ザ・ビートルズ「最後の新曲」は4人の友情の証 関係者が明かす「Now and Then」制作秘話

新たなクライマックス、色褪せないプレゼント

過去の『青盤』の最終曲は、クレインの意向通り、バンドの最後のシングルである「The Long and Winding Road」だった。1973年4月にリリースされた『赤盤』『青盤』のオリジナル版の収録曲がクレインの一存で決定されていたという事実は、彼のことを忌み嫌うバンドの無数のファンを震撼させた。だが当時、ビートルズのメンバーは各自がソロとしてチャートを制するなど多忙を極めており、そのプロジェクトに関与している余裕はなかった。50年後にバンドが遥かに有名で絶大な人気を獲得していると聞かされたなら、当時の彼らは衝撃を受けたに違いない。

「The Long and Winding Road」は優れた曲だが、『青盤』のB面の最終曲としては物足りないという意見は多かった。フィル・スペクターのお粗末なストリングスとハープ、ポールのボーカルを台無しにしているクワイアなど、同曲には少なからず妥協点が見られ(ジョンによるベースもその一つであり、彼の鳴らす音に対してポールが笑いを堪えているのがわかる)、バンドが崩壊寸前であったことは明らかだ。しかし新装版の『青盤』のフィナーレを飾るのは全く違う類のコラボレーションの産物であり、それはストーリーのクライマックスにまるで異なる印象を与える。

「Now and Then」は、興奮と緊張を隠しきれないリヴァプール出身の4人の若者が「Love Me Do」を歌った「過去」と、60年の時を経て死で隔たれている「現在」をつなぐ。あらゆることが変わった2023年の今でも、音楽への確固たる情熱で結ばれた4人の絆という核の部分は、今なお少しも揺らいではいない。ポールとリンゴが様々な困難を乗り越え、何十年もの時を経て完成させたこの曲は4人の友情の証であり、その原動力となったのは音楽への忠誠心に他ならない。それは音楽、そしてメンバーへの狂おしいほどの愛の産物だ。誰にも決して真似できないストーリーを宿した「Now and Then」は、たしかに切ない別れなのかもしれない(ジャクソンのビデオの最後のシーンは決して涙なしには見られないだろう。ハンカチを用意しておくことをお勧めする)。だが同時に、それはなぜ人々が彼らの音楽を必要とするのか、そして彼らの音楽がなぜ今かつてなく深く愛されているのかを教えてくれる。「Now and Then」は、ビートルズからの最後にして永遠に色褪せることのないプレゼントだ。

From Rolling Stone US.




ザ・ビートルズ
「Now and Then」
2023年11月2日(木)23:00配信開始
輸入盤:2023年11月3日(金)リリース
日本盤:[直輸入盤仕様限定盤]:2023年11月17日(金)リリース
配信・予約:https://umj.lnk.to/TheBeatles_NowAndThen


『The Beatles 1962-1966』(赤盤)2023エディション
日本盤CD(SHM-CD仕様):2023年11月10日(金)リリース
日本盤LP[直輸入盤仕様限定盤]:2023年11月22日(金)リリース
予約:https://umj.lnk.to/TheBeatles1962-1966


『The Beatles 1967-1970』(青盤)2023エディション
日本盤CD(SHM-CD仕様):2023年11月10日(金)リリース
日本盤LP[直輸入盤仕様限定盤]:2023年11月22日(金)リリース
予約:https://umj.lnk.to/TheBeatles1967-1970


『The Beatles 1962-1966』『The Beatles 1967-1970』(赤盤+青盤セット)
スリップケース入り 全曲ミックス音源 追加トラック21曲計75曲
日本盤CD(SHM-CD仕様):2023年11月10日(金)リリース
日本盤LP[直輸入盤仕様限定盤]:2023年11月22日(金)リリース
予約:https://umj.lnk.to/TheBeatles1962-1970

アーティスト・ページ:https://www.universal-music.co.jp/the-beatles/
THE BEATELS STORE JAPAN:https://the-beatles-store.jp/

Translated by Masaaki Yoshida

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