SIRUPが振り返るフジロック 戦争・差別・インボイス反対を掲げたMCの真意

フジロックが「特別」だと感じる理由

竹田:各地でツアーやフェスに出たりしている中で、「フジロックはここが特別」と感じるところはありますか?

SIRUP:やっぱりシンプルに、フジロックは日本で一番デカいフェスって感じがする。山の中っていうのもあるし、独特なムード、クローズドな感じもある。それから人選の面白さ。日本のミュージシャンもそうだけど海外アーティストもめちゃくちゃ出演していて、いろんなジャンルをしっかりピックアップしている。あとは、他のフェスより純粋に音楽を楽しみに来てるファンが多いっていうイメージがある。フジロックが提案したアーティストを許容して、存分に楽しむぞっていう気概があるように感じるんです。

竹田:たしかに。同じRED MARQUEEというステージに、きゃりーぱみゅぱみゅからジョン・キャロル・カービー、FKJ、それからSIRUPと、色々なジャンルのアーティストがパフォーマンスしているし、移動する途中で脇目にライブを見たりすることで、知らなかったアーティストと出会うきっかけにもなる。「人気だから観る」っていうだけではなく「出してる音が良いから観てみよう」みたいな。

SIRUP:あとは連日、深夜までずっとやってるのでテントに泊まったりしてる人もいるし、朝まで無料で遊べるエリアもある。そこには出演しているミュージシャンもいっぱいいて、他のミュージシャンと会えるチャンスも用意してるってことも、夜中に遊んでいて思いましたね。





竹田:これは良し悪しの話ではないですけど、都市型のフェスに比べて、やっぱり音楽が主役だなというのをすごく実感しました。私はアメリカのフェスもたくさん見てきたけど、コーチェラのようなメインストリームのフェスもそうだし、小規模なフェスであっても、可愛い衣装を着ていくとか写真目的で参加している人が多いんですよね。それが音楽を聴きに行く目的になるのならそれはそれで良いことだけど、フジロックに参戦する人が「音楽ガチ勢」って言われる理由がすごくわかった気がする。

SIRUP:うん。自分は(観客として)半日もいなかったけど、それでも3万歩ぐらい歩いてたし、やっぱり体力と熱意がないと、あそこまで……まず会場に行くっていうところまで辿り着けないし、苗場に来て楽しむっていうのはやっぱり、かなりの熱がありますよね。

竹田:まだいつになるかはわからないけど、次にフジロック出演するときに向けて、何か目標はありますか?

SIRUP:でっかい音を出したいですね。シンプルに、もっとでっかい音を出したい。あと、リゾを見てから、チームとしての動き方について考えたいと思った。さっきもみんなで話してたんですけど、同じ方向は向いてるけど「まだまだいけるぞ」って感じがしたので、それを次回のフジロックで体現したいなと思います。あと、自分のメッセージをちゃんと許容してくれる人たちも多いなって感じたので、いつも言っていることですが、そういった発信も続けていけたらなって思ってます。

竹田:特にリゾで感じたのは、やっぱりテーマ性。日本のアーティストの単独ライブを観に行くと、自分たちのファンとの歴史を大切にしていて、恒例でやってることがあったり、良い意味で信頼関係が築かれているけれど、フジロックだと全然やり方が違うアーティストもいっぱい出演するし、音の出し方もそれぞれ違うし、チームとしてのやり方もみんな違う。ある種の交換留学、異文化交流のような感じがあって、アーティストもオーディエンスもそういうところから学べることがあると思うので、次回のフジロックも楽しみですね。

Text by Natsumi Ueda, Photo by Leo Youlagi

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