宮本浩次、東京ガーデンシアターで観客を魅了したカバーコンサート「ロマンスの夜」


アンコールでは「恋人がサンタクロース」の歌詞を忘れ、途中で演奏を止めるハプニングが。「完全に歌詞を忘れてしまいました」「さすが俺」と言いながら、観客が口々に歌詞を教えてくれるのを制して「みんなバラバラですね」と毒づく。「歌詞見ちゃおうかなー」とお茶目な顔を見せ、「ごめんなさい」とやり直し。これも宮本らしさで、ますますアットホームな空間ごとラストに向かっていく。気付けば黒いスキニーパンツの膝が白い。全身全霊で歌い、何度も空を仰ぎ、何度もうずくまり、何度も膝をついたから。



鳴りやまない拍手に迎えられたダブルアンコールでは、この日唯一のオリジナル曲「冬の花」。魂ごと迫ってくるような歌唱に大きな拍手がわき起こる。やはりオリジナル曲は別格だ。縦横無尽ツアーのハイライトだった赤い花びらが舞う演出もファンを喜ばせた。メンバー紹介では、名越を「ギター名人」、玉田を「日本代表」、須藤を「スーパーべーシスト」、小林を「頼りになる男、司令塔」とコールし、「そしてガーデンシアターのエブリバディ!」に続けて二重丸ならぬ「ゴジュウマル!」と叫ぶ。最後の最後は沢田研二の「カサブランカ・ダンディ」。幼少のころからファンだったジュリーの曲、この日唯一の男性曲カバーだ。ダンディにちなんで律儀にジャケットを着、粋な大人の男と少年時代の宮本が邂逅する。この1曲だけでも今日来た甲斐があると思わせるほど本領発揮のパフォーマンスだった。

「これで終わりかい? 終わりでーす!」

もっと歌いたいと言わんばかりに、まだ帰りたくない子どものように叫ぶ。小林とハグし、須藤と握手し、玉田、名越とハグした後、5人横並びで手をつなぐ、おなじみストーンズ挨拶で締める。退場するかと思うと、さっきしそびれた須藤とニコニコしながらハグ。律儀な宮本らしさ全開、満面の笑みでの終幕だった。

要所要所で鳴っていた汽車の音は旅を想起させた。ソロ活動の旅、人生そのものも旅。今年はエレファントカシマシのデビュー35周年で、4年にわたるソロ活動は今日で一段落だ。3月に発売されるエレファントカシマシ4年半ぶりの新曲「yes. I. do」は、映画『シャイロックの子供たち』の大型タイアップ曲。3月から4月には、バンド初のアリーナツアー(東京・横浜・名古屋・大阪)という大舞台が待っている。長年ファンを魅了してきたエレファントカシマシ。大きく表現の幅が広がった宮本と、10代から変わらぬメンバーの35年の旅。4人がたどりついた「今」に出会えるステージが楽しみだ。

「ロマンスの夜」
2023年1月16日(月)東京・東京ガーデンシアター
セットリスト
1. ジョニィへの伝言
2. 春なのに
3. まちぶせ
4. First Love
5. 赤いスイートピー
6. SEPTEMBER
7. 白いパラソル
8. 化粧
9. あばよ
10. 喝采
11. 二人でお酒を
12. 翳りゆく部屋
13. 愛の戯れ
14. 異邦人
15. ロマンス
16. DESIRE -情熱-
17. 飾りじゃないのよ 涙は
18. あなた
19. 恋におちて -Fall in love-
20. 恋人がサンタクロース
21. 木綿のハンカチーフ
22. 冬の花
23. カサブランカ・ダンディ

配信チケット販売中 ¥3850(税込)
アーカイブ視聴可能期間 2023年1月19日(木)23:59まで
配信チケット販売期間 〜1月19日(木)18:00
※生配信をご覧になった方もアーカイブ配信を視聴可能です。
配信プラットフォーム イープラス「Streaming+」

宮本浩次 ロマンスの夜 特設サイト
https://miyamotohiroji.com/romancenoyoru

宮本浩次HP http://miyamotohiroji.com

Rolling Stone Japan 編集部

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