シグリッドが語るポップスの冒険、故郷ノルウェーでの学び、初来日への想い

生まれ故郷とパーソナリティ、初来日への想い

—『How To Let Go』で大きく成長したあなたに、1stアルバム『Sucker Punch』はどんな風に響きますか?

シグリッド:本当に楽しいよ。演奏していて、気に入ってくれた曲をいつも聞いているような気がするの。あと、私はセットリストをよく変えるのが好きだから、たまにクルーやバンドに迷惑をかけることもあるの。でも、飽きられたら困るから、ちょっとだけみんなにいい緊張感を持って欲しいの。ツアーで同じ曲を何度も何度も演奏するようなルーティンワークになるのが嫌なの。でも、彼らもこのやり方を気に入っていると思う。

でも、自分の音楽が嫌になったり、自分自身に嫌気がさすことがあるの。自分の仕事が人々に音楽を聴いてもらったり、ストリーミングしてもらったり、チケットを買ってもらったりすることである以上、自分自身に嫌気がさしてくるのは当然で、最後には、ああ、人々に好かれようとすることに嫌気がさした、みたいになることもあるの。「人に押し付けてまで聴かせたくない」という不安の出発点にもなると思っていて。

でもこの前、『Sucker Punch』を最初から最後まで聴いてみたら、記憶していたよりも良い出来だと感じたの(笑)。自分のデビュー・アルバムには魅力は当然たくさんあるよね。他の曲に比べて荒削りなところもあるけど、それも良い点だと思うの。だから今、新しい曲を作るときに「楽しもう」っていう気持ちを意識しているの。

ちなみに、ロンドンに行ったときに、レコード会社の人たちと一緒に朝食を食べたの。彼らに「とにかく楽しんで。何も心配しなくていい。ただ楽しい時間を過ごして、変なものを作ればいいさ。ただ楽しめばいいんだよ」と言われたの。最高だと思ったし、とても元気な気持ちになったの。だから、私はずっとそうしてきたの。スタジオで時間をかけて、沢山曲を書いて、色々なサウンドを試して。いつも通りキャッチーなものを作ろうとしながらも、違う方向に傾いているの。



—クリエイティヴな意味では、今のあなたはどういう時期にありますか? 新しい曲を作ったり、すでに次のアルバムについてアイデアを温めたりしていますか?

シグリッド:あるよ。でも、1つのことに定めるのは嫌いなの。これまではポップミュージックを作ってききたけど、今はポップミュージックが様々な方向に向いていて、この次の作品もそうなっていくと思うの。今まであまりやってこなかったポップスの新しい方向性をやるかもしれないかな。私はただポップソングが大好きなの。心から好きなの。

—あなたの故郷であるÅlesundはフィヨルドに面した大変美しい町で、音楽の中心地から遠く離れた場所ですよね。こういう場所で育ったことは、あなたのパーソナリティ、或いは音楽性にどんな影響を与えたと思いますか?

シグリッド:もちろん影響はあったと思う。Ålesundで育った私は、「世界を見たい、音楽業界に近づきたい、もっと都会的なものに近づきたい」とずっと思っていたから、どうしたら早く外に出られるかばかり考えていたの。それで今は、私はここ(ノルウェー)にいて、近くの山々を見渡すの。コーヒーを飲みに行ったり、街に出て行くときに最高峰の山々を眺められる。非現実的なの。いま私から見える窓の外はまるで絵葉書のようでとても美しいの。だから、私はここで育ったことをとても幸運に思っているの。

そして、この地域は天気が悪いことが多いから、ハイキングやスキーに行くか、もしくは家の中でじっとしている以外やれることがあまり無いの。だから、私はピアノを弾く時間が沢山あったの。それが本当に役に立ったと思う。それに、音楽業界の近くで育たなかったことは、少なくとも私のキャリアにとって本当に重要なことだったとも思う。確かに16歳の時に初めてレコード契約を結んで、今も契約しているけど、ノルウェーのインディペンデント・レーベルだから、ちょっと性質が違くて。私はもともとシャイというか、内向的なの。私は一人の時間が大好きだから、今もいっぱいいっぱいになることが多いの。キャリアの中でも、打ちのめされる気分のこともあるけど、同時に15~16歳のころは、自分のテンポでステップを踏んで、その間に呼吸を整えて、誰かが作ってほしい音楽じゃなくて、自分が作りたい音楽を考えること、常に自分がどうしたいかを考えることができたと思う。当時の私には時間があったからこそ、このように考えられたんだと思うの。それに、この業界に入ったときは、まだ若かったの。19歳くらいで。だから、小さな町で育ったのはよかったかな。



—ファッションについて伺います。デビュー当時のあなたは、Tシャツ&ジーンズといったシンプルでナチュラルなスタイルが定番でした。最近はどんなファッションを楽しんでいますか?

