コールドプレイのガイ・ベリーマンが語る、ファッションへの真摯な想い

製造技術・素材、日本に注目する理由

─日本の製造技術にも着目しているとか。

ガイ:クオリティを追求する上で重要だったのは、素材の選び方や縫製でした。その意味で日本の製造技術や素材選びにかけるパッションに、僕らチームはみんなリスペクトと憧れを持っています。ブランドを立ち上げる過程でイタリアやポルトガルにもいい工場がいくつか見つかりましたし、AAFの拠点であるアムステルダムにもいい仕事をしてくれる工場はあるのですが、日本は文化の基盤にクラフトマンシップがある。そのことを僕らは以前からずっと感じていました。

─実際に服を作る上で特にこだわったことは?

ガイ:とにかく長く着られること。そのためにはクオリティを重視し、トレンドは追わないことも決めました。街を歩けばロゴのインパクトやデザインの奇抜さ、色の派手さをアピールするショップがたくさん並んでいます。でも僕らが目指したのは、サスティナビリティを重要視する気持ち。5年、10年を経ても楽しんで着用してもらいたいという思いです。

ファッション業界では通常年に2回、春夏と秋冬にコレクションを更新させるのですが、僕らAAFはそういう概念で動いていません。今ここで展開しているアイテムの中には、ローンチした時に作ったものも混じっていますし、選択肢を増やすために追加したアイテムもある。作ったものを数年そのまま据え置きにしつつ、必要に応じて色を変えることもあるかもしれない。こういう展開の方が健全なのではないかと考えています。出した時だけプロパーで売って、あっという間に値下げして、どんどん回していかなければならないような状況に関心がないんですよね。

─実際、ファッション業界はファストファッションを始め「供給過多」が問題となっており、環境破壊とも無関係ではない。

ガイ:その通りです。

─そんな中で、私たちはファッションに対してどんな認識でいるべきだと思いますか?

ガイ:とにかく買う量を減らし、質の良い服を長く使うこと。みんなとにかく「安いから」「流行っているから」という理由で服を買いすぎて、それを捨てすぎていると思う。サスティナビリティの観点から考えると、やっぱりそれは不健全だと僕は考えています。

─ちなみに、バンドでの曲作りとAAFでの服作りは共通する部分などありますか?

ガイ:少数のチームで連携しながら一つの作品を作っていくという意味では、AAFでやっていることも、バンドでやっていることもプロセスとしては似ていると思います。そう、AAFでの活動はソロアーティストではなくバンドに近いものがあるかもしれない。決してソロ活動ではなくて。自分はバンドを25年以上やってきたわけだから、そういうチームワークでものを作ることが好きだし自分に向いているのだと思います。

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE