The xxのロミーが語るダンスフロアとクィアな愛への祝福、解き放たれたアイデンティティ

 
アイデンティティを解き放つことで気づいたこと

ー悲しい感情を解放することもそうですし、アルバム冒頭の「Loveher」ではあなた自身のセクシュアリティを積極的に解放してゆく姿勢が伺えました。一綴りになったタイトルからも揺るぎないものを感じますが、こういう強靭なメッセージを発信する覚悟はどのように決まったのですか。

ロミー:やはり、作品の中で自分のセクシュアリティをオープンにしていくにも、良いタイミングだったのだと思います。若い頃は、まだそうすることに躊躇がありましたし、リスナーはどんなふうに受け止めるんだろうと悩んでしまって、なかなか核心までは踏み込むことができませんでした。今でもそういう気持ちはありますし、現実として私のセクシュアリティに違和感を感じる人はいると思います。それは悲しいことだと思いますけど、今は以前よりも私自身のセクシュアリティや恋愛関係に対してポジティブな気持ちでいられるので、私のストーリーをポジティブなものとして皆さんに聴いてもらいたいですし、自信をもって私自身のことを表現することができるようになったと思います。もし私がティーンエイジャーだったらこういう歌を聴きたいな、という作品を作るように心掛けているところもあって、昔は女性が女性に対して歌うラブソングというのはあまりなかったと思うんですけど、でも数少ないそういう曲を聴いたときに、とても感動したんですね。私と同じ感覚の人がいるんだ、って。なので、他のクィアな人々や若い人たちのためにも、もっと肯定性を引き上げるような活動をしていきたいと思っています。



ーちなみに、ティーンエイジャーの頃のあなたを救ってくれたダンスアンセム、もしくは、『Mid Air』に影響を与えたダンスアンセムを挙げるとすれば、どのようなものがありますか。

ロミー:私は多幸感のあるビッグなダンスアンセムがとても好きで、2000年代以降にもそういうものはあるんですけど、たとえばオリーブ(Olive)の「You’re Not Alone」はダンスアンセムとして素晴らしい上に、深いメッセージ性を備えています。あとはコロナ(Corona)の「The Rhythm of the Night」という曲があるんですけど、これらの2つの曲を掛け合わせてギター・バージョンとしてカバーしたこともあります。




ー恋愛感情をポジティブに伝える「Loveher」がある一方、たとえば「The Sea」は恋の悩ましさが曲調からも滲み出ていて、私は特に好きな曲です。一人のソングライターとしての成長を、どのように感じていますか。

ロミー:制作期間中は、これまでに自分がやり慣れていた方法論から飛び出して、いろんな人とコラボレーションしてみたり、自分の声の限界にトライしてみたり、素直な歌詞を書くように心掛けてみたりと、常に課題を設けるようにしていました。アイデンティティを解放できたからこそ、感情表現が豊かになった部分もあると思いますし、今後はもっとクィアな人々とも対話して、ストーリーを訊いていきたいですね。新しいスキルを身につけて、それをThe xxにも反映させたいな、と思っています。



ーでは、今後のThe xxの話も出たところで最後の質問になります。バンドの新たな作品には、解放されたあなたが反映されるんでしょうか。それとも、こういったスタイルはあなたのソロ活動を通して追求してゆくのでしょうか。

ロミー:それはまだ分かりません(笑)。でも、みんなそれぞれにソロ活動を経てきたので、スタジオに集まって音を合わせたらどうなるか、とても楽しみですね。




ロミー
『Mid Air』
発売中
日本盤ボーナス・トラック追加収録
詳細:https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=13469

X-girl×Romy
コラボレーションアイテムを9月8日(金)より発売
詳細:https://calif.cc/blogs/feature/xgirl_230901romy


X-girl × Romy S/S TEE ¥6,050(税込)


X-girl × Romy SWEAT HOODIE ¥14,300(税込)

Translated by Emi Aoki

 
 
 
 

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