Novel Coreが語る、期待と後悔を経て手にした「本当の自分」と武道館ライブ、『HERO』の真意

Novel Coreの「これまで」と「これから」

―アルバム『HERO』は、これまでのNovel Coreのストーリーの最後の章であり、次は何をやるのかの提示でもある、という内容になっていますよね。

Novel Core:そうなんです。Aile The Shota語で話すと、「Epilogue」だし「Prologue」(笑)。

―そういうことですよね(笑)。「これまで」と「これから」でメインコンセプトが具体的にどう変わってくるのか、アルバムを聴いて私の中で仮説みたいなものはあるんですけど、先にそれを言うのはアレだから……。

Novel Core:気になります。聞きたいです! 当たってそうで怖い(笑)。

―(笑)。これまでは、「Metafiction」(インディーズ1stシングル)からNovel Coreとしての人生を映画の脚本を書くように描いてきて、音楽に人生を連れられるかのごとく、「A GREAT FOOL」「TROUBLE」「iCoN」「HERO」と、曲の中で歌った通りにアーティストストーリーを動かしてきた。何者でもないところからヒーローにまで上り詰めたのが「これまで」。「これから」は、自分の人生を映画のように動かしていくための音楽以外も歌っていく、というのが私の仮説で。

Novel Core:それは本当にそうですね。武道館公演も全部「HERO」に直結させるためのストーリーの組み方だったので、セットリストの中の「Metafiction」の位置はすごく意味を持たせました。「これまで」が、自分だったんですよ。自分の内側、自分自身がどうありたいか、どういう方向に行きたいか、こういうことがやりたいんだ、こういうアーティストになりたいんだ、とか。武道館を終えたあとは、それこそ「追われる側になる意識」ということと重なってくるんですけど、みんなにとって僕がどうであるかということを、余裕を持って考えられるフェーズに入ると思います。極端な話、ブレイクスルーを作ってヒットアーティストになりたいということがコンセプトになってくる。自分のストーリーで完結している曲を愛してくれるファンがいて、それが武道館がパンパンになる規模にまで膨れ上がった事実は何よりも愛しいし尊いんですけど、それと同時に、ここまでは良くも悪くもヒットアーティストになる必要がなかったというか。トップチャートのトップに居続ける必要もないし、「最近テレビでめっちゃ見るよね」という存在になる必要もなかった。



―それなのに武道館が満員になるほど深く愛してくれているファンがいる、ということはなかなか成し遂げられることではないし、立派な成功ですよね。

Novel Core:ここからは、自分のルーツを日本の音楽シーンのど真ん中に持っていくぞというフェーズに切り替わるんじゃないかなと思ってます。だから、ここからが勝負なんですよ。今までは他と戦ってなくて、自分の中で完結していたので。

―これまでは昔の自分と昔の自分みたいな子を救うために音楽をやってきた期間で、ここからは本格的にポップアーティストのトップを目指していく、という言い方もできるのかな。

Novel Core:そうですね。そうなりたい、そうならないといけない、という意識が自分の中にありますね。

―でもその2つは、まったく違うものでもないじゃないですか。自分を救うための歌が、ヒットアーティストにとっては必要のない要素なのかいうと、決してそうではない。Coreさんとしては、今までやってきたことを引き連れて、この先どういう武器を増やしていこうと考えているのでしょう。これは、アルバム『HERO』では「ヒーロー」というテーマ以外にも提示しているものが色々あって、それについての質問にもなってくると思うんですけど。

Novel Core:極端な言い方になっちゃうんですけど、「ここからが勝負になる」となったときに、「武器を増やそう」ってなる必要がなかったんですよ。まだ見せてない武器がたくさんあった、というのが事実で。正直、まだ見せてない音楽ルーツがたくさんあって。別にこれまで制限をかけていたわけじゃないんですけど、自分的にハマりが悪くてできてなかったものがいっぱいある。たとえばボーカロイド。ボカロPを通ってきているルーツが、今の日本の音楽シーンの面白さと意外と被るんじゃないかなと思ったり。


Photo by Kentaro Kambe、Hair and Make-up by Megumi Kuji (L & Co.)

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