PUNPEEとBIMが語る、『焦年時代』制作の舞台裏、ライブへのこだわり

BIMとPUNPEEのライブ観

―今回は2人のライブの極意みたいなことも伺いたくて。BIMさんは今年、バンドセットでのワンマンも経験されて。ずばり、BIMさんにとってライブとはどんな場ですか?

BIM 俺は、作り込んでいくPUNPEEくんと真逆なのかなって思うんですけど、準備して臨んだライブの方がよくないんです。ゆとりがなくなっちゃう、というか。だから「MCはここで何を話す」とか決めて行っちゃうよりは、バックDJのザイちゃん(DJ ZAI)とdoooo君とアイコンタクトして「今、話します」みたいにその場で進めていく方がよかったりする。でも、そのやり方がいいと思ったのは、PSGの野外のライブに帯同して一緒に見に行かせてもらった時なんですよね。



PUNPEE あー、岐阜だ。2014年くらいだったかな。

BIM そのとき、みんなで楽屋でいたずら書きして遊んでたんです。その流れでPSGのメンバーはステージに行って、そのままの感じでライブを始めたんです。それを見た時に、「一緒に遊んでもらってるし、俺も音楽活動やライブをやってるけど、全然、レベルが違うわ」と思っちゃって。そのあたりから、自分もいつか自然体でライブをやりたいなって思ったんですよね。それが自分にとって大きなミッションになって、それを長々と追いかけてたら、結局そっちのスタイルが自分に合ってるんだなと思ったんです。それまでは、事前に全部決めることが正義だと思ってたし、そっちの方がパフォーマンス的にいいでしょ、と思ってたんだけど。

―バンドセットで感じる、ライブに対しての新たな高まりなどはありますか?

BIM バンドセットは、走り出しちゃったら走り続けなきゃいけないんですよね。最初はラップしながらドラムに合わせていかなきゃ、とか思ってたんですけど、あるとき、「は! 違う!」と思って。俺が自分勝手にやってた方が、多分リズム隊の人もそれに合わせてくれるから、そっちの方がやりやすいのでは、と思ったんです。だから、自由に走らせてもらってるって感じですね。いつもみたいに、2DJとやるときとは脳の使い方が違う気がします。

―その感覚は、もう慣れました?

BIM そうですね、慣れてきました。やってるときは、まだ緊張します。脳が何個か動いている感じ。発展途上ですけど、ゾクゾクしますね。

―PUNPEEさんはいかがですか? 映像の作り込みとかもこだわっていて。先日のフジロックもそうですし、今年、開催されたヒップホップ・フェス「POP YOURS」のヘッドライナーとして出演された際も、煽りの映像や舞台上の小道具まで、全てこだわりがハンパなくて。

PUNPEE まず、さっきBIMさんが言っていたPSGのライブですけど、PSGはメンバーが3人いて、誰かがラップしたらそれをアシストするっていうくらいの感覚でライブをやっているんです。「みんながいるから、ちゃんと出来る」っていう安心感があったんですけど、そこからソロになって「うわー、ちゃんと決めないと」っていう力が働いてしまっているのかもしれないですね。それで、楽しませるために新しい要素を取り入れたりとか、使っているビートを変えたりとか。どんどん、そういうモードになってきたのかも。映像を作るにしても、何か新しいことをやった方が燃えるっていうのはありますね。



―まさに、PUNPEEさんらしいクリエイター魂というか、凝り性というか。

PUNPEE どんどん複雑にしていって、結局自分を追い込んでいるんですけど、そっちの方が、終わった後の「わー」って感じが大きいです。楽しいですね。でも、BIMさんのライブを見てると、ステージに出る直前まで人と話してて、ライブになったら急に行くから、それはすごいです。

BIM 先輩たちの姿を見て、拡大解釈した結果ですよ(笑)。

PUNPEE 先日、ZEPP HANEDAで開催したライブは、初めて2人でやるライブだったので、「これで大丈夫かな?」って気持ちが少しあったんですけど、やっぱりBIMさんの瞬発力がすごいので、安心感がありました。あと、「グループっていいな」と思いましたね。バランスよく動ける感じが。

BIM あの日は、気がラクなライブでしたね。普段から、先輩のなかでもっとも多く一緒に酒を飲んでくれるのはPUNPEEくんなんです。2人で飲んだりもするし。そのときの感じのままがステージでも出せた。

―その安定感とか親密さが、オーディエンスにも伝わってるんですよね、きっと。

PUNPEE はい。それと、BIMとはあんまり年齢が離れてるって感じがしないですね。10個違うんですけど。もちろん、最初は「若い子だな」と思ってやってたけど。

BIM 俺、18でしたからね。


Photo by Mitsuru Nishimura

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