PUNPEEとBIMが語る、『焦年時代』制作の舞台裏、ライブへのこだわり

ZEEBRA参加の経緯

―「Jammin’97」にはZEEBRAさんが参加されています。この曲を作ったきっかけは?

BIM あれはRascalのビートで、俺のEP『Because He’s Kind』に収録しようと思っていて。で、PUNPEEくんがうちに遊びに来てくれた時に、まだ未着手だった「Jammin’97」を聴いて、「これ、ファーサイドっぽいね」と言ってくれたんです。それで、ZEEBRAさんが入っていただけたりしたら最高だなぁ……って勝手に話してて。



PUNPEE 自分の中ではメロウなファーサイド感があって。「アルバム全体で、意外なゲストの方がいたらどうかな?」って。しかも、ちょっと前のZEEBRAさんのフローが浮かんだんですよね。ぼーっとしてた時に、「昔のフロウでやってもらうと新鮮じゃないかな?」と思って。「過去から来てもらうのはどうかな?」って……。

BIM ずるいっすよね、そのアイデア。タイムマシンがPUNPEEのシグネチャーになってるから。

PUNPEE 主人公が死んだらまた元の場所に戻るみたいなタイムリープ的な設定だったり、色んな複雑な前設定の映画や漫画って増えている感じがするんです。『進撃の巨人』とかの設定も特殊じゃないですか。だから、昔より設定が細かくても、みんなに楽しんでもらえるのかなと思って。過去からZEEBRAさんが来たって設定も、今だったら楽しんでくれるんじゃないかな、と。これが10~20年前だったら「なにそれ?」って言われるかもしれないけど。

―たしかに、無理矢理感があったかもしれないですね。

PUNPEE そう。だから、今のような説明を、そのままZEEBRAさんにメールで送って。

BIM 即答をいただけてぶち上がりました。

―この曲の下敷きにはZEEBRAさんの「真っ昼間」(1997年)があると思います。実際にZEEBRAさんのリリックも、当時の楽曲を意識したものになっている。あれも、ご本人がそのまま書いて送ってきたのでしょうか?



BIM そうです、そうです。リリックにPUNPEEとBIMの名前も入れて下さって。

PUNPEE レコーディングのとき、一声目で90年代中期のジブさんが出てきたんです。だから「おおー」ってなりました。

―BIMさんのヴァースの“都会の野蛮人”ってところにも、ZEEBRAさんの“アーバリアン!”って被せが入っていて。

BIM 贅沢でしたね。

PUNPEE 最後の寸劇も、全部その場でZEEBRAさんが考えてくれたんです。「俺がこの後、過去に戻って『THE RHYME ANIMAL』(1998年にリリースされたZEEBRAのデビューアルバム)を作るから、その相談をするってどう?」って提案してくれたんです。

ー寸劇の最後に「適電で!」と言っているのも、リアルに当時のZEEBRAさんの楽曲「Still No.1」を思い出しました。

BIM 当時、よく使っていたフレーズとかありますか?って聞いたら、「適電」を提案してくださって。「適当に電話」のことなんですよね。

PUNPEE ZEEBRAさんはその後もぶだんずっと設定を守ってくれていて、フジロックの時は『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のデロリアンのTシャツを着て来てくれて。

BIM あれはアツかった。

PUNPEE MCでも「今日は一回目のフジロックでしょ?」「いや、25回目です」「えー?」みたいなやりとりをして。ZEPP HANEDAで開催した『焦年時代』のリリースライブでは現在のZEEBRAさんってことだったんですけど、「25年間も秘密守るの大変だったぜ!」って言いながら(笑)。

―今お話に出ましたけど、今年、出演されたフジロック・フェスティバルのステージにZEEBRAさんが出た経緯というのは?

PUNPEE 「フジのライブで、何かサプライズがあったらいいよね」って話していたんです。

BIM 『焦年時代』からシングルリリースして、グリーン・ステージで新曲としてお披露目しようってことだったんですけど、EPが出来ちゃったから。「これでZEEBRAさんが来てくれたら最高っすね」ってオファーしたら来てくださって。

PUNPEE 規模の大きいグリーン・ステージでのライブだし、影響を受けた先輩を1人呼べたらなっていう自分の思いと完全に一致したんです。

―同じフジロックのステージでは、PUNPEEさん自らECDさんの「ロンリーガール」やブッダブランド「人間発電所」、スチャダラパー「サマージャム」を流しつつフリースタイルする瞬間もあって。どんな気持ちでステージに立ってらっしゃったのかなと。

PUNPEE ヒップホップのアクトで、グリーン・ステージに立つのが初だったということで、自分が好きな曲や影響を受けた曲をデカい音で鳴らせたらいいなって思っていたんです。あと、ヒップホップといえばサンプラーだし、SP(Roland製のサンプラーの名称)の生音をあそこでデカく出せたらなって。それだけですね。あのときは、オリジナルの「ロンリーガール」のトラックをツボイさん(ILLICIT TSUBOI)のフロッピーから抜いて、演奏したんです。

―ステージを終えられた後の手応えはどうでしたか?

PUNPEE 緊張するかと思ったんですけど、思った以上に楽しかったし、ZEEBRAさんが出てきたあたりから完全に緊張もほぐれて。ライブ中に喋りすぎましたね。

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