ザ・ローリング・ストーンズ『GRRRライヴ!』 結成50周年ツアーと夢の共演を徹底解説

 
ブルース・スプリングスティーンなど豪華ゲストが次々登場

この後のゲスト陣も強力で、フレディ・キングの「アイム・ゴーイン・ダウン」ではジョン・メイヤーとゲイリー・クラーク・ジュニアを、ボ・ディドリーの「フー・ドゥ・ユー・ラヴ?」ではブラック・キーズのダン・オーバック&パトリック・カーニーを迎えて大熱演。2016年のブルース再訪盤『ブルー&ロンサム』に先駆けた感じもあるセッション・コーナーで、前者は2人とロニーとのリード合戦が楽しめる一方、後者は催眠的なリズムの反復が強調され、こうした単純なリズムの曲ではチャーリー・ワッツのグルーヴ感が如実に効果を発揮してくるから面白い。

そしてこのツアーで見逃せないのが、先述の2つの新曲、「ドゥーム・アンド・グルーム」と「ワン・モア・ショット」。ミック・ジャガーもテレキャスターを抱いてトリプルギターで攻める「ドゥーム・アンド・グルーム」はスタジオ・バージョンとは質感がまるで違い、ステージで楽曲が磨き上げられていたことを伝えてくれる。非ストーンズ・ファンは彼らのことを「どれも似たような曲」と簡単に言いがちだが、日進月歩ライヴで曲が表情を変え続けるバンドだから、熱心なファンは日々のショウから目が離せなくなるのだ。




ファンキーな「ミス・ユー」ではベーシストのダリル・ジョーンズに見せ場が与えられるし、キースのコーナー「ビフォー・ゼイ・メイク・ミー・ラン」「ハッピー」も期待通りのかっこよさで必見なのだが。後半のハイライトが、ミック・テイラーが参加した「ミッドナイト・ランブラー」であることは間違いないと思う。これだけゲストがいろいろ登場する日に、ミック・テイラーが弾き出すや、途端に場の空気がキュッと引き締まるのはさすが。特にスライドギターでの集中力は想像以上で、外見こそ恰幅がよくなったが、ギタリストとしての切れ味がまったく鈍っていないことを確認できる。

そして最後の大物ゲストは、ミック・ジャガーに「彼は歩いて会場まで来た」と紹介されるニュージャージーのレジェンド、ブルース・スプリングスティーン! 大物と共演するときはいつもそうだが、ボスは満面の笑みでとにかく楽しそう。ミックの合図でリードギターを弾き始めるが、途中で音を外してしまうのもご愛嬌。ボスだってストーンズの前ではロック少年に戻ってしまうのだな、とわかって何とも楽しい場面だ。

プレイヤーとしてはロニー・ウッドが抜群に光っていて、特にラップスティールの巧さには唸らされるし。長年ストーンズを支えたサックス奏者、故ボビー・キーズの名演を「ブラウン・シュガー」などでたっぷり味わえる点もうれしい。主役のミック&キースばかりでなく、リズム隊やゲストも含めた相対的な音楽家集団としてのストーンズを、高音質・高画質のBlu-rayで隅々まで堪能して欲しい。

なお、日本盤DVD/Blu-rayにはボーナス映像としてニューアーク初日、12月13日の公演から5曲を収録(そのうち「ラスト・タイム」と「ダイスをころがせ」は日本盤のみのボーナス)。またしてもジョン・メイヤーが登場、冴えたソロを披露する「リスペクタブル」は必見だ。初期の荒々しさが甦るチャック・ベリーのカバー「アラウンド・アンド・アラウンド」もお見逃しなく。




ザ・ローリング・ストーンズ
『GRRRライヴ!』
発売中

Blu-ray+2CD 8,250円税込
日本盤のみ日本語字幕付/英文解説翻訳付/SHM-CD仕様
再生・購入:https://www.universal-music.co.jp/rolling-stones/products/uixy-15050/

DVD+2CD 7,150円税込
日本盤のみ日本語字幕付/英文解説翻訳付/SHM-CD仕様

2CD 3,960円税込
日本盤のみ英文解説翻訳/歌詞対訳付/SHM-CD仕様

 
 
 

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