UKドリルの注目株がシーンの現状を語る「勢いを持続させられるかどうかは、俺たち次第」

ドレイクについて

ードレイクがあなたの曲を聴いている動画をソーシャルメディアに投稿していましたが、ドレイクのような有名人に認知されるのは、どんな気分ですか?

シー クールだと思った。今もそう思っている。その前からも、心の中で思い描いていたんだ。「ドレイクはUK音楽のリスナーだ。きっと俺の作品を見てくれたに違いない」と思っていた。ドレイクが俺の音楽に対する愛情を示してくれるのは時間の問題だと確信していたんだ。そしたら、実際にそうなった。

ー昨今のUKヒップホップシーンを見渡すと、世界的にもグライムが一世を風靡したように思えます。でも今は、あなたをはじめとする新しい世代の時代です。

シー そうだな。まったく新しい時代だと思う。俺は、物心ついた頃から音楽が大好きだ。それもただのファンじゃない。音楽を研究したと言ってもいいくらいだ。だから、グライム時代のことはよく知っている。違いを目の当たりにするのは興味深いよ。この前も、グライム時代と今を比べていたんだ。当時のグライムは病んでいて、世間の興味が薄れはじめると、ドリルが取って代わった。その勢いを持続させられるかどうかは、俺たち次第だ。だって、同じように廃れる可能性だって大いにあるから。世間が関心を向けなくなるかもしれない。世界レベルでの音楽シーンという意味でどれだけ確実なインパクトを与えられたかはわからないけど、その勢いは消えてほしくない。

ーナイジェリアのラゴスで、大勢のオーディエンスの前でパフォーマンスをするTikTok動画を先日拝見しました。ラゴスは初めてですか?

シー 西アフリカ自体、俺にとって初めての場所だった。驚いたよ。ライブをするたび、オーディエンスがいい反応を示してくれるたびに驚かされる。いい気分だ。故郷からあんなに遠く離れているのに。そんな状況を目の当たりにして圧倒された。いまだに信じられない。

ーイギリスとアメリカのリスナーの違いは何だと思いますか?

シー アメリカのリスナーのほうがラップミュージックに対してオープンだと思う。イギリスでは、ラップはポップスだ。アメリカでは90年代からラップが音楽シーンの第一線を走り続けている。イギリスがラップカルチャーを受け入れるようになったのは、ひょっとしたら2016年以降とかじゃないかな? まだ新しいジャンルなんだ。だから、みんながラップに慣れようとしている。




『23』
セントラル・シー
Central Cee
配信中

セントラル・シー
本名:オークリー・ニール・H・T・シーザー・スー。ウエスト・ロンドンのシェパーズ・ブッシュで幼少期を過ごす。14歳の頃、スタジオに出入りするように。次から次へとネット上に楽曲をアップロードした。「初めてレコーディングした曲もリリースした気がする。細かいことは気にせずアップし続けた」。2020年にシングル「Day in the Life」がきっかけで注目を集める。同曲のMVはYouTubeで5000万回以上再生され、グライム専門の人気ブログにも再投稿された。2021年、デビューミックステープ『Wild West』を発表。2022年3月には2作目のミックステープ『23』をリリースした。

Translated by Shoko Natori

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE