歌でも活躍するドラマー、ルイーズの貢献ー歌詞についても少しだけ訊かせてください。穏やかで親密なムードを醸していた『Hymns』と比較して、今作の歌詞はサウンドに呼応してか、緊張感に溢れた関係性や対立の場面を歌っているように感じました。あなた自身は今回のケリーの歌詞についてはどのような印象を抱いていますか?ラッセル:ケリーと僕はもう20年以上前から友達だけど、彼の歌詞に関しては、僕はあまり関わらず、彼に任せている。それは僕のギターに関しても同じ。僕たちはお互いを信用しているから、それぞれが作ったものを尊重するんだ。だから、お互いが作ったものを、深く探ろうとはあまりしないんだよね。彼が書いたものを変えようとすることもない。僕たちの場合、そのやり方が機能するんだよ。
ー今作は新たな4人でのファーストアルバムと言ってもいいのではないかと思います。この4人でこそ作れたと思う楽曲はどれですか?ラッセル:それはやっぱり全曲。全ての曲に4人が関わっているから。でもあえて一曲選ぶなら、「If We Get Caught」かな。ツアーのあとで一つの部屋に皆で集まって書いたから。何も作られていない状態から皆で作りはじめた曲で、誰かがアイディアを持ってきたとか、リフが軸になったとか、そういうスタートではなかったんだ。その空間で僕が適当にギターを弾いて、そこに皆が入ってきて曲が出来上がっていった感じ。何もない真っ白な状態から4人で曲を作り上げたという意味では、あのトラックかな。
ー先ほど、あなたも今作でのルイーズのドラムを褒めていましたが、彼女はコーラスでもバンドに新たな魅力を加えていますよね。ルイーズがメインボーカルをとるブロック・パーティーの曲があってもいいようにさえ思いました。ラッセル:彼女は素晴らしいシンガー。さっき話した「If We Get Caught」が、多分一番彼女の声が際立って、輝いている曲だと思う。彼女と僕はNOVACLUBっていう別のプロジェクトでも活動していて、彼女はそのプロジェクトでも歌ってくれているから、彼女のボーカリストとしての才能はお墨付きだった。彼女の声とケリーの声のコントラストもすごく良い効果をもたらしていると思う。二人の声のトーンは全然違うからね。
Photo by Wunmi Onibudoーそうそう、あなたのファンとしては訊いておきたいのが、2018年にルイーズらと結成したNOVACLUBについてです。3月にもダンサブルなポップソングである新曲「Lifetime」をリリースしていて、コンスタントな活動が嬉しいかぎりなのですが、あらためて結成の経緯などを紹介してもらえないでしょうか。ラッセル:ツアー中に待ち時間がたくさんあって、その時に自然に出来上がったのがNOVACLUBなんだ。楽屋でギターを弾いたり歌ったりしているうちに、曲が出来上がっていってさ。僕が弾いているギターにのせて彼女が歌いはじめた時に、すごく良い声をしているなと思って、そのまま新しい曲を作り続けることにした。で、そこにルイーズの友達も参加するようになった。楽しく音楽を演奏していることからはじまり、すごくエキサイティングなプロジェクトに進化していったんだ。スタートしたときはもっとハイエナジーでポップなサウンドだったんだけど、僕が当時作っていた音楽と違っていて、すごく新鮮だったよ。ルイーズと僕の音楽の繋がりは強いから、彼女と曲を書くのはすごくスムーズ。一緒に曲を書くことが、すごく自然に感じられるんだよね。
ーありがとうございました。ぜひ日本にもまた戻ってきてください。ラッセル:もちろん。どうにか行きたいと思ってるんだ。絶対に実現させるからね。皆にまたすぐ会えますように。
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