Hana Hope × HONNE対談 共鳴し合う両者の出会い、世界へ羽ばたくために大切なこと

 
「We've Come So Far」制作背景、歌詞に隠されたストーリー

─今回のコラボ楽曲「We've Come So Far」の歌詞は、アンディが持っていたモチーフを膨らませていったのですか?

アンディ:この曲は、僕と妻の若かりし頃から今に至るまでの道のりについて歌ったものなんです。僕らは18歳の頃からずっと一緒で、かれこれ15年の月日が経ちました。まさに「We’ve Come So Far」という曲のタイトル通りですね。彼女と出会った頃の僕は、自分が何を求めているのか、誰と一緒にいたいのかすら分からない状態だったんです。でも結婚してからは、いろいろなことがあっても常に二人で乗り越えてきて、その幸せを今は実感しています。普段はリリース前の音源を妻に聴いてもらうことなんてないのだけど、今回ばかりは聴いてもらいました。とても気に入ってくれたので、妻のお墨付きと言っていいでしょうね。

Hana:そんな歌詞の方向性を、16歳が歌っても自然な内容に少しだけ変えました。過去のことを歌っているけど、私たちの世代にも届くものになったと思います。その人が大人かどうかに関係なく、みんなそれぞれの「過去」を経験しているはずだから。

アンディ:そうだね。歌詞は僕と妻の長いリレーションシップがモチーフになっているけど、人によっては凝縮されて1週間で経験することかもしれない。どんなに長い間続いていることでも、物事は常に変化するものだから。きっと何かしらの「共感」を得られるんじゃないかなと。

─二人のパースペクティブが混じり合ったことで、時間軸が多元的になったというか。

アンディ:まさにその通りです。HONNEとしていつも心がけているのは、自分たちの音楽をみんなと共鳴させること。音楽の中にみんなのそれぞれの人生を映し出せたらいいなと思っているし、それができたら「いい曲」の証です。



─良いリレーションシップを他者と築いていく上で、大切なことってなんでしょう。

アンディ:良い質問ですね(笑)。僕はいつも「努力」が必要だと思っています。今の時代は諦めることがとても簡単だし、みんな簡単に諦めすぎじゃないかなと。努力したことがある人ならきっと分かってくれると思うけど、愛は複雑で時間がかかるものなんです。

ジェイムズ:僕もちょっといいですか?(笑) 実は今度、8年間付き合っている彼女と結婚するんだけど…………。

Hana:おめでとう!

ジェイムズ:ありがとう。今年8月にイギリスで結婚式をして、12月に彼女の母国カンボジアでも式を挙げる予定です。今のリレーションシップの話だけど、昨今はSNSを通してみんなの「一番良い瞬間」が頻繁に流れてくるじゃないですか。でも、それって「リアル」でもなんでもないんです。もしSNSの投稿が事実だとしたら、みんな5つ星のホリデーを過ごしていることになるし、絶望なんて感じたことがない人ばかりになる。子どもたちはみんな、完璧な親に育てられ…………もちろん、そんなのありえない(笑)。でも、そういう「加工されたリレーションシップ」ばかり毎日見ていると、「どうしてみんなは完璧なのに、自分は違うんだろう」と思い込むようになってしまう。でもアンディが言ったように、愛には努力と忍耐が必要ですし、コミュニケーションが何より大切なのだと思いますね。

Hana:特に家族の関係ではコミュニケーションが一番大事だと私も思う。正直に話すことも、毎回ちょっとした喧嘩をしないための大事な要素じゃないかな。ただ、喧嘩をすることを通して学ぶこともあるからな…………正直なところ、良いリレーションシップの正解は分からないかも。

ジェイムズ:すぐに分かるよ!

─正直に話す、つまり本音(HONNE)が大事ということですね(笑)。ちなみに「本音」は英語でどう訳されるんだろう。

アンディ:簡単にいえば「True feeling」になるのかな。でも日本語の「本音」には、もうちょっと深い意味も含まれていると思う。対義語の「建前」は、内心とは別の表向きの意見という意味でしょう? 僕らはその2つの言葉が好きなんですよ。初めて知ったときからとても興味深かったし、そのシンプルな日本語を英語で説明するには時間がかかると思いましたね(笑)。


「We've Come So Far」ジャケット写真

─曲の話に戻りましょう。トラックはどのように作っていったのですか?

ジェイムズ:どうだったかな……ちょうど『Love Me/Love Me Not』(2018年発表の2ndアルバム)を作り始めた頃だったから、かなり時間が経っているんですよ。これはテクニカルの話だけど、DAW(デジタルオーディオワークステーション)をApple LogicからAbleton Liveに変えたんです。そのことは、僕らにとって新しいインスピレーションになりましたね。

─Abletonで作ったのは「We’ve Come So Far」が初めてですか?

ジェイムズ:ええ。たしかロサンゼルスからの帰りの飛行機で、アンディから「みんなAbletonを使っているから僕らも使おう」と言い出したんですよ。「そうしないと負け組だ」って(笑)。彼は、すでに使い方を知っていたから、僕は飛行機の中でずっとチュートリアルを見ていました。

─Hanaさんは「We’ve Come So Far」のトラックを聴いてどう思いました?

Hana:とても明るくて、希望を与える曲だと思いました。曲全体の流れも印象的だったし、特にレイヤーされたコーラスパートがとても美しくて。実際に歌うのは大変だったけど、全ての過程を楽しみながらできました。

─Hanaさんの歌が入った音源を聴いたお二人の感想は?

アンディ:感動しましたね。確かステムデータを朝に送ったと思うんだけど、歌入れに1日はかかると思ったら数時間後に「できた!」って連絡が来て。

ジェイムズ:Hanaは優秀なシンガーです。ピッチを完璧に合わせられる才能があるから、きっとエンジニアは退屈でしょうね(笑)。

Hana:私もHONNEの制作現場に身を置くことで、音楽に対して新しい向き合い方を教えてもらったような気がしています。発見がたくさんあったし、曲をもっとよくする方法も学ぶことができた。例えば、遠くで歌うのと近くで歌うことでハーモニーが変わることとか、とても勉強になりました。

Translated by Hanako Tabata, Natsumi Ueda

 
 
 
 

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