歌に専念していますよね。そこもカッコいいなと思ったんですが、パフォーマンスにおいてはどんなことを意識していますか?

サブリナ:ただ目の前にいるオーディエンスと繋がること、それと歌に集中してる。仮にギターを弾くとなると、絶対にそっちのほうに神経が持っていかれちゃうから。いや、ギター自体はめっちゃ好きなんだよ? ただ、正直ギタリストとしてはそこまでの自信はないし。歌に関してはとりあえず子供の頃からずっと歌ってきてはいるから。自分はギタリストというよりも、むしろ歌い手だと思ってるんだよね。ステージでギターを弾き出したら、そっちに全集中力が持ってかれちゃうんで、ちょっと避けたいなと。それよりも、目の前にいるお客さんとのコミュニケーションを大事にしたいから。



―ブロンドシェルにとってのライブアンセム、プレイしながらオーディエンスとの一体感を最も強く感じる曲は?

サブリナ:お客さんの盛り上がりで言ったら「Kiss City」かなあ……でも個人的には「Sepsis」が好き。アルバムの中でも一番気に入ってる曲で。なんか今回のアルバムのすべてがあの曲に凝縮されてるような気がして。

―というと?

サブリナ:他人からの承認欲求を求めてる曲だから。自分自身からそれが与えられないばっかりに……しかも、自分は他人からの承認欲求を必要としてる人間なんだってことをぶっちゃけて、認めちゃってるところ。あの曲はデートについて歌ってるんだよね。しかも本来ならデート相手としては避けるべき、むしろ全然性格の良くない人とデートしてるシチュエーションについて歌ってる。そもそも性格の良くない人に好かれようとしたり自分をアピールして、必死でその人に好いてもらおうとすること自体が大いなる徒労というか。それってデートだけじゃなくて、人間関係の他の場面にも当てはまることだと思うの。他人に認めてもらいたいっていう気持ちって、それこそ自己評価だの、子供の頃にどれだけ自分が周りから認めてもらってきたのかとか、色んな要素が絡んでると思うんだよね。それって正にあのアルバムの根幹をあらわしてるよなあって思う。



―ちなみに、ウェンズデイも3月に初来日公演が控えています。以前お気に入りに挙げていましたが、どんなところが好きか教えてもらえますか。

サブリナ:本当に好きなところがたくさんありすぎるんだけど、とりあえず楽曲が圧倒的に優れてるのと、あの表現の振れ幅だよね。どんだけ?っていう。残念ながらライブはまだ観たことがないんだけど。



―ブロンドシェルやウェンズデイも含めて、ここ数年でギターミュージックが再燃している印象です。その動きについてはどのように見ていますか?

サブリナ:めっちゃいいと思う。ギターミュージックは再熱すべきでしょ(笑)。個人的には超ウェルカムって感じ。

―なんで今の時代にギターが再熱してると思います?

サブリナ:時代のサイクルってのもあるんじゃない? ジャンルだの、その派生だのが一通り出尽くす頃には、みんなそれに飽きちゃって「ギターミュージックは死んだ」的なセリフが吐かれるんだけど、なくなったらなくなったで恋しくなって、しばらくしたらまたそれに戻るってサイクルを繰り返してるような……。それと、今って普通に生活してるだけでマジでしんどいよなあっていう時代なわけじゃない? 政治的にも社会的状況にしろ。ありとあらゆる意見が飛び交ってて。その抑えきれない表現のはけ口として、ギターミュージックって表現が求められてる部分もあると思うな。


Photo by Mike Palmer

―最近は次のアルバムを制作中らしいですね。

サブリナ:うん、今この時点でもめっちゃワクワクしてる。とりあえず1stアルバムに引き続き、デートとか付き合うことに関して、それをデート以外の人生の諸々のメタファーとして描いてるんだけど、そのメタファーを介さずに、自分の子供時代についてだとか、友人との関係性だとか、恋愛についてダイレクトに歌ってたりもして。要するに自信がついたってことなんだろうな。前回のアルバムとは違う角度から、そうした元々自分の中に抱えてるテーマに向き合えるようになったってことなんだろうね……うん、だからそう。基本的には前回と同じ路線なんだけど、そこからまた全然別の角度が開かれてるっていう。

―現時点でどのくらい完成してるのでしょう?

サブリナ:もうちょっとかかりそうな感じかな。

―プロダクション面はどんな感じになりそうですか? 新たなチャレンジもある?

サブリナ:そうだね。ただ、プロダクション中心に考えるよりも、曲を中心に考えてるかな。その曲に必要とされている音をそのつど当て込む、みたいな感じで。結果、前回よりも大々的にピアノがフィーチャーされてる曲があったり。それ以外にもプロダクション的に新たに色んなことに挑戦してたりするしね。ただ。前回一緒に作ったのと同じメンバーで作ってるんで、大枠的にはそんなに変わらないと思う。

―ありがとうございました。日本で会えるのを楽しみにしてます!

サブリナ:こちらこそ、今から超楽しみ!


Photo by Mike Palmer




Blondshell JAPAN TOUR 2024
2024年2月13日(火)
会場:東京・渋谷WWW X
OPEN 18:30/START 19:30
チケット:スタンディング ¥6,500(税込/ドリンク代別)
詳細:https://smash-jpn.com/live/?id=3961


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Translated by Ayako Takezawa

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