女性囚人が血まみれ流産、獄中出産の悲惨な現実 米

ちょうどロックダウンの時期で、時刻は夜10時ごろだった。「その日に限って蛇口から茶色い水が出てきて、一滴も水を飲んでいませんでした」とウィンさん。「それ以外の唯一の飲み物は、食事と一緒に出されるオレンジや紫や真っ赤な色をした飲み物でした。妊娠中にはよくないことが分かっていたので、飲みたくなかったんです」

キリキリとした腹痛が始まったのはその時だ。最初は脱水症状からくる痛みだと思い、蛇口から出てくる茶色い水を飲み始めた。

「腹痛はさらに悪化しました。横になって眠ろうとしました。目が覚めたら収まっているだろうと思いながら」とウィンさん。「でも腹痛で何度も目が覚めました。実はこの時、すでに陣痛がピークを迎えていたんです」

その時、両脚の間に生ぬるいドロっとしたものを感じた。

「誰かに知らせる呼び出しボタンというものがあそこにはありませんでした。監房の中は真っ暗でした」

ウィンさんが同じ房の受刑囚を起こすと、相手は叫び声をあげ、ドアを叩いて助けを呼んだ。胎児に異変が起きていた。

「医療現場での経験と知識から、常識的に判断して、横になって両脚をしっかり閉じました。すぐに誰か来て回診してくれることを願いながら」

だが、人が来るまでに4時間以上が経過した。看守が到着し、脚の間のドロっとしたものは血であることが判明した。あたり一面血の海だった。

「大量出血だったので、私の処置をめぐって職員と看護士の間で議論になっていました」。ウィンさんは救急車を呼んでくれと矯正施設職員に懇願したそうだ。血圧が急激に下がったことで、ようやく職員は病院への搬送を決断した。

看守は彼女を担架に乗せ、両足首と両手首を担架に固定した。矯正施設からの移動ではよくある措置だ。逃亡を防ぐため、そして安全面での懸念――想定される暴力から病院スタッフを守るためだ。驚くべきことに、慣例として実際の分娩出産中も拘束状態は維持される。

病院に到着すると、ウィンさんはベッドに拘束されたまま、男性看守が監視する部屋に移された。最終的に看護士から、すでに流産していたことを知らされた。

「流産の後に私がどんな屈辱を耐え忍んだか――足元に男性職員がいて、プライバシーなどお構いなしです。せめて部屋の反対側に移動してもらえませんか?と頼みましたが、それすらも断られました」とウィンさん。「動物のような扱いでした。人間扱いされず、ものすごく恥ずかしかった」。運ばれた病院は、彼女がかつて分娩研修を受けたのと同じ病院だった。大勢の看護士と知り合いだった。元同僚にあんな姿を見られたことも屈辱的だったと彼女は言う。

退院後、ウィンさんは「経過観察」のために8月独房に入れられた、とウィンさんは涙をこらえながら語った。PBSはウィンさんの話を短いレポートにまとめた。

だが恐ろしいことに、これはウィンさんだけの話ではない。

Akiko Kato

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