シグリッド:今でもそのスタイルが好きだよ! ファッションが好きなの。ランウェイショーをじっくり見て、ランウェイショーのレビューも読み漁るの。ファッションというアートが好きなの。デザイナーがファッションを次のレベルに引き上げて、アートを作るのが好きで。興味深いと思う。

でも、私はこの漁師町で育って、1年に4つの季節があって、防水ジャケットを着ないで出かけると、10分もしないうちにびしょ濡れになってしまうの。そういう場所なの。だから、私は毎日自転車で学校に通い、あちこちを歩き回れる格好で育ってきたの。天候に合わせた服装をしなければならないし、それがそのまま私の中に残っていると思う。ステージの衣装については、私にとって快適さがとても大事で、ジーンズにTシャツ、スニーカーという組み合わせは難しく考えないで済む方法なの。だから定番なファッションなんだと思う。私がステージでそれをする最初の人間であるわけでも無いし(笑)。でも、私がデビューした当時は、私が作る音楽のタイプに対して、この衣装は普通のメイン衣装って感じのものではなかったのかも。でも17歳の時のプレス用写真を見たけど、当時スタイリングやメイクアップを手伝ってくれる人もチームにそもそもいなかったの。それに、まだジーンズにTシャツを着ている。今もクローゼットの中に同じTシャツがあるの。

いつもそういうファッションだったけど、今はスタイリストのアヒダという人がいて、素晴らしいの。バルセロナで「Mirror」のミュージック・ビデオを撮影したときに初めて会ったの。バルセロナ郊外出身の人でね。プレスのインタビューやテレビ番組みたいに、あまり動かなくていいときの衣装は良いものを着るようにしてるの(笑)。それ以外はジーンズとTシャツを着るの。それに対して、彼女は「うん、いいね。あなたらしい」と言ってくれるから好きなの。



—オフの時間はどんな風に過ごしていますか? 音楽以外に熱意を抱いていることはありますか?

シグリッド:音楽以外のことはあまりしてないかも。大好きなの。 以前に、趣味を持った方がいいと言われたことがあるけど、これが私の趣味なの。これが私のすべて。

ツアー中はかなり休みが多いから、バンドやクルーと一緒にツアーに出ているときは、最高のカフェ、最高のバー、最高の美術館を探すのが好きなの。それから、一日中おしゃべりしたり、歩き回ったり、おいしいコーヒーを探したりすることが多いかな。だから、それが私の東京での目標。おいしいコーヒーとおいしいバーを見つけること、それにバーも見つけたい。オフの時はできる限りスキーに行ったり、ハイキングをしたりもするかな。

—5月には来日公演が予定されていますね。日本を訪れるのは初めてだと思いますが、何か楽しみにしていること、やりたいこと・行きたい場所などはありますか?

シグリッド:チームラボに行く予定で、すごく楽しみ。私はただ、狭い通りに行って、最高の地元のレストランを見つけたい。あと、カラオケに行きたいし、ショッピングモールにも行きたい。それに雑貨店に行くのが大好き。本当に楽しくて。美術館、公園とかも行ってみたい。何をしたらいいか教えてね。

—日本ではどんなショーを期待できそうですか?

シグリッド:動き回っていると思う。私はキャンディストアにいる子供のように、「わあ、すごい」とか言ってるかも。エネルギーに満ち溢れていると思うな。あと、時差ボケになっていると思うから、克服しないとね。ショーは本当に特別なものになると思うの。なぜなら、日本で行う初めてのショーだから。私のバンド全員で行くの。私たちのほとんどにとっても、日本に行くのは初めてだと思う。だから、みんなすごくワクワクしているの。

本当に特別なものになると思うの、だって私たちが演奏する曲は、もしかしたら曲自体は聴いたことがある人もいるかもしれないけど、ライヴを見たことがない人もいるかもしれない。『Sucker Punch』のアルバムを披露したことがある訳でもなくて、全くライヴをしたことが無いから。だから本当にワクワクしているの。新しいマーケットを立ち上げるようなもの。そこには歴史がなくて、フレッシュに音楽活動を始めるような気分。すごくエキサイティングなことだと思うの。ショーが待ち遠しい。

—最後に、日本のファンにメッセージをお願いします。

シグリッド:こんにちは! シグリッドです!皆に会えるのがとても楽しみです。5月25日のライヴに来てね! 5月27日にはGreenroom Festivalで公演する予定です。皆に会うのが待ちきれなくて、とても楽しみにしていました。長年サポートしてくれて本当にありがとうございます。やっと会えますね! あと、皆のために『How To Let Go 』のスペシャル・エディション(Japan Edition)も作ったので、とても楽しみです!




シグリッド
『How To Let It Go (Japan Edition)』
発売中 / 歌詞対訳解説付き価格:2,750円(税込)
再生・購入:https://umj.lnk.to/sigrid_htlgjp

2023年5月25日(木) 初単独公演
渋谷 duo MUSIC EXCHANGE
OPEN 18:00 / START 19:00
公式サイト:https://www.creativeman.co.jp/event/sigrid_2023

2023年5月27日(土) GREENROOM FESTIVAL’23
横浜赤レンガ倉庫
公式サイト:https://greenroom.jp/

『How To Let It Go (Japan Edition)』発売記念イベント “トーク&サインお渡し会”
日時:2023年5月26日(金)19:00~
会場:HMV&BOOKS SHIBUYA 5Fイベントスペース (東京都渋谷区神南1-21-3)
イベント詳細:https://www.universal-music.co.jp/sigrid/news/2023-04-24/ 

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE