性犯罪者エプスタインが自殺直前、米体操女子に性的虐待していた医師に手紙を送っていた

文書の中には治療記録もあり、エプスタイン被告が睡眠呼吸障害、便秘、高血圧、腰痛、前糖尿病を患っていたことが判明した。それ以前にはクラミジアの治療も受けており、診察の際には過去5年間に10人の女性と性的関係を持っていたと語っている。

精神状態に関していえば、エプスタイン被告は最初の自殺未遂の後、精神科医の観察と自殺監視下に置かれた。刑務所付きの精神科医には、「素晴らしい人生」を送っているので自殺など「ばかげている」と語っていたが、刑務所職員は被告がかなり落ち込んでいたのを目撃している(とくに2019年7月に保釈が却下された直後)。

だが何よりひどいのは、エプスタイン被告が自殺する前後のメトロポリタン矯正センターの落ち度だ。死後に配布された内部メモには、メトロポリタン矯正センターの「深刻な人材不足、研修およびフォローと監督の不備ないし欠如」が言及されていた。これを受けて連邦刑務所局は2021年、劣悪な環境を理由に同センターの一時閉鎖を発表した。

エプスタイン被告の弁護士を務めていたマーティン・ワインバーグ氏は、刑務所が「中世時代のような拘禁状態で、アメリカ人の被告が置かれるべきではない」と述べ、さらにこう続けた。「このような出来事が起きて初めて、ようやく連邦刑務所局がおそまつな施設の閉鎖に動いたのは、非常に残念で悲しいことです」。

文書には、自殺当夜に監視に当たっていた2人の看守が改ざんした勤務履歴も含まれていた。トヴァ・ノエル氏とマイケル・トーマス氏は記録について嘘をついていたと認めた。検察によれば、2人は見回りをする代わりにオンラインショッピングや居眠りをしていたとみられる(両者とも司法取引に応じ、懲役は免れている)。

刑務所の無能ぶりは、エプスタイン被告の死の直後に行われた捜査にも及んでいたようだ。とくに検察は、連邦刑務所局の扱いに手を焼いていた。ある捜査官は、報道声明を発表したために刑務所局からこっぴどく叩かれた。「まずは我々に基本情報を知らせ、我々が被告の弁護士に情報を伝達し、弁護士から遺族に伝えるのが筋だろう」。

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from Rolling Stone US

Akiko Kato

